校長室より「おこらいえ」
10名弱って何人?
地震から270日目
豪雨から6日目
朝の5時だというのに
輪島に入る道は
救助や捜索に入る方の車で大渋滞です
こちらは大津からの消防隊の方々
出発はおそらく昨夜遅くでしょう
本当にありがとうございます
今日から
東北復興研修ツアーが始まりました
朝6時
元気に学校を出発しました
私も同行して
奥能登地区の高校の再建のため
さまざまなことを学んでくるつもりではあったのですが
今回の水害でまだ孤立し
学校に出てこれない生徒がいます
そのための学習支援の対策が急務なので
残ることにしました
犠牲になられた方が命と引き替えに残して下さった多くの教訓を
そして生き残った方が再建に関わってきた努力の跡を
しっかり学んできて欲しいと思います
多くの方からいただいている支援金を
活用させていただきます
私はいただいたお心を
物品を買うことには使わないつもりです
物はいずれ姿を消します
しかし生徒の心に残したものは
このさきずっと
さらに多くの人を巻き込んで
どんどん大きくなっていくと
信じているからです
今日は丸一日かけて移動したあと
松島海岸のホテルで講話をいただきます
私も以前松島を訪れたことがあります
風光明媚でとても美しい場所でした
しかしこんな美しいところに
なんであんなもの建てるかな?
というおぞましい建物に興ざめした覚えがあります
明日は石巻で震災遺構を周り
宮城県立多賀城高校の災害科学科の生徒さんたちとの
交流を予定しています
女川町も訪れます
以前このコラムでも書きましたが
女川原発が再稼働することになっています
あんな酷い目にあったのにどうして?
私はその疑問をずっと持っていたので
今回予約をする際に実際に尋ねてみました
その方は答えにくそうに
実は賛成派と反対派が半々であると
教えてくださいました
半々の中に
亡くなった方や街を去った方の意向も
含まれているのでしょうか?
あさっては「ゆりあげ朝市」を視察したあと
帰路につきます
参加した生徒は10名弱です
10名弱というと何人を予想しますか?
私は8~9人ですが
今の若い方は
12~3人
10名とちょっとと感じるそうです
「じゃあ10人強は?」と訊くと
17~8人だそうです
「すごい」や「やばい」という言葉が
もともとの意味とは全く変わって使われているように
時代とともに意味が変わっていくのかもしれません
ちなみに今回の参加者は13名です
男子バレー部が
災害ボランティアに出かけました
中の家具などを丁寧に運び出します
大切な思い出の品がこんな目に
こんな家庭がたくさんあります
震災から踏み出そうとしたところなのに
ゼロからマイナスへ逆戻りです
でも輪高生は負けません
「諦めたらそこでゲームセットです」
スラムダンクの中での言葉です
輪島高校には
スラムダンクのゴリのモデルだった先生が
かつていたからです
その方はとても謙虚な方なので
お名前を出すのは控えますが
お嬢さんがパリオリンピックの選手だったので
ご存じの方も多いかと思います
いろいろご指摘ありがとうございます
地震から269日目
豪雨から5日目
市民の方から
学校に苦情の電話がありました
買い物をしていたら
そこに入ってきた3名の輪島高校の女子生徒のうち
2名のスカートが短くて見苦しいという内容でした
学校として
生徒指導主事の冨水先生を中心に
次のように指導することとしました
「身だしなみ」と「お洒落」の違いを考えましょう
「身だしなみ」とは?
外見だけを整えるのではなく
身の回りについての心がけです
周囲に不快感を与えないように
頭髪や衣服を整え
言葉や態度をきちんとすることです
「お洒落」とは?
服装や化粧などを
洗練されたものにしようと気を配ることです
「身だしなみ」とは他者のために整えるもの
「お洒落」とは自分のためにするもの
と言えます
①「身だしなみ」と「お洒落」は同じだと考えてませんか?
高等学校は公共の場であり
多くの価値感をもった人間が集団生活をする場です
ここで大切なことは
個人の行動は常に他人に影響を与えるということです
他人に不快感を与えてまで自分なりのお洒落を楽しむ場
では決してないということです
人に不快感を与える人を
企業や進学先の採用担当者が採用したいと思いますか?
たとえ学校外であっても制服を着て活動する以上
他人の気持ちを考えて行動することが求められます
②「人は身だしなみが100%」
多くの時間を共に過ごす人にとって
身だしなみがどうであろうと
人間的な魅力が最も重要であることは間違いない真実です
しかし
わずかな時間しか共に過ごさない人にとっては
身だしなみの評価がその人物の評価の100%になります
見た目で損をする人物になっていませんか?
見た目で誤解を招いていませんか?
