校長室より「おこらいえ」

諸々の禍事(まがごと)罪穢れ有らむをば

211日目

 

10月は神無月といいます

全国の神様が出雲に集まるため

出雲以外は神様不在となるためです

逆に出雲では10月を神在月といいます

 

今日は石川県の校長無日

県内の校長先生が集まって研修を受ける日でした

 

北陸は教育に熱心な土地柄です

石川県は全国に誇れる

教員資質向上のための研修が充実しています

今日の校長研修もその一環です

 

教員総合研修センターから依頼を受け

全県の校長先生に

学校が避難所になったらどうするか?

というテーマで

お話をさせていただく機会をいただきました

 

学校の授業はどれくらいの価値があるのだろう

試算してみたことがあります

教員の給料を時給に換算してみて

必要となる教室の借用費

電気代

冷暖房費

あらゆる必要経費を生徒数で割ってみると

1時間の授業に生徒ひとり約1,000円を

支払っている計算になることがわかりました

40人学級だと1時間の授業に4万円

1時間4万円の価値のある授業を提供しないと

その思いで教材研究に取り組んできた

つもりではあります

 

今日の校長研修には

どれくらいの費用がかかっているのでしょうか

それに見合うだけの話をしないと

そのプレッシャーで押しつぶされそうな

依頼を受けてからの4ヶ月間でした

 

一生懸命準備したにも関わらず

授業を離れて2年以上経つ

ブランクによるプレゼン力の衰えは

いかんともしがたく

いいたいことの9分の1も伝わらない

なんとも情けない講話となりました

 

明日は自己嫌悪で

昼も眠れない日になりそうです

 

本日は

一粒万倍日

 この日蒔いた一粒の種がやがて一万倍に実を結ぶ日

天赦日

 諸々の禍事罪穢れを天が赦してくださる日

大安吉日

 ご存じのとおり

 

みっつが重なったまことにおめでたい日でした

しかも7月29日

七福(729)神の日でもありました

 

かしこみかしこみ

 

この佳き日に

校長先生方に少しでも心に残る話をと

意気込みだけはよかったのですが

 

以前 Posttraumatic Growth

心の傷を負ったものはその後大きく成長できる

という話をこのブログで書いたものの

今回の心の傷は大きく

口で言うほどGrowthは簡単なものではなさそうです

 

 Posttraumatic Growth のひとつに

「精神性的変容」があります

人間の理解を超えた大きな力を目の前にして

生、命、死について

深く考えるようになるのです

 

部活動のはじめに「お願いします」

おわりに「ありがとうございました」

これはなんのため?

たとえば野球部に尋ねると

「野球の神様に」

と答えます

「じゃ野球の神様って誰?」

これまで明確に答える生徒はいませんでした

 

選手たちは活動できる場所がないため

自分たちでグラウンドの整備を始めました

 

輪島市民の命を守るため派遣された自衛隊

活動の拠点として入ったグラウンドで

液状化のため一時立ち往生していた時に撒いた

バラス(石ころ)が全面を覆っています

 

来る日も来る日も

その石ころを拾っては棄て

活動できる範囲を自分たちで拡げています

 

心も徐々に変わってきます

これまで当たり前のように

グラウンドで野球をしていたけれど

それは決して当たり前ではない

こうしてグラウンドひとつ作るにも

多くの人々の力が必要であること

そのことに気づきはじめるのです

 

「神様って誰?」

その問いに今では明確な答えを持っています

当たり前でないことを当たり前にしてくださった

そのために力を尽くしてくださった多くの人たち

 

当然挨拶の仕方ひとつ

変わってきます

心のこもったものとなるのです

 

何十年後かに

球児が挨拶する神様は

まぎれもなく

今一歩踏み出そうとしている

君たちなのです