校長室より「おこらいえ」
梅雨と雷と鬼伝説
206日目
昨日までの猛暑とはうって変わり
今朝から雷をともなう大雨
雷がなると梅雨明け間近
などと昔から言われます
梅雨明けしたと思ったけど
どうもまだのようです
梅雨には陰性梅雨と陽性梅雨
そして蝦夷梅雨があります
梅雨は
オホーツク海高気圧と太平洋高気圧が
ぶつかるところで発生します
オホーツク海高気圧の影響を大きく受け
東日本や北日本に多いタイプの陰性梅雨は
気温が低く弱い雨や曇りの日が続きます
蝦夷梅雨は毎年あるものではなく
正式な定義でもないのですが
北海道でまれに見られる
日差しがなくなる梅雨です
例年の能登半島は
この両者の中間といったところでしょうか
そして
太平洋高気圧の影響を大きく受け
西日本によく見られる陽性梅雨は
強い雨が降ったと思えば晴れの日もある
変化の激しい梅雨です
まさに昨日から今日に見られる気候です
太平洋高気圧の影響を受ける
梅雨前線の南端には
急激な上昇気流が発生し
雷がなります
太平洋高気圧が
オホーツク海高気圧を押し上げて
梅雨明けとなりますので
言い伝え通り
雷は梅雨明けの前兆なのです
ところで
雷の多い年はお米が豊作
という言い伝えを知っていますか?
雷の放電により
空気中の窒素が
アンモニウムイオンとなり
土の中に多く溶け込みます
窒素、リン、カリウムは
植物の3大栄養素といって
これらが豊富に含まれる土では
植物がよく育ちます
このようなしくみにより
雷が多い年は稲がよく育ち
豊作となるのです
雷の光や音を
稲光 稲妻と呼ぶのは
このことに由来していますし
注連縄(しめなわ)の下に垂らした
紙垂(しで)も
雷を象った(かたどった)ものです
北陸地方は
世界的に見ても類を見ない雷の産地です
それも冬に多いという特殊な場所です
しかも北陸の冬の雷は
他の雷とは全く異なる特徴を持ちます
空気が急激に暖められると
激しい上昇気流となります
昇って行く過程で
湿った空気が分子同士で衝突し
静電気を生じます
これが雷のもとで
積乱雲(雷雲)の雲底
つまり地面に近いところには
マイナスの電気がたまります
この電気が地表に向かって落ちていくのが落雷です
ところが北陸の積乱雲は
大陸からの強い季節風によって
上下がひっくり返ります
つまり雲底にはプラスの電気がたまっています
これに向かって地面のマイナスの電気が
昇っていくのが北陸の雷です
つまり北陸の冬の雷は
落ちるのでなく昇るのです
実際にそれを捉えた写真もあります
また青白い稲光が特徴で
それゆえに北陸地方には
赤鬼伝説よりも青鬼伝説や白鬼伝説が多く残ります
そして雲頂にたまったマイナスの電気は
宇宙に向かって昇っていく
「スプライト」と呼ばれる雷となります
太平洋側にお住まいのみなさん
冬の天気のいい夜に
北の空を見上げて見て下さい
運がよければ
北陸から宇宙へ昇っていく雷を観測できますよ
学校では今
夏期補習を行っています
インターンシップに出かけている生徒もいます
お世話くださっている企業のみなさま
ありがとうございます
明日は中学生向けの
体験入学が行われます
夏本番
205日目
焼けつく日差しが夏本番を思わせます
熱中症にはくれぐれも
お気をつけください
屋外に車を停めておくと
瞬く間に灼熱地獄となります
短時間だからといって
決してお子さまやペットを
車内に残さないように
ただダニを死滅させるには
いいらしいですよ
ぬいぐるみなんかを
入れておくと効果的だそうです
あと熱くなった車内の温度を
一気に下げる裏ワザがこちら
まず助手席側の前後の窓を開けます
運転席側の窓は閉めたまま
2枚のドアを勢いよく
バタンバタンと数回開閉
これで車内の熱い空気が
一気に入れ替わります
金沢方面へ2時避難している生徒が
1学期の間通い続けた内灘高校
学期の終わりということで
今日掃除に行ってきました
寒さに凍える中通い始めた
海辺に立つ学び舎には今
初夏の風が吹いてきます
ガランとした教室
思い出がよぎります
寂しい思いをさせたくない
遠い道のりを何度も通ってくれた
先生がいます
何もかも嫌になって
途中来れなくなっていた生徒もいます
それぞれの想いの詰まったこの校舎
お世話になった
内灘高校の先生そして生徒のみなさん
これまでご不便をおかけしました
学習場所の確保から
通学手段の手立てまでご尽力くださった
教育委員会のみなさん
金沢大学のみなさん
心から感謝申し上げます
一歩ずつ一歩ずつ
新しいステージに向けて歩んでいます
夏休みの思い出
204日目
夏休みの2日目
いろんな方から
教職を目指した理由なんかを尋ねられることがあり
そのたびにもっともらしい答えをしてはいるものの
正直なところ
「夏休みがあるから!」です
私が教員に採用されたころ
正直夏休み中一度も学校に来ない先生もいて
夏休みは教員にとって
貴重な自己研鑽の場であったわけです
ところがあるときから
教員の自主研修権の取得が難しくなり
今では
授業がなくても教員は毎日出勤
授業のある日以上の膨大な
書類処理に忙殺される毎日です
とはいったものの
私自身
初任1年目だけ
夏休みの恩恵にあずかりました
夏休みまるごと
県教委主催の英語科教員海外研修に
理科の教員でありながら
ずうずうしく参加し
アメリカ各地の学校をてんてんと
視察に行ってきたのです
渡航費等はもちろん自腹ですが
その分貪欲に学ぶことができました
さまざまなルーツを持つ生徒に
教員がそれぞれの接し方をします
その様子を見て
これからくるグローバル化を予感したものです
帰ってからは
世界中の人と話がしたい!
と外国語の勉強に励みました
日本人は
Do you speak English?
と問いかけられると
私の英語レベルなんてとても
と謙遜し
No,I can't.
と答えがちですが
実はそれは
「あなたと英語でコミュニケーションとりたくありません」
という限りなく失礼な意味に
なるということもそのとき学びました
今ではぬけぬけと
「私は13ヶ国語話せます」
と言ってまわっています
中には
「キートス(ありがとう)」しか知らない
フィンランド語も含まれています
Do you have some question?
疑問文では any を使うんですよ
としか学んで来なかった私にとって
これも目から鱗でした
any を使うと
「まさか質問ないよね?先行くよ」
という印象を与えるので
「どんな質問でも Welcome ですよ」
という印象の some を使うのだそうです
先日OECD(経済協力開発機構)の
シュライヒャー局長が来校されました
OECDは
世界38ヶ国の加盟国によって構成され
「世界最大のシンクタンク」として
さまざまな分野の政策調整などを行っています
教育分野においても
PISA(学力到達度調査)などの調査活動を行い
教育改革の推進や教育水準の向上に寄与しています
局長様はドイツ人
同行された奥様はイタリア人ということで
ドイツ語とイタリア語でご挨拶したところ
いたく気に入ってくださり
その後の対談でも
復興に向けて全面的にバックアップする
との約束をしてくださいました
こう考えると
挨拶って本当に大切ですね
そしてさらに言えば
教員1年目の夏休みの研修の成果が
およそ40年の時を超えて
まさかこんなところで実を結ぶとは
教員には自分を磨く時間が必要です
なんとか先生方の負担を減らそうと
いう思いだけはあるのですが
Posttraumatic Growth に向け
新たな取り組みをどんどん仕掛けて
負担を増大させていることに
心を痛めています
夜中の9時10時まで机に向かって
教材研究をしている姿を見ると
自分の力不足を思い知らされます
全国的に教員のなり手が不足しています
その対応策のひとつが
夏休みの自主研修権の復活です
教育公務員特例法に
「絶えず研究と修養に努めなければならない」
と定められている以上
その時間を保証するしくみが必要です
人が学ぶのは
(1)人
(2)旅
(3)本
といわれます
魅力ある教員を育てるためには
旅に出て
いろんな人と出会い
ゆっくりと本を読む
そのための時間が必要です
「街プロ」のあるグループが
夏休みを利用して視察旅行に出かけます
引率を若い先生にお願いしました
生徒とともにいろんなものに出逢い
これからの教員生活へ向けた心の糧となるような
豊かな経験を積んできて欲しいと思っています
日本チャチャチャ!
203日目
昨日本校野球部が応援に行った
高校野球では
日本航空石川が勝ち上がり
ベスト8入りを果たしました
日本航空高校が石川県に
日本航空第二高校として創立した当初
関係者の方々が
「ニホンこうくう」は航空会社
我々は「ニッポンこうくう」と
おっしゃっていて
スタンドの応援も
「ニッポンこうくう!」
と連呼していたのを思い出します
今SNSで調べてみると
「ニホンこうくういしかわ」
となっていますが
実際のところどうなんでしょうか?
