校長室より「おこらいえ」

2月27日 絆の日

58日目

 

2月27日は「絆の日」だそうです

2月14日の「バレンタインデー」と

3月14日の「ホワイトデー」の中間であることと

2人のきづ(2)な(7)

【2人の絆】とかけて

恋人同士の絆を深める日として

結婚カウンセラーさんが設定したようです

「冬の恋人の日」ともよばれるのだとか

 

被災以来、人と人との絆を感じています

先日 山椒魚のピアノを助けてと呼びかけたら

ピアノは運べんけど壁ぶち抜くのはまかしとけという名人と

壁ぶち抜く名人を紹介するよっていってくれた保護者

ピアノを運ぶプロ紹介したげるよっていってくれた楽器屋さんに

楽器屋さんに相談しとくよっていってくれた宴会部長に

宴会部長に助けてあげてっていってくれたカウンセラー

 

いろんな人に助けられて

山椒魚脱出できそうです

 

今日はお昼の2時頃に大きな余震が2度

そのとき小学校3年生の授業を

廊下から眺めていました

 

揺れたとたん

先生の指示よりも早く

全員が机の下へさっと身を隠しました

その間 おそらく

1秒かかってなかったと思います

同じく廊下にいた小学校の先生といっしょに

思わず拍手をしてしまいました

そのくらい見事な避難行動でした

ただ小学校の先生は

こんなことが上手になるなんて

かわいそう・・・

と複雑な面持ちでした

 

卒業式が近づいてまいりました

金沢市の音楽堂で行います

 

輪島から送迎バスを運行します

予約した3年生とその保護者のみご利用できます

 

自家用車でお越しの方は

駐車料金をご負担願います

 

1,2年生へは動画配信しますが

直接来たい人は入場できます

できる範囲でかまいませんので

制服等、式にふさわしい服装で来て下さい

 

式には報道各社も入ります

映りたくない卒業生は

あらかじめ学校までお知らせ下さい

 

式ではひとりひとりに卒業証書を手渡します

当初の予定終了時刻よりも遅くなります

あらかじめご了承ください

輪島行き復路バスの予定出発時刻は16:30となります

 

今日の「PRAY FOR JAPAN」

じいちゃんが電話で言っていた。

『お国のために電気を消すのも

 燃料を節約するのも全く苦ではない。

 今回は空から爆弾が降ってくるわけではない。』

日本で2番目に高い山知っとるか?

57日目

 

「日本で2番目に高い山知っとるか?

 俺も知らん!」

これは 自分が昔 練習試合等でお世話になっていた

ある高校野球の監督さんの言葉です

滋賀県から何度か甲子園に導いた実績をお持ちなので

重みのある言葉です

「だから一番を取れ!」という意味です

 

一番でないとダメなんですか?

というご意見もおありかと思いますが

一番でないと得ることのできないものもある

一番を取ったこともない自分が言うのもなんですが

そう思います

 

富士山のように

自分だけの力で一番を取れるのは

限られた人でしょう

 

でも決して一番でなくても

一番に負けないくらい

みんなに認められる存在になることはできます

 

それが

群馬が誇る名山「赤城山」です

多くの方に知られる「赤城山」

しかし「赤城山」という山は実際には存在しないのだそうです

黒檜山、駒ヶ岳、地蔵岳、長七郎山、小地蔵岳、鍋割山、荒山、鈴ケ岳

などの山々の総称が「赤城山」です

 

それぞれに特徴を持った山々が集まって

全体で輝いているのです

 

現在、高校は

一年の中で最も忙しい時期です

大学入試に向けての進路指導

高校入試に向けての準備

学年末の試験と成績処理

そして新年度の準備

 

今年はそれに加えて

避難所運営や

小中学校への校舎提供

学校行事もこれまでのノウハウが全く使えず

全てをゼロから作り上げています

 

大学入試への指導を進路指導主事が

卒業式の計画を総務主任が

高校入試の準備を教務主任が

しかも今年は入試会場が輪島と金沢の2ヶ所

授業も対面とオンラインを並行させて

それぞれの専門性や能力を発揮しながら

先生方が全員で輝いています

 

特に頭が下がるのが

実家が金沢や加賀方面にある若い先生方です

実家にいれば何不自由なく

暮らせているはずなのに

水道が復旧しないのでお風呂に入ることもできず

アパートが傾いているので車中泊している先生も

買い物もかなり制限のある中 炊きだしの食事でしのぎ

 

それもこれもただ生徒のためだけに

必死に耐えて頑張ってくれています

その責任感とプロ意識

自分はひたすら見守ることしかできません

心の底から感謝です

 

富士山が堂々とそびえ立つように

強いリーダーシップでぐいぐい引っ張ることはできない校長ではありますが

献身的な先生方が

見事な「赤城山」をつくり出しているのです

 

今日の「PRAY FOR JAPAN」

母「ホッカイロ逃げたぁ」

妹「逃げてないよ♪」

母「あ、いたいた☆」

停電中、家族で一つのふとんに入り、

あったかい娘の足を探すかわいい母なのでした。

悲しい調べの「まれぞら」

56日目

 

今日は音楽の話から

 

ドミソの和音は明るく元気な調べです

起立礼着席 チャーンチャーンチャンの

最初の和音

Cメジャーコードといって

楽しい曲の伴奏や旋律に使われます

 

ドミソの和音の

ミの音を半音下げてミ(フラット)に

つまりドbミソにすると

Cマイナーコードといって

一転暗く悲しい響きに変わります

 

