校長室より「おこらいえ」

今日は節分

34日目

 

今日は節分です

 

避難民の方々の二次避難も進み

小中学校仮校舎開設の準備も

順調に行われています

 

私は今年還暦を迎えます

輪島では還暦の年男と厄年を迎えた男が

神社で豆まきを行います

 

今回火災で失われた朝市通り近くの重蔵神社では

延焼を逃れたものの

鳥居や狛犬が壊れ

拝殿も崩れるなど

大きな被害を受けました

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今年は豆まきの中止も議論されましたが

こんな中だからこそ

市民を元気づけるために

ぜひやろうということで

賑々しく開催されました

 

授業が本格化してきました

33日目

 

いよいよ

金沢地区へ2次避難している生徒のための

学習支援が文教会館で始まりました

 

 

 

 

 

 

金沢大学さんが全面的に協力してくださり

場所の確保、必要な物資の調達など

スピーディーに準備してくださいました

 

 

 

 

 

 

昼食も全て準備してくださいます

文教会館への交通費は全て

石川県教育委員会が負担してくださいます

落ち着いて学習できる環境が整いました

この後

大学生の学習支援ボランティアも

加わってくださいます

まだ申し込んでいない人は

今からでもオッケーです

 

 

 

 

 

 

無線ルーターの貸し出しも行っています

 

午前中は輪島高校からの授業を

オンラインで受け

午後からは文教会館で

授業を行っています

 

今日は自分も

オンラインで授業に参加してみました

 

 

 

 

 

 

授業は生き物で

同じ空間で空気を感じながらやるもので

オンラインなんかでは

気持ちが通じ合わない

絶対にやってたまるかという

頑ななまでのオンライン反対派だったのですが

やってみると

意外!割といいな!という感じでした

授業感変わりました

 

部活道でも

(本校では部活動を部活道と書きます)

オンラインと対面を上手に併用しています

男子バレー部です

オンライントレーニングの様子です

 

 

 

 

 

 

輪島市の中学校には男子バレー部がなく

全員が高校でバレーを始めたメンバーです

素人軍団であったにも関わらず

今年の総体では県のベスト8に入り

能登地区大会では優勝しました

 

ところが

これからという時に

今回の被災で

主力2名が

転校することになりました

 

今日は転校した生徒も加わり

一緒に自宅でトレーニングです

 

転校先でもぜひバレーを続けてもらいたいです

来年対戦するのが楽しみです

 

文教会館近くのお店には

笑わんけ金沢

がんばらんけ石川

信じとるよ能登

 

 

 

 

 

 

みんなが応援してくれてます

嬉しいですね

全てが一歩ずつ前進していることを実感しつつ

輪島に帰ります

 

のと里山海道はきずだらけです

 

 

 

 

 

 

以前の地震でもこんな感じだったな

それでも立ち上がったんだから

今回だってきっと

新たな、人と人との繋がり

32日目

 

発災から1ヶ月が過ぎ

周辺の学校の様子はどうなっているのかな?

ちょっと行ってみました

 

道中無惨な風景を眺めながら

 

 

 

 

 

 

 

大きな被害を受けた飯田高校に着きました

飯田にはここ数年大きな地震が群発し

図書館の棚を「床」に固定するなど

被害を最小限にする工夫が

なされていました

 

それでも赤本が散乱するなど

さまざまな被害が見られました

 

 

 

 

 

 

「赤本」とは大学受験勉強に使う

大学別に過去問をまとめた本で

そのうちの一冊が昨日紹介した

「落ちない赤本」です

 

輪島高校よりも多くの生徒が

通っていました

飯田は道路事情が

輪島に比べて比較的いいので

車で送ってもらえているようです

 

 

 

 

 

 

 

教室に卓球台を入れて

体育の授業をしていました

早速我が校でも取り入れよう!

いいと思ったことは即マネします

ここは2年前に勤めていた学校で

生徒からは「教頭先生〜!」

覚えていてくれたんだ

「輪島高校のサイトにアップするよ」

「いいよー」とポーズしてくれました

 

 

 

 

 

 

 

グラウンドにも大きな亀裂が

 

 

 

 

 

 

 

帰り道

のと里山空港に寄ってみました

現在、週に3往復

東京便が運行されています

ボランティアの方が来られたり

高齢のご両親を迎えに来られたり

さまざまな人生が交錯します

穴水高校の書道ガールの作品が

それを見守っています

 

 

 

 

 

 

 

ここには

市内各地からの2次避難の方が

一旦集まり

まとまって温泉地などへ向かいます

 

 

 

 

 

 

バスの中には

これまで輪島高校で避難していた方の姿が…

自分に気づき手を振ってくれました

新しい避難先でもどうか健やかに

 

 

 

 

 

 

 

うちの学校では

学校の「中」のことは

大坪教頭先生が先生方をしっかりまとめ

「現在」なすべきことを

責任もってやってくれています

 

