校長室より「おこらいえ」

お引越し大作戦

地震から 708 日目

 

いよいよ仮設校舎ができました

これまで長かったような

短かったような

 

校舎の傾きが見つかったのは

地震直後のことでした

最初に気がついたのは

山崎先生でした

「二号棟が傾いている気がします」

最初は言われて初めて気づく程度

の傾きでした

 

そのうちだんだんと傾きが大きくなり

三号棟との間に大きな亀裂が走り

壁のヒビも大きