校長室より「おこらいえ」

夏休みの思い出

204日目

 

夏休みの2日目

 

いろんな方から

教職を目指した理由なんかを尋ねられることがあり

そのたびにもっともらしい答えをしてはいるものの

正直なところ

「夏休みがあるから!」です 

私が教員に採用されたころ

正直夏休み中一度も学校に来ない先生もいて

夏休みは教員にとって

貴重な自己研鑽の場であったわけです

 

ところがあるときから

教員の自主研修権の取得が難しくなり

今では

授業がなくても教員は毎日出勤

授業のある日以上の膨大な

書類処理に忙殺される毎日です

 

とはいったものの

私自身

初任1年目だけ

夏休みの恩恵にあずかりました

 

夏休みまるごと

県教委主催の英語科教員海外研修に

理科の教員でありながら

ずうずうしく参加し

アメリカ各地の学校をてんてんと

視察に行ってきたのです

 

渡航費等はもちろん自腹ですが

その分貪欲に学ぶことができました

 

さまざまなルーツを持つ生徒に

教員がそれぞれの接し方をします

その様子を見て

これからくるグローバル化を予感したものです

 

帰ってからは

世界中の人と話がしたい!

と外国語の勉強に励みました

 

日本人は

Do you speak English?

と問いかけられると

私の英語レベルなんてとても

と謙遜し

No,I can't.

と答えがちですが

実はそれは

「あなたと英語でコミュニケーションとりたくありません」

という限りなく失礼な意味に

なるということもそのとき学びました

今ではぬけぬけと

「私は13ヶ国語話せます」

と言ってまわっています

中には

「キートス(ありがとう)」しか知らない

フィンランド語も含まれています

 

Do you have some question?

疑問文では any を使うんですよ

としか学んで来なかった私にとって

これも目から鱗でした

any を使うと

「まさか質問ないよね?先行くよ」

という印象を与えるので

「どんな質問でも Welcome ですよ」

という印象の some を使うのだそうです

 

先日OECD(経済協力開発機構)の

シュライヒャー局長が来校されました

 

OECDは

世界38ヶ国の加盟国によって構成され

「世界最大のシンクタンク」として

さまざまな分野の政策調整などを行っています

教育分野においても

PISA(学力到達度調査)などの調査活動を行い

教育改革の推進や教育水準の向上に寄与しています

 

局長様はドイツ人

同行された奥様はイタリア人ということで

ドイツ語とイタリア語でご挨拶したところ

いたく気に入ってくださり

その後の対談でも

復興に向けて全面的にバックアップする

との約束をしてくださいました

 

こう考えると

挨拶って本当に大切ですね

 

そしてさらに言えば

教員1年目の夏休みの研修の成果が

およそ40年の時を超えて

まさかこんなところで実を結ぶとは

 

教員には自分を磨く時間が必要です

 

なんとか先生方の負担を減らそうと

いう思いだけはあるのですが

Posttraumatic Growth に向け

新たな取り組みをどんどん仕掛けて

負担を増大させていることに

心を痛めています

夜中の9時10時まで机に向かって

教材研究をしている姿を見ると

自分の力不足を思い知らされます

 

全国的に教員のなり手が不足しています

その対応策のひとつが

夏休みの自主研修権の復活です

 

教育公務員特例法に

「絶えず研究と修養に努めなければならない」

と定められている以上

その時間を保証するしくみが必要です

 

人が学ぶのは

(1)人

(2)旅

(3)本

といわれます

 

魅力ある教員を育てるためには

旅に出て

いろんな人と出会い

ゆっくりと本を読む

そのための時間が必要です

 

「街プロ」のあるグループが

夏休みを利用して視察旅行に出かけます

引率を若い先生にお願いしました

生徒とともにいろんなものに出逢い

これからの教員生活へ向けた心の糧となるような

豊かな経験を積んできて欲しいと思っています

日本チャチャチャ!

