校長室より「おこらいえ」

今年はチャイムを鳴らしません

108日目

 

今年度の新しい取り組みとして

チャイムを鳴らさないこととしました

 

自分で時間管理をする力を

つけさせるためです

震災を経験して

待つだけでは物事が進まないことを

実感できた今だからこそ

一気に意識改革が進むと判断しました

 

時間通りに授業を開始するために

まず教員の職員室を出る時間が

早くなりました

 

チャイムが鳴ってから

「きりーーつ、れーー、ちゃくせーーき」と

けだるそうに始まる雰囲気がなくなりました

 

時間通りに授業を始めることを

生徒に求める以上

時間通りに終わることを

生徒は求めます

教員の移動時間も必要です

授業の組み立ても

当然変わります 

 

良い授業の直後には

生徒がたくさん質問に来ます

質問の数は

それだけ生徒の意欲を高めたという

バロメーターです

ですので質問対応の時間との兼ね合いが

課題です

 

生徒に応じて

この生徒はモヤモヤさせておいて

自分で考えさせた方が効果的なのか

あるいは即座に答えておかないと

意欲が一気に低下するタイプなのかを

見極める力が

教員に求められます

 

心理学には

「ツァイガルニク効果」

という法則があります

終えてしまった事柄よりも

途中で中断された事柄の方が

より記憶に残るというものです

 

授業の最後には綺麗にまとめをしなければ

というのは

案外教員側のみの

自己満足に過ぎないというのが

私の持論です

 

授業の様子をお伝えします

 

1年生の地理総合です

担当は寺田知絵先生 

国土地理院のデータにアクセスして

災害マップや避難経路を学びます

自らの経験と照らし合わせて

より実践的な授業となりました

 

 

 

 

 

 

ストリートビューには

被災前の風景が映し出されます

失ってしまった我が家を見つめ

「まだ建っとる!」

意外と笑顔です

この生徒は現実を受け入れ

次に向かってのあゆみを

始めているのでしょう

 

 

 

 

 

 

ハザードマップを調べて

「やっぱりな、ここ危なかったもん」

避難経路を調べて

「嘘やこれ!全然使えんかったし」

想定された経路が

実際には全く使えなかった

想定と現実を複合的に捉えることで

ハザードマップ作成に新たな視点を

加えることのできる

実践的な教材です

 

1年生ビジネスコースの体育です

担当は中野智貴先生と山下友子先生

「ともともコンビ」です

被災による一家転住の影響を

最も大きく受けたクラスで

わずか13人しかいませんが

その人数でできること

工夫を凝らしてやっています

今日は大縄跳びと8の字飛び

 

 

 

 

 

 

 思いっきり飛び跳ねていました 

いろんなこと

107日目

 

不便な被災地生活をしていると

いろんな生活の知恵に出会います

 

水道が満足に使えないと

ウエットティッシュに

お世話になることしきりです

 

ただ

1枚だけ欲しいのに

次の1枚もついて来て

「イー〜っ#」

ってなることがしばしばです

 

 

 

 

 

 

 

そんな時そんな日は

あらかじめ輪ゴムを巻いておくと

次の1枚がくっついて来なくなります

 

 

 

 

 

 

お試しあれ

 

今日、ニューヨークにある

ブルックリン日本語学園の

ガルシア奈津子先生より

お便りが届きました

 

ブルックリン日本語学園には

日本にルーツを持つ子どもたち

幼稚部から高等部まで

およそ180人が通っています

 

今回そのうち初等部の4、5年生が

能登半島地震の被災者のために

何かしようと

ニューヨークで募金活動を

してくださっているようです

 

 

 

 

 

 

遠い国から

本当にありがとうございます

 

この様子は

16日(火)朝の

石川テレビで放送されるそうです

 

北陸放送の原田幸子アナからも

素敵なお便りをいただきました

「今日、すごい命に出会いました!!
 カタツムリです。
 カタツムリは長距離移動することができないので、
 その地域ごとに固有種が存在することになります。

 石川県で見られる「ノトマイマイ」。

 雨あがりの青空に向かって、グッと
 首を持ち上げました。
 その姿が、未来に向かって道を切り拓こうとする
 そんな風に見えたのです。」

 

 

 

 

 

 

 

へー、この地方のカタツムリに

ノトマイマイって名前がついているんですね

カタツムリは日本全国同じだと思っていました

 

そういえば

シンガポールへ行ったとき

むこうで見かけたカタツムリは

さきっぽがとんがっていて

まるでバイ貝が這っているようでした

 

でもたぶんおいしくはないんだろうな

たまにグラウンドの水たまりでみかける

わかめのようなやつ

あれもおいしくはないそうですね

 