自分自身の身だしなみをもう一度見直してみて下さい
以上です
ご指摘ありがとうございます
しかしながら学校を離れた場面では
全て指導が行き届かないのも事実です
もし次回このような場面を見かけたら
ぜひ直接ご指導ください
教育は学校だけで行うものではなく
地域全体で行うものです
ぜひ
「不快に思っている」
ということを直接言っていただければ
先述の指導がより身のあるものになります
ご協力をお願いします
電車の中で暴れまくり
親のいうことをきかない子に
他人が声をかけるだけで静かになるそうです
つまり子どもは他人ではなく
風景として認識しているのです
風景に話しかけられたら
子どもは驚いて
次から他人というものを意識できるようになるそうです
これは確か
「ミステリと言う勿れ」の中で
久能整さんが言っていたような気がします
全巻持っていたのですが
被災でダメになってしまいました
とても面白いので
また買い揃えようと思っています
この作品の中には
なるほど!
と思う名言がたくさんあって
印象的なものに
倒れている人に
「大丈夫ですか?」
と問いかけた後で
「どうかしましたか?」
と問い直すシーンがあります
「大丈夫ですか?」と聞かれたら
「大丈夫です」
と反射的に答えてしまうからです
「どうかしましたか?」
と聞かれると心を打ち明けやすいのだそうです
私はこの逆を昔から使っていて
心配な生徒に
「大丈夫?」と聞くのです
「大丈夫!」と答える生徒は大丈夫じゃないので
その後しっかりと観察するようにしていました
なぜか
本当に大丈夫な生徒は
「大丈夫?」と聞かれたら
…
…
…
「何が?」
と聞き返してくるからです
先日野球部がボランティアで
ある酒屋さんの水害の片付けをしました
酒屋さんがSNSに投稿してくださり
一万を越えるいいねをいただきましたが
そのコメントの多くは
「マスクをさせろ!」
配慮が足りませんでした
さっそく次の日からはマスクをさせました
ご指摘ありがとうございました
豪雨のあとさき
地震から268日目
豪雨から4日目
豪雨のあとはじめて登校する日です
時間の経過とともに被害の大きさが
明らかになってきます
街の中を走る車はほとんど泥だらけで
まっ茶色に染まっています
道路の寸断により登校出来ない生徒
家の中の泥を掻き出す作業をするため登校出来ない生徒
さまざまな事情で全員揃うことはできませんでしたが
それでも多くの生徒が顔を合わせることができました
コロナのとき
そして地震のとき
身をもって実感したのですが
こんなときは何もできなくても
お互いの顔合わせが
心の通い合わせになるのです
今日は野球部の生徒が
家屋の泥出しと清掃のボランティアに出かけました
今日はまず被災した部員の家からです
もし高校生の力を借りたいお宅があったら
どうぞお問い合わせください
調整の上
お手伝いできることがあればお手伝いします
以前もお越しくださった
大阪大学の渥美教授らが
ふたたび訪れてくださり
モバイルバッテリーのご寄付をくださいました
生徒のみなさんご家庭のみなさん教員のみなさん
必要な方におあげします
数に限りがありますので
明日の時点で一旦締め切り
被災状況を確認した上で
適切な方に差し上げます
あまったらその後は早い者勝ちにします
また生徒玄関にスポーツドリンクも置いてあります
こちらも自由にお持ちいただけますので
必要なご家庭は生徒に持ち帰るよう
お伝えください
何度でも何度でも何度でも
267日目
大雨もおさまり
寸断されていた道路も
片側交互通行ながら繋がり
金沢から輪島にようやく入れました
地震で崩れた岩肌を
何本もの滝が
音を立てて流れて落ちています
天然のダムとしての
山の保水機能が完全に失われています
地震がなければおそらく
今回の雨で
これほどの被害にはならなかったでしょう
自然破壊への警鐘です
街のあちこちで
流れ込んだ土砂のため
道路が通行止めになっています
頭の上を捜索や報道のヘリが飛び交い
消防車や救急車の音が鳴り止みません
まるで1月に戻ったようです
ようやく入れた仮設住宅が
ダメになった生徒もいます
営業を再開したばかりの
多くの飲食店が振り出しに戻ってしまいました
孤立した集落には支援物資が届かず
「あるものでしのいでくれ」
と言われているそうです
でも輪島のみんな
失うものを無くした人間には
怖いものなど何もない!
やったろうぜ!
絶対に負けるな
生徒のみんな
未来への希望を捨てるな
今朝からずっと
ドリカムの曲が
頭の中をリフレインしてます
何度でも何度でも何度でも立ち上がり呼ぶよ
きみの名前 声が涸れるまで
悔しくて苦しくてがんばってもどうしようもない時も
きみを思い出すよ
10000回だめで へとへとになっても
10001回目は 何か 変わるかもしれない
落ち込んでやる気ももう底ついて
がんばれない時も きみを思い出すよ
前を向いてしがみついて
胸掻きむしってあきらめないで叫べ
明日がその10001回目かもしれない…
あれこれ速報
帰路の安全が確認できましたので
金沢で宿泊していた陸上部は
午後1時に金沢を出発しました
男子バレー部は
3名が保護者に迎えに来ていただきましたが
残りの6名は
マイクロバスでの移動となるため
念のためもう1泊し
さらに道路状況が良くなってから帰ります