203日目

 

昨日本校野球部が応援に行った

高校野球では

日本航空石川が勝ち上がり

ベスト8入りを果たしました

 

日本航空高校が石川県に

日本航空第二高校として創立した当初

関係者の方々が

「ニホンこうくう」は航空機会社

我々は「ニッポンこうくう」と

おっしゃっていて

スタンドの応援も

「ニッポンこうくう!」

と連呼していたのを思い出します

 

今SNSで調べてみると

「ニホンこうくういしかわ」

となっていますが

実際のところどうなんでしょうか?

 

昨日池上彰先生がご自身の番組で

「ニホンでもニッポンでもどちらでもよい」

とおっしゃっていました

 

ここで「日本」の読み方について

おもしろい話をひとつ

「日本」には

「ニほん」と「ニッぽん」

ふた通りの読み方がありますが

ひっくり返して「本日」にすると

「ほんジツ」という

全く違う読み方になります

この読み方に従えば

「日本」は「ジッぽん」になるはずです

そう江戸時代初期はそう発音していたのです

それがヨーロッパに伝わり

「ジッパン」「ジパング」「ジャパン」に

以前何かで読んだ知識ですが

諸説あるようです

 

もうすぐパリオリンピックですね

がんばれ!

「ジッポン!チャチャチャ!」

 

石川県高校野球連盟では

被災地輪島の高校野球ファンのために

決勝戦の模様を

パブリックビューイングで

お届けしてくださいます

輪島高校体育館に大型スクリーン

石川県立野球場まで

足を運ぶことのできない方のためへの

贈り物です

 

日本航空石川の反対の山からは

同じ輪島市の

門前高校もベスト8に勝ち残っています

 

輪島勢どうしの決勝を

輪島高校で輪島市民が観戦する!

夢のようなストーリーですが

どうなるでしょうか?

 

いずれにせよ決勝戦当日は

輪島高校第二体育館でお待ちしています

今日から夏休み

202日目

 

禍福は糾える縄の如し

幸せと不幸せは背中合わせで

繰り返しやってきます

 

そして歴史は繰り返す

まるで螺旋階段から眺める景色のように

同じ風景が繰り返し見えます

 

でも人間はそれほど愚かではなくて

同じ風景でも次に見る時は

一段上から見ている訳で

以前見えてなかったものが

新たに視野に飛び込んできたりします

 

そして未来は着実に

よい方向へと向かっていきます

 

鎖国で世界に遅れをとった日本は

明治以降

世界に追いつけ追い越せと

子供たちに知識を身につけさせる

教育制度を展開します

 

ところが太平洋戦争で

完膚なきまでに叩き潰された日本は

教育制度の転換を迫られることとなります

 

GHQが主体となって推し進められた教育改革は

「戦後の新しい日本を造るには

 これまでの知識偏重型ではダメだ

 生徒が主体となって

 自ら課題を発見し

 その解決に向かって自ら主体的に学ぶ

 そんな教育課程である必要がある」

とされ探究型の授業へと

舵が切られました

 

「課題研究」という教科が

小学校に取り入れられます

その時の教科書がこちら

 

 

 

 

 

今でいういわゆるプレゼンですね

年度はじめに自分でテーマを決めて

1年間かけて研究していきます

そして最後に発表します

 

 

 

 

 

 

この教育制度で学んだ方々が

戦後日本の復興の

原動力となっていくのですが

これって何かに似ていませんか?

 

そう

震災から立ちあがろうとする

輪島高校が仕掛けている「街プロ」は

まさに戦後復興を支えた教育制度なのです

 

時代は流れ

戦後復興を果たした日本は

高度経済成長時代を迎えます

 

この時代になると

正確かつ迅速に指示に従い

短時間で結果を出すことのできる

豊富な知識を持った人材を

産業界は求めます

この社会の要請に従い

知識を重視した教育課程へと

螺旋階段を登ります

 

当然

時間のかかる「課題研究」という教科は

姿を消すことになるのですが

教育的効果が大きいと考えていた

当時の先生方により

夏休みの「自由研究」として

姿を変えて残ることとなりました

 

このようにして

夏休みの「自由研究」って

生まれたんですね 

 

夏休みに入り

部活道もそれぞれの場所でそれぞれ

 

サッカー部は

日本航空高校石川さんの

グラウンドをお借りして

朝もやの中駆けています

 

 

 

 

 

 

ここは中学校 ジュニア シニア

あらゆるチームがお世話になっています

同じ敷地内に

県外からの復興支援者の宿舎があり

そこのサッカー愛好者も集まって

一緒にゲームを楽しむ

交流の場としても

機能しているそうです

 

男子バレー部は七尾高校で

 

 

 

 

 

 

ここは私が以前10年間勤めていた学校で

人気コミック

「君は放課後インソムニア」

の舞台となっています

校内の風景が

作品中にそのまま再現されています

天体観測室もあり

当時夏休みになると

地域の小学生を集めて

天体観測会を開いていました

懐かしいな

 

バドミントン部は

「がんばろう能登」プロジェクトの

合同練習会に参加です

 

 

 

 

 

 

多くの学校の選手と交流できています

日本代表の漆崎真子選手や

名門筑波大学のバドミントン部選手の

一流プレイを間近で見ることができました 

 

吹奏楽部は津幡町文化会館「シグナス」で

石川県吹奏楽コンクールです

 

 

 

 

 

 

課題曲「さくらさくら」

自由曲「丘の上のレイラ」を奏でました

 

野球部は石川県立野球場で応援です

 

 

 

 

 

 

どちらもお世話になった

金沢桜丘高校と

日本航空石川の対戦

どちらかにつくわけにいかず

バックネット裏で応援です

心的外傷後成長(PTG)

201日目

 

PTG「心的外傷後成長(PTG:Posttraumatic Growth)」

大きな心の傷を受けて

ひとは大きく成長することができます

 

(1)「他者との関係」

  他人を思いやる気持ちが強くなります

  今回さまざまな方がかけつけてくださり

  その温かい人柄に触れる中で

  生徒の他人への接し方が

  すいぶんと変わってきたような気がしています

  反対につらいときには頼ってもいいんだと

  思えるようにもなってきていると思います

 

(2)「新たな可能性」

  それまで描いていた人生の道筋が

  大きく変わった人がいます

  自分の将来の夢が大きく変わった人

  いままでどおりでは何にも通用しなくなった人

  だからこそ新しい可能性が開けてくるのです

 

(3)「人間としての強さ」

  予測だにできない出来事に遭遇し

  それでもまだ自分は生きている

  ここに座っているだけで

  自分が思っている以上に自分というのは強い

 

(4)「精神性的な変容」

  人間の力を超えた大きな力に遭遇しました

  神や仏を信じろまではいわないけど

  多くの先人たちのパワーに守られて

  今こうして生かされているような気が

  生き方とは?魂とは?死ぬとは?

 

(5)「生に対する感謝」

  あたりまえのように明日がくると信じていた

  でもそれは決してあたりまえのことではないことを

  思い知らされた

  あたりまえのことへの感謝の気持ちが強くなりました

 

「傷つきから人は成長することができる」

これまでPTGを経験した多くの方からの

励ましの声をいただきました

その生き方を見習い

そしてこの後自分にできることは何か

夏休み期間中にしっかりと自分と向き合ってください

 

今日は1学期の終業式

発災から200日を生き抜いた生徒たちに

こんな話をしました

 

明石市にお住いの

石津 佐智子さまより

お便りをいただきました

震災が起こった時に

ペットと暮らしている方が

同室避難できるようにとの運動を

されています

ご自身も阪神淡路大震災で被災なさり

そのときのご経験を活かし

自治体にさまざまな提言をされているようです

 

昔見た戦争の映画で

防空壕の中で泣き出した赤ん坊を

「敵に見つかるから出ていけ」

と周囲の人にののしられながら

お母さんがあやすというシーンを思い出します

きっとペットをお持ちの方は

それと同じ思いで

震災後お暮らしだったんだろうなと推察します

200日目の「ゆず」

今日で200日目ですか

なんだかあっという間というか

まだ200日というか

 

この区切りの日に

22:00からNHK「SONGS」で

先日「ゆず」さんが来てくださった様子が

放送されます

ご覧になってください