I’d rather be a sparrow than a snail

サイモンとガーファンクルは

地べたを這うカタツムリよりも

空を舞うスズメになりたいと唄いますが

青空に向かってクビを持ち上げる

カタツムリもいいですね

 

なんだか

「井の中の蛙大海を知らず」

のことわざには実は続きがあって・・・

というくだりを思い出しました

「井の中の蛙大海を知らず

 されど空の青さを知る」

 

カタツムリでさらに思い出したのですが

昔ナメクジが空を飛んでいるのを

見かけたことがあります

 

正確にいうと

粘液をまるで蜘蛛の糸のように使って

風に乗って木から木へと移動していたのです

 

蜘蛛でさらに思い出したのですが

今回同じく被災した飯田高校の

窓に巣を張るある種の蜘蛛は

夕方になると

毎日せっせと店じまいをするのです

巣の糸を1本ずつ外して

くるくると器用に丸めてポイ

そのしぐさがなんともユーモラス

きれいに片付けて

翌朝律儀に新たな巣を張るのでした

震災でどうなったかな?

元気かな?

 

娘が小さい頃持った疑問

「どうしてクモって自分の巣に

 かからないのかな?」

 

そう言われてみると???

気になって調べてみたら

縦糸って粘着性がないんですね

横糸だけがねばねばしています

なるほど

よく観察してみると

蜘蛛は自分の巣を歩くとき

たしかに縦糸の上しか歩いていません

 

そのとき娘が

自分で編み出した答えは

「わかった!

 心の足で歩いているからだ!」

アンパンマン見過ぎの娘でした

なんや?心の足って?

 

でも すぐさまネットで調べた父親に比べて

自分で答えを見つけた娘

こどもって偉いですね

 

話をナメクジに戻して

 

ナメクジに関係した

「三すくみ」という言葉があります

ナメクジは食われるから蛙を恐がり

蛙は食われるから蛇を怖がり

蛇はナメクジを畏れる

三者が揃うととお互いにすくんで

身動きがとれなくなることを表します

 

それにしてもなぜ蛇がナメクジを???

そこには私の専門

化学が関係しているのです

 

蛇の皮膚はビオレで洗ったように弱酸性です

一方ナメクジは

空を飛ぶ原動力ともなった

皮膚の粘液がアルカリ性

 

酸とアルカリが反応して水ができる

いわゆる中和反応は発熱反応です

1モルあたり57キロジュールの

大きな熱を発生させます

 

簡単にいうとナメクジの粘液が皮膚に触れると

蛇はやけどをしてしまうのです

そのことを経験的に知っている蛇は

ナメクジの姿を見ると逃げ出すのでした

 

なんか久々に授業したくなったな

「みる」の5段活用

106日目

 

今年度は年度当初から

通常ではありえない業務に奔走し

今日ようやく

生徒の授業を

みにいくことができました

 

生徒を「みる」ときには

5段活用を意識しています

「見る」朝一番に生徒玄関で

   挨拶しながらぼんやりと

   全体を大きく捉えて

「視る」朝の朝礼では

   気になる生徒を探しながら

   一人ひとり細やかに

「観る」授業では育てたいイメージを持ち

   変化や成長を感じながら

   そして良い面を探しながら

「診る」問題を起こしそうな生徒を

   その原因を探りながら

「看る」調子の悪そうな生徒に  

   その回復を促しながら

 

そういえば去年は

生徒全員への個人面談も

この時期始めていたな

 

ひとりずつ校長室へ呼んで

 

エレベータートークを活用して

一人ひとり自己PRさせていたっけ

エレベータートークというのは

たまたまエレベーターで乗り合わせたときの

平均時間が15秒

その15秒で自分をPRするトークスキルです

シリコンバレーで実際にあった

サクセスストーリーから生まれた言葉です

 

優れたホテルマンは顧客の名前を

全て頭に入れていて

常に名前を添えて挨拶するそうですね

自分もそうあらねばと思いながら

生徒の名前を覚えるのが

特に最近苦手です

 

「あれ?きみのなまえ 何だっけ?」

「田中ですけど・・・」

「いやいや、そうじゃなくって下の名前

 田中くんなのはもちろん知っているよ」

とせこい技を駆使しながら

 

生徒会役員の認証式を校長室で行いました

生徒会長 平 匠 さんをはじめ

当選者全員にひとりずつ

認証状を手渡しました

 

 

 

 

 

 

まだまだ日常にはほど遠い現状ですが

一歩ずつ前進していくための

原動力となってくれるメンバーです

心強い限りです

 

今日はグラウンド改修のための

測量が入りました

発災当初から

自衛隊車両の駐屯基地となって

液状化していたものを

元に戻す必要があります

 

現在市内の小中学校のグラウンドには

仮設住宅の建設が進んでおり

本校のグラウンド改修が済めば

小中学生の体育などにも

開放しようと考えています

 