昨日池上彰先生がご自身の番組で
「ニホンでもニッポンでもどちらでもよい」
とおっしゃっていました
ここで「日本」の読み方について
おもしろい話をひとつ
「日本」には
「ニほん」と「ニッぽん」
ふた通りの読み方がありますが
ひっくり返して「本日」にすると
「ほんジツ」という
全く違う読み方になります
この読み方に従えば
「日本」は「ジッぽん」になるはずです
そう江戸時代初期はそう発音していたのです
それがヨーロッパに伝わり
「ジッパン」「ジパング」「ジャパン」に
以前何かで読んだ知識ですが
諸説あるようです
もうすぐパリオリンピックですね
がんばれ!
「ジッポン!チャチャチャ!」
石川県高校野球連盟では
被災地輪島の高校野球ファンのために
決勝戦の模様を
パブリックビューイングで
お届けしてくださいます
輪島高校体育館に大型スクリーン
石川県立野球場まで
足を運ぶことのできない方のためへの
贈り物です
日本航空石川の反対の山からは
同じ輪島市の
門前高校もベスト8に勝ち残っています
輪島勢どうしの決勝を
輪島高校で輪島市民が観戦する!
夢のようなストーリーですが
どうなるでしょうか?
いずれにせよ決勝戦当日は
輪島高校第二体育館でお待ちしています
今日から夏休み
202日目
禍福は糾える縄の如し
幸せと不幸せは背中合わせで
繰り返しやってきます
そして歴史は繰り返す
まるで螺旋階段から眺める景色のように
同じ風景が繰り返し見えます
でも人間はそれほど愚かではなくて
同じ風景でも次に見る時は
一段上から見ている訳で
以前見えてなかったものが
新たに視野に飛び込んできたりします
そして未来は着実に
よい方向へと向かっていきます
鎖国で世界に遅れをとった日本は
明治以降
世界に追いつけ追い越せと
子供たちに知識を身につけさせる
教育制度を展開します
ところが太平洋戦争で
完膚なきまでに叩き潰された日本は
教育制度の転換を迫られることとなります
GHQが主体となって推し進められた教育改革は
「戦後の新しい日本を造るには
これまでの知識偏重型ではダメだ
生徒が主体となって
自ら課題を発見し
その解決に向かって自ら主体的に学ぶ
そんな教育課程である必要がある」
とされ探究型の授業へと
舵が切られました
「課題研究」という教科が
小学校に取り入れられます
その時の教科書がこちら
今でいういわゆるプレゼンですね
年度はじめに自分でテーマを決めて
1年間かけて研究していきます
そして最後に発表します
この教育制度で学んだ方々が
戦後日本の復興の
原動力となっていくのですが
これって何かに似ていませんか?
そう
震災から立ちあがろうとする
輪島高校が仕掛けている「街プロ」は
まさに戦後復興を支えた教育制度なのです
時代は流れ
戦後復興を果たした日本は
高度経済成長時代を迎えます
この時代になると
正確かつ迅速に指示に従い
短時間で結果を出すことのできる
豊富な知識を持った人材を
産業界は求めます
この社会の要請に従い
知識を重視した教育課程へと
螺旋階段を登ります
当然
時間のかかる「課題研究」という教科は
姿を消すことになるのですが
教育的効果が大きいと考えていた
当時の先生方により
夏休みの「自由研究」として
姿を変えて残ることとなりました
このようにして
夏休みの「自由研究」って
生まれたんですね
夏休みに入り
部活道もそれぞれの場所でそれぞれ
サッカー部は
日本航空高校石川さんの
グラウンドをお借りして
朝もやの中駆けています
ここは中学校 ジュニア シニア
あらゆるチームがお世話になっています
同じ敷地内に
県外からの復興支援者の宿舎があり
そこのサッカー愛好者も集まって
一緒にゲームを楽しむ
交流の場としても
機能しているそうです
男子バレー部は七尾高校で
ここは私が以前10年間勤めていた学校で
人気コミック
「君は放課後インソムニア」
の舞台となっています
校内の風景が
作品中にそのまま再現されています
天体観測室もあり
当時夏休みになると
地域の小学生を集めて
天体観測会を開いていました
懐かしいな
バドミントン部は
「がんばろう能登」プロジェクトの
合同練習会に参加です
多くの学校の選手と交流できています
日本代表の漆崎真子選手や
名門筑波大学のバドミントン部選手の
一流プレイを間近で見ることができました
吹奏楽部は津幡町文化会館「シグナス」で
石川県吹奏楽コンクールです
課題曲「さくらさくら」
自由曲「丘の上のレイラ」を奏でました
野球部は石川県立野球場で応援です
どちらもお世話になった
金沢桜丘高校と
日本航空石川の対戦
どちらかにつくわけにいかず
バックネット裏で応援です