校長室より「おこらいえ」

馳浩知事の決断に思う

地震から 414 日目

豪雨から 150 日目

 

教室の掲示物を見ると

担任の教育方針や取り組む姿勢がわかります

 

 

 

 

 

 

曲がって張られた掲示物に違和感を持たないようでは

ちょっとした生徒の変化に気づかないでしょうし

期限の過ぎた奨学金の案内などを

いつまでも貼っているようでは

大事なことが先延ばしになってしまいます

 

心理テストです

コタツを片付けるときあなたはどんなパターンですか?

スパッと片付けますか?

それともズルズルといつまでも出しておきますか?

あるいは一度片付けたものを後からもう一度出すタイプ?

 

これって恋人と別れた時のパターンと一緒なんだそうです

 

こたつや恋人はどうあれ

不要な掲示物はスパッとはずす

「掲示物を風景にしない」

このことが大事です

誰も見向きもしないようになった掲示物は

情報ではなく風景です

そこにはもはや意味などありません

 

さて馳浩石川県知事が

防災服着用をやめると宣言されました

新聞によると

金沢以南の県民からは

「いつまで着てるんだ?気が滅入る」

などの声があるそうです

何事もなく平穏な暮らしをされている方にしてみたら

そう感じるのは仕方ないのか

という気持ちになります

 

一方で能登の県民にしてみたら

「忘れ去られてしまうのか」

との懸念があるようです

 

しかし私は逆に

いつまでも防災服を着ていたら

やがてそれが風景となってしまうことに

心配を抱きます

 

単に

「能登のことを忘れてはいませんよ」

というポーズのためだけに着るのをやめ

スーツを着ていても

「心は常に能登にありますよ」

という知事の強い決意の現れであろうと

私は思っています

 

先日も馳知事は

タウンミーティングのために輪島までお越しくださり

被災者約20人からの質問に

一つひとつ回答してくださいました

「能登は日本の未来そのもの

 本当に困っている人を軸にして

 物事を積み上げていく必要がある」

と語ってくださったそうです

 

また別の報道では

発災時の初期対応について

「フルパワーではなかった」

との見解を明らかにしたとありました

 

石川県の県職員規定には

「震度〇以上の地震が発生した場合

 〇〇職以上の職員は〇時間以内に〇〇へ参集」

などが定められています

にもかかわらず県職員の出勤率が低い

という指摘でしたが

被災した現場から言わせてもらうと

そもそも出勤したくてもできない状況なので

正直やむを得ないと思います

 

私も発災後まっさきにやった仕事は

「学校に参集するな

 自分と家族の命を守れ!」

と規定とは真逆のことを

職員に一斉メールすることでした

当時の道路状況等を今思い出しても

その決断は間違いではなかったと

確信しています

 

参集したくても参集できない

参集によって命を落とす危険もあった

これが被災地の現実でした

 

対応の遅れをしばしば指摘されてもいますが

県庁でずっと取材をしている新聞記者によると

知事は被災地のために

いろんなアイデアを出してくださっている

だけど実務レベルにおいて潰されている

のだそうです

 

学校で必要なものを要望しても

「なぜ必要なのか?」

「どうしても必要なのか?」

をいちいち事細かに説明しなければならない

というのが現実です

 

「ボランティアが能登に入るのを控えるように」

と知事が発言したことが復興を遅らせた

という指摘もありますが

現場の者に言わせると

これも的外れな指摘です

あの日あの現場に

民間ボランティアが殺到すると

助からない命が

間違いなく増えていました

 

輪島高校の避難所には

食料の炊きだし支援がなかなか来ず

お風呂の支援もありませんでした

 

そんな中

このブログを見た多くの方が

「支援に行きたくても行政に止められて行けない」

と直接学校へ電話してきてくださいました

 

これまた私は即座に

「検問など突破して来てくれ!」

と行政とは真逆のことを言いました

おかげで民間のボランティアの方に

大きく助けられてきました

 

ですので

今回のように

行政は大きな視点で「被災地に入るな」と

そして実際には

現場の人間が個々に判断して最善の動きをする

というのが被災地での最適な動きであると思います


カタリバさんによる未来トークが行われました

 

 

 

 

 

 

詳しくはこちら

 https://cms1.ishikawa-c.ed.jp/wazifh/blogs/blog_entries/view/75/b50bb0993463f720ffec311c2844d8c0?frame_id=210


【今週のありがとう】

 

動物と共生するまちづくりの会 石津 佐智子さま

ますますご活躍のことと思います

 

藤本育英財団 藤本 由紀子さま

受験生への多大なるご支援本当にありがとうございます

 

群馬県立沼田高校JRC部のみなさん

温かいご支援忘れないよ もう進路決まった人もいるかな?