ですので

校長である私は

学校の「外」に目を向けて

「未来」に想いを巡らせることに

集中することができています

 

素晴らしい先生方に囲まれていることに

今回の地震を機に気づかされました

輪島の幼小中高を繋ぐプラットホームへ

31日目

 

本校に小学校と中学校の仮校舎を受け入れることが

正式に決まりました

 

対象の学校は

 

輪島中学校

ほとんどの生徒が家族を離れ

市外の施設に集団で移転して

授業を受けていますが

家庭の事情等で輪島に残っている

40名が対象です

 

小学校は

河井、鳳至、鴻巣、大屋、河原田、三井

の6校から180名

 

 

3階には、小さな子どもたちが集うカタリバさんが

トレーニング場や武道場には、避難をされている方が

体育館には、地域を守る自衛隊が

これまでどおりいらっしゃいます

 

まさに幼稚園からお年寄りまで

全ての方が集まる

生涯学習のプラットホームとしての

役割を担うことになります

 

体育館が使えないので

広めの部屋に卓球台を置いて

体育ができるようにしようかとか・・・

 

いろいろ考えています

 

小学校の移転の知らせを聞いた

長崎県立佐世保中央高等学校の

中島数美教頭先生からは

絵本全集を送っていただけることとなりました

 

小中高いっしょに体育をしたり

高校生による読み聞かせや

学習支援をしたり

この機会でないとできない

さまざまな教育をしかける

チャンスと考えています

 

あす

小中の校長先生方と打ち合わせをする予定です

 

いろんなアイデアを出し合って

新しい輪島を創る

未来の力を育てていきたいと思います

 

金沢方面へ二次避難をしている

1,2年生に対しては

石川県文教会館を学びの場として

活用できることとなりました

午前中は輪島高校から配信される

オンライン授業を受け

午後は金沢に詰めている

先生による授業を展開します

金沢大学の学生ボランティアによる

学習支援をしていただけるかもしれません

無料の家庭教師ですね!

 

輪島にいる生徒に対しても

授業のコマ数を増やして

より本格的な授業に近づけていきます

昼食も提供できることになりそうです

帰りにシャワーして帰ることもできます

なんだかわくわくしてきませんか?

 

先生方も智恵を出し合いながら

小中の先生とも協力しながら

よりよいものを目指して

頑張ります

 

飯田高校の校長先生から

いいものをいただきました

飯田高校もやっぱり被災して

校舎の中がひどい状態だったそうです

3階の廊下の本棚にあった赤本が崩れ

生じた亀裂からほとんど2階に落ちたんだそう

ところが1冊だけ引っかかって

落ちなかったんです

それがこちら

 

 

 

 

 

 

 

 

「落ちない赤本!」

受験生のみんな

縁起がいいから

待ち受けにするんだ!

僕は明日、昨日のきみと・・・

30日目

 

このコラムの冒頭の「〇日目」というカウント

これ実はある映画のオマージュです

その映画は

「ぼくは明日、昨日のきみとデートする」

福士蒼汰さん演ずる美大生、高寿(たかとし)と

小松菜奈さん演ずる秘密を抱えた愛美(えみ)の恋物語

 

ストーリーが進み愛美の秘密が明らかになると

それまで時折見せていた彼女の涙の意味に気づき

何ともいえない切ない気持ちがこみ上げます

 

通常、映画の冒頭にあるタイトルバックが

開始1時間後

ちょうど折り返しのあたりにあるのも

とっても意味深

 

二度観がお薦めです

二度目は愛美に感情移入してみてください

時が遡り

涙腺崩壊必至です

 

単なる恋愛映画に終わらず

今まで出逢ってきた人たちと過ごしてきた

全ての瞬間が愛おしく感じる

そんな映画です

 

自分がこの映画を見たのは

一番下の娘が高校を卒業する直前のことでした

大学を出て就職して結婚して

もうこの家で暮らすことはおそらくない

やがて再び妻とふたりだけの生活に戻っていく

巣立って行く娘にこれまで何をしてあげられたのか

そして限られた時間の中で何をしてあげられるのか

残された時間が

なんだかとても大切なものに

感じられたことを思い出します

 

大切な人と過ごした時間は

いつまでも色褪せることなく

心の中で輝き続けます

卒業生のみなさんは高校生活の中で

いくつの輝きに出会えたのでしょうか

これまで

あなたがそこにいるだけで

ご家族の心の輝きであったことは

まちがいありません

 

そしてこれから先、

いくつの新しい出会いが待っているのでしょうか

自分自身が誰かの未来になれるよう

目の前の人との一瞬一瞬を大切にして

「今」を感じながら歩んでいってください。

 

こんなことを

昨年の卒業式で

生徒と保護者に

お伝えしました

 

今回の震災で

「大切な誰か」を

失ってしまった方も

いらっしゃいます

 

なんて声をかけていいのかも

わかりません

 

映画のカウントは

30日目で終わりますが

我々のカウントは

まだまだ続きます