輪島中学校のテニスコートも

使用できない状況なので

高校のテニスコートを

供用していく予定です

 

しばらく休部していた剣道部においては

技術指導に中学校の先生のお力をお借りし

地域の方のお力をお借りしながら道場を探し

復活の道を辿っています

 

これまで遅々として進まなかった

中高連携や

部活動の地域移行が

この震災を機に

一気に進みそうな予感がします

夢とうつつのはざまで

105日目

 

平日は

瓦礫の中の学校での教育活動

週末は家族の避難先でのお風呂など

という生活が続いています

おそらくこの先ずっと続きます

 

水が使えたり

いろんなお店が遅くまで開いていたりと

夢のような週末を過ごし

日曜日の昼食の後

学校へ戻ります

 

夢とうつつのはざまを

行ったり来たり

 

のと里山海道

昔は能登海浜道路といっていましたが

それすらなかった私の若い頃は

車で金沢まで3時間半かかっていたし

夜遅くまでやってるコンビニなんて

もちろんなかったし

その頃に戻ったと思えば

正直どうってことないのですが

若い先生方

特に金沢加賀地区から赴任された方は

きっととても辛い日々を

送っているんだろうなと

 

金沢から輪島への道中

窓からの風景を眺めていると

だんだん現実に引き戻され

同時に「よし!やるぞ!」

と戦闘モードに入ってきます

 

輪島市街地に入るほんの手前に

手弱女桜(たおやめざくら)が

見事な花を咲かせています

 

平安時代にこの地に赴任した地頭の随士が

京都の伏見稲荷に赴いた際に

持ち帰った幼苗が根付いたものだそうです

 

 

 

 

 

 

まんが日本昔ばなしのようなこの風景

ご覧ください

桃源郷ってこんなところをいうのかな

 

まんが日本昔ばなしといえば

その主題歌

「お尻を出した子一等賞」の歌詞に

いろんな解釈がなされていますが

自分が一番好きなのは

「競争社会において

 周囲の同調圧力に屈せず

 恥をかくことを畏れずに

 人前でお尻を露出するくらい

 大胆で抜きん出た発想と

 度胸と行動力を持つ者は

 集団を牽引する存在になる!」

というものです

 

この桜は夜になると

ライトアップされますが

妖しいまでに艶めかしい姿となります

 

これまた昔

「桜の花がパッと咲いた美しさを

 歌うのがAKB

 その花が散る美しさを

 歌うのが乃木坂

 その花が綺麗なのは下に死体が

 埋まっているからという美しさを

 歌うのが欅坂」

と例えていたコピーライターさんが

いらっしゃいましたが

この桜にはまさに

欅坂が歌う美しさがあります

 

桜って風が吹くと

はかなく散りそうなイメージですが

実は咲き始めて1週間

次の世代を残す営みが終わるまでは

どんな強い風にも

決して散らないそうですね

そんな強さと

散る時は一斉に散っていく

そんな潔さが

多くの日本人に愛される所以です

 

この手弱女桜

違った角度から撮影すると

 

 

 

 

 

 

 夢とうつつが一枚の写真に

 

「さまざまのこと思ひ出す桜かな」

思いはかなう

102日目

 

「この世は

 思ったとおりになるのだそうで

 『思ったとおりにならないよ』

 と思っている人が

 思ったとおりにならなかった場合

 思ったとおりになっているので

 やっぱりそれは

 思ったとおりになっているのだそうで」

ワンピースの作者

尾田栄一郎先生が

コミックの後書きに

書いていらっしゃいます

 

「思いは叶う」

このことを「WAJI活」の中で

体験してもらいたいと考えています

 

「WAJI活」

WAJIMAの魅力を再発見

「総合的な探究の時間」の中で

これまで取り組んでいました

 

今年は

自分たちの思いを

直接まちづくりに活かせる

絶好の機会であると捉えています

 

僕らの街は僕らが創る

「街プロ」

 

今日は

「どんなまちにしたいか?

 どんなまちなら帰って来たいと思うか?

 どんなまちなら人が集まるか?」

みんなでアイデアを出し合いました

 

 

 

 

 

 

 

自分がやりたいこと

見つかった人は

「医療・福祉」

「農業・漁業」

「教育・こども」…

などカテゴリーごとに

グループづくりです

 

 

 

 

 

 

 

走り出せる生徒は走り出せ

まだそんな気になれない生徒は

ゆっくりでいいよ

それぞれのペースで

それぞれの未来を

思い描こう

 

失敗したってかまわない

「努力して成功すると自信になる

 努力しないで結果が出ると驕りになる

 努力しないで結果が出ないと後悔が残る

 努力して結果が出なくても経験が残る」

これは山里亮太さんのお母さんの言葉です