 

国際文化フォーラムの長江春子さま

楽しい本送ってくださりありがとうございました

 

中村 哲夫様はじめ石川コミュニティーセンターのみなさま

被災地訪問どうもありがとうございました

 

※このコーナーではこれまで

 ご支援いただいた方々を

 紹介させていただいています
 

自然は不思議の宝箱

地震から 413 日目

豪雨から 149 日目

 

豪雪からほっと一息

 

「氷が溶けると水になります

 では雪が解けると何になるでしょう?」

「答えは春です」

こんなお侠(おきゃん)ななぞなぞがありますが

今日は雪解けお散歩ワークショップです

 

雪解けをいろいろ科学の目で見てみましょう

 

まずはこんな不思議

雪は植物の周りから溶けていきます

 

 

 

 

 

 

植物は水を吸うから?

根の周りの水分がなくなると

その上の雪が溶けて吸い込まれていくから?

 

では植物以外ではどうでしょう?

 

 

 

 

 

 

仮説は否定されました

無生物の電柱の周りから溶けています

 

 

 

 

 

 

日差しを浴びた電柱がその熱を伝えるから?

 

植物にも体温があるということでしょうか?

 

ここで昔「美味しんぼ」で読んだ知識を思い出します

トマトに関する話

トマトの原産地はアンデスです

アンデスの気候に近づけてやると

本来持っていた生きる力を取り戻して

美味しいトマトができるのだそう

夏が旬のような気がしますが

日本で育てるには

冷涼なアンデスの気候に近い冬の方がよくて

乾燥した環境に近づけるため

水は極限まで与えない

そうすると茎や葉に細かい産毛が生えてきて

空気中の水分を吸うようになる

産毛には体温調節の機能もあって

健康なトマトの幹の周りは

ひんやりと空気が冷えているのだとか

 

雪国の植物は

自分の周りを温めて雪を溶かす力を

持っているのかもしれません

 

次はこんな不思議

 

 

 

 

 

 

凍ったままの雪は真っ白なのに

溶けかかった雪はグレーです

ということは?

 

 

 

 

 

 

空に浮かぶ雲の

真っ白い部分はしっかり凍っていて

グレーの部分は溶けかかっている

 

溶けたグレーの部分が

雨粒になって落ちてくると考えると

雨雲がグレーであることにも

納得がいきます

無駄な役職廃止!

地震から 412 日目

豪雨から 148 日目

 

神戸市私立保育園連盟(谷村 誠 会長)様から

生徒一人ひとりにお米が送られました

 

当連盟のみなさまは

豪雨の際に浸水家屋の復旧作業に参加してくださり

今回は

市内の小中高と幼稚園と保育園に通う子ら全員に

お米を贈ってくださりました

本当にありがとうございます


先日PTA役員会が行われました 

みなさんご自分の生活すらままならない中

それでも役員を引き受けてくださり

本当にありがとうございました

 

特に会長さんには

金沢に生活拠点があるのに

無理にお名前だけでもとお願いし

引き受けていただきました

 

昨年一年間は

「楽しいことだけやりましょう」

をモットーに

炊き出しなどの活動に力をお借りしました

 

子供たちのために集まっていただきました

本来のPTA活動ってこうなんだろうなと

子供たちとお母さん方の笑顔を目にして

そう思いました

 

来年度もこの活動を継続します

一部の役員の方だけが

無理にお仕事をやりくりして

朝早く挨拶運動などに立たなければならないなどの

形骸化した活動は一切やりません

 

全員が役員で

子どものためにやりたい!

とみなさんの中から湧き上がった活動だけを

無理せずその都度できる方だけで

やっていきます

 

そのため会則も改めます

書記 会計 理事 評議員 母親代表 監事 顧問など

無駄に多い役職を一掃しシンプルにまとめます

正式には来年度の総会で決定します


北陸地域最大級の

公安系公務員の合同説明会へ行ってきました

 

 

 

 

 

 

自衛隊 警察官 刑務官 海上保安庁 消防

我々の安全な生活を守ってくださっている

尊い職業

その担い手となる高校生に

正しく理解をしてもらいたいと思います

 

 

 

 

 

 

金沢刑務所では受刑者の

所内での号令をかけながらの行進式移動を廃止

また呼び捨てからさん付けへと変わっています

運動会や球技大会などもあるそうです

 