簡単にいうと

明るく元気な曲でも

曲中のある音を半音下げるだけで

暗く悲しい曲に変わるというわけです

 

少しずつではありますが

金沢と能登を繋ぐ大動脈

のと里山海道の復旧も

進んでいます

 

先週ぐらいに片道復旧した別所岳付近に

おとのみち「希空(まれぞら)」があります

土屋太鳳さんが

輪島高校の高校生という設定であった

NHKテレビ小説「まれ」の

主題歌「希空」のメロディーが

聞こえてくる道です

 

 

 

 

 

 

道に細かく溝が刻まれていて

その上をタイヤが通ると音がします

溝の幅が狭いと高い音

広いと低い音がして

一定の速度で走ると

音楽に聞こえるという仕組みです

車の速度によっても音程が変わり

早く走ると音程が上がります

 

今回の震災で

ところどころ減速をしなければならない箇所があり

明るく元気な曲であるはずの「希空」が

なんだかもの悲しくなって聞こえることに気づいた方

他にいます?

 

さて今日は国公立大学の2次試験の日です

1月以来厳しい環境の中

頑張ってきた3年生

どうか落ち着いて

力を発揮してきてください

 

今日の「PRAY FOR JAPAN」

娘三歳がぬいぐるみ達を

うんしょ、うんしょと、どこかに運んでいた

「じしんがくるから、みんなひなんしたの」と言う

しばらくして、さて寝るかとパパの掛け布団を開いたら

ぬいぐるみが全員寝ていた

思わず吹き出した

そしていつもパパと寝ている娘三歳が「ここが安全」と

思ってくれていて嬉しかった

山椒魚を助けてください

55日目

 

世間は3連休の真っ只中

被災地への配慮からか

石川県への観光客数が激減していると

報道されています

金沢界隈を歩いてみると

日本人観光客の姿はほとんどなく

インバウンドばかりが目立つと聞きます

 

東日本大震災で日本中が自粛ムードの時

東北の造り酒屋のご主人が

「日本中のみなさん

 こんなときだからこそ

 我々の作ったお酒をどうぞ呑んでください」

とおっしゃっていたのを思い出します

 

日本中のみなさん

一部を除いて石川県は元気です

遠慮なさらずに

どうか観光にお越しください

みなさんが来てくださることが

復興に繋がります

 

私はといえば

1月4日のブログで紹介した

「奇跡の一軒家」に入り込んで

家財の整理をしています

 

 

 

 

 

 

 

 

ほとんど使い物にならないものばかりですが

このまま取り壊される家と一緒に 

処分されるのがかわいそうで

せめてきれいにしてあげて

と無駄な努力をしています

 

このブログを読んでくださる方に

お知恵を借りたいことがあります

 

グランドピアノを運びだす方法を

ご存知の方いらっしゃいませんか?

 

「奇跡の一軒家」は

火災地区の東の端にあるのですが

西の端に両親が住んでいた家が

これまたギリギリで燃え残っているのです

 

 

 

 

 

家は傾き

取り壊されるのを

待つばかりなのですが

運び出したいピアノはこの中にあります

娘たちが練習していたピアノです

 

 

 

 

 

 

 

 

ただピアノを入れてから

家の改修をしたため

部屋の出口がピアノより小さいという

井伏鱒二の「山椒魚」状態なのです

壁をぶちぬけばいけそうですが

そのはずみで家が倒壊しそうだし

 

このまま家と一緒に取り壊される

その前に運び込むことができれば

奇跡のピアノとして学校において

ストリートピアノにしたいなと

考えてはいるのですが

 

どなたかぜひお知恵を 

瓦礫の中のランドセルとお洋服

54日目

 

卒業式のシーズンが近づいてきました

 

東日本大震災の6年後

横浜のある小学校の校長先生が

こんなご挨拶をなさいました

 

6年前、みなさんと同じように

小学校の入学式を心待ちにしていた子がいました

幸い家族は全員無事でしたが

津波で家は跡形もなく流されてしまいました

 

お母さんは瓦礫の中から

泥だらけのランドセルを見つけ出し

水で洗いました

もちろん水道が復旧していないときだったので

貴重な溜め水できれいにしました

でも完全にはきれいになりませんでした

 

そんな子のために新しいランドセルが寄付され

ピカピカのランドセルでその子も入学式に向かいました

 

話はここからです

 

実は入学式の翌日から

その子が背負い続けたのは

ピカピカのランドセルではなく

お母さんが必死で洗ってくれた

瓦礫の中のランドセルだったのです

 

「おかあさん 6年間ありがとう

 おかあさんが洗ってくれたランドセルで

 学校に通ったから頑張れました」

卒業式でそう言ったそうです

 

この子

今20代後半ぐらいですかね

今まで何人もの

東北地方からのボランティアの方に

お会いしたので

もしかしてその中にいらっしゃったかも

 

先日、奇跡の一軒家に忍びこんで

瓦礫の中の

桐のタンスの中から

娘たちが小学校の入学式や卒業式で着ていた服を

引っ張り出してきました

桐ってとてもよく水を吸う木材で

しかも水をかけると隙間なく膨張して

中の衣類をしっかりと守るのだそうです

だから中の衣類をきれいなまま

持ち出すことができました

 

 

 

 

 

 

大事なお洋服燃えてしまった方

いらっしゃいませんか

よろしければ差し上げます

輪島高校校長までお声かけください

 

今日の「PRAY FOR JAPAN」

2011年3月11日に生まれた子供の名前には

『希』『明』『愛』『心』という文字が

多く付けられているそうです