震災の際にお世話になった方々ばかりです

お礼とご挨拶を兼ねて行ってまいりました

 

 

 

 

 

 

3月11日(消防・自衛隊・刑務)

12日(海上保安庁・自衛隊・警察)には

石川県では初開催となる

職場見学ツアーも企画されています 


鳥羽に研修旅行に行っていた生徒たち

無事金沢駅に到着しました

 

 

 

 

 

 

お伊勢参りの旅

地震から 411 日目

豪雨から 147 日目

 

今日から何人かの生徒が

伊勢へ研修旅行に出かけます

 

朝の4時半出発

大雪のため道路状況が心配なので

念のため前もって下見をしてきました

 

 

 

 

 

 

朝の3時なのに災害復旧現場には

灯りが煌々とついていました

そのおかげかどうかわかりませんが

除雪車も早くに入ってくれていました

安心して出発できそうです

 

 

 

 

 

 

参加したのは

1年生

浦 勇誠 さん 小町 優真 さん 

小住 優太 さん 森下 正幸 さん

3年生

出坂 舞 さん 森田 心優さん 福久 凪 さん

の7名です

 

大成建設さんのお力添えで

三重県にある(株)REMAREさんを訪れます

廃棄する漁網を甦正させて

さまざまなものを造る会社です

 

参加する3年生の中には

大学に進学して

建築や街づくりについて学ぶ予定の生徒もいます

 

1年生の中には

被災地を巡るツアーを企画運営する会社を立ち上げたい

という夢を持つ生徒も

ぜひ実現させてほしいと思います

卒業してからと言わず

在学中にぜひ

 

おとなりの飯田高校に

在学中に起業した女子高生2人組がいます

彼女らの目のつけどころがすばらしかったです

 

日焼けして売り物にならないカボチャが

畑にゴロゴロしているのを目にして

何とかならないかと考えました

おばあちゃんに聞いてみると

金沢の業者に卸すとき

売り物にならないのは買ってもらえないとのこと

ホテルやレストランに掛け合ってみると

下ごしらえ済みの野菜を

金沢の業者から購入しているとのこと

 

彼女らは気づきます

せっかく作ったかぼちゃのうち

きれいなものだけを安く買い叩かれて

切って洗っただけのものを

高く売りつけられていることに

 

課題は

珠洲に一次調理施設がないことだ

じゃあ私たちでそれをやろう!

これが起業へのきっかけでした

 

やがて彼女らは大学へ進学し

平日は大学で学び

休日は珠洲に戻って会社経営

そんな道を歩むのでした

震災後どうなっているのでしょう?

 

現役女子大生による

地元の限界地域を救う挑戦的企業

株式会社ABOBORA(アボボラ)です

カボチャエキスを使った

身体と環境にやさしいネイルオイルなども

開発しています

ぜひ応援してください

 

輪島高校の1年生たちにも

ぜひがんばってほしいです

 

研修旅行のほうは

今日の午後会社を視察して

明日は伊勢神宮を訪れ

夜の8時頃に帰ってきます


石川県商業生徒発表会に

ビジネスコースの3年生が出場しました

 

 

 

 

 

 

浦野奏太さん 北濱一斗さん

木村麗人さん 林 祐樹さんが

自分たちが考えた修学旅行誘致プランを

発表しました

能登を元気にするオリジナル弁当!

地震から 410 日目

豪雨から 146 日目

 

家庭科の山上先生からの報告です

今日は山梨県より「目指せ!!日本まるごとゴミ拾い 特定非営利活動法人 まるごみ」DJ KOUSAKUさんをお招きして特別授業を行っていただきました
生徒は事前に考案したお弁当のおかずを今日の授業のなかでグループ内共有しグループ内でNO.1を選出しました
”小学生に大人気!生姜くせぇ生姜焼き弁当”
”濃厚クリームとろ~り!能登産カニクリームコロッケ”
”能登地鶏の辛みチキン”
どれも美味しそうなだけでなくネーミングセンスも抜群でこのほかにも多くのアイディアが出ました
DJ KOUSAKUさんは生徒たちが上手にchromebookを活用して授業をしている様子に驚かれていました
今後生徒たちが考案したオリジナル弁当が商品化されるのが楽しみです

見てください この表情 
きっとお互いに忘れられない学びになったのではないでしょうか

 

 

 

 

 

 


パリで行われた

OECD教師生徒サミットに参加した生徒たちが

門前中学校さんで

その様子を発表してきました

 

全校生徒42名が聞いてくださいました

 

参加したのは

長井彩綺さん 三中そらさん

上野緋子さん 谷内友優さん

辻 姫花さん 山下明日凪さん

前名拓実さん 宮腰大地さん

 

 

 

 

 

 

世界各国のお友達ができたこと

お互いの文化を理解できたこと

震災を経験したからこその出逢い

そして未来への希望

世界って意外と近いんだなってこと

半島の先っちょに住んでたって

いくらでも世界と繋がることができること

 

たくさんのことを学んできました

そのことを

自分たちの言葉で伝えてきました

 

OECDの「おさんぽめがねワークショップ」の

こともお話ししてきました

 

夏休みに輪島高校でもやったアクティビティ

 

お散歩しながら

街の景色を教科のめがねで観ます

 

 

 

 

 

 

たとえば今日のこの会場

教科のめがねで見るとどう見えるかな?

 

図書館って英語でどういうのかな?

Library 

じゃあ本棚は?

Shelf

引き出しは?

Drawer

英語のめがねで見てみました

 

本棚があるよ

どんな木でできているのかな?

ナラとかオークが多いよ

日本やロシアで採れるものをナラ

北米で採れるものをオークと呼ぶんだって

耐久性に優れ硬くて重く家具作りに向いているよ

乾燥に弱いから

エアコンの風が常に当たるような場所に

置いたらダメらしいよ

生物のめがねで見てみました

 

「オークの原産ってどこかな?」

「カナダ南部からアメリカらしいよ

 南北に広く分布しているから

 産地によって木材の特徴が違うみたい」

「温暖な南部で育ったオークは成長スピードが早くて

 木目が大きいんだって」

「うちのお父さん大工してるけど

 地元の木材使うとその地方に合った家ができるって

「そうか南国の柔らかい木で雪国に家建てても

 重さに耐えれないんだね」

「地産地消ってそういうことか」

地理のめがねで見てみました

 

「このホール丸いね」

「体積計算できるね」

「半径どれくらいかな?」

野球部の生徒が口をはさみます

「20mくらいじゃないかな?」

「どうして?」

「塁間の27mよりちょっと短い気がするから」

体育のめがねが加わり

「じゃあ底面積は半径×半径×円周率だから

 20×20×3.14=1,256㎡

 高さが10m ほどだから体積は

 1,256 ✕ 10 = 12,560㎥」

「リットルに直すと 12,560,000Lか」

数学のめがねで見てみました

 

「この中の空気ってどのくらいの重さかな?」

「1mol は22.4Lだからモルに直すと

 12,560,000 ÷ 22.4 ≓ 560,000 mol」

「空気1mol は22.8gだから

 560,000 ✕ 22.8 ≓ 12,800,000 g

 つまり約13t!」

 化学のめがねで見てみました

 

ふたたび生物のめがねで

「象1頭の体重は約6tだから

 ほぼ象2頭分か!」

 「そんなに重いの?」

 

「もし今この瞬間全員が

 ここに生き埋めになったら

 どれだけの時間

 酸素がもつんだろう?」・・・

 

こうして

自分で新たな問いを見つける力

そしてさまざまな教科で身につけた知識

それを総動員して考える力

そんな力を身につけた人が

災害が起こったときに

中心となってみんなを救うことのできる人です

 

そして未来を創造できる人です

 

そんな人を育てることが

教科横断型教育やSTEAM教育の狙いです


【今日の生徒の叫び】

校長ブログを読んだ生徒が書いてくれた

コメントを紹介するコーナー

 

今日は昨年2月27日「卒業おめでとう」

のコラムを読んでくれた生徒からです

 

 去年1月1日に地震があり、今まであたりまえに通っていた学校に通えなくなってしまい、皆が落ち込んでいるときに、輪島高校に勤めている先生方はすぐに行動に移し、私たちの学習できるスペースを確保してくださいました。そのおかげで去年の3年生たちは十分に学習ができたと聞いています。私も羽咋工業高校さんの練習に参加させていただき、新しい出会いもありました。 

 3年生はとっても大変な時期が多かった年代ですが、それを感じさせないほどの元気よさが、今の私達を元気でいさせてくれました。そんな3年生の卒業式に出れてとてもうれしかったです。校長先生がおっしゃっていた「輪島に残るみんな一緒に新しい街創ろう。一旦輪島を離れるみんな、きっといつか帰っておいで。みんなが驚くような街創ってまっとるし。」の言葉で会場にいた皆が一致団結したと感じました。これからもこの輪島をよりよいものにしていきたいと思います。《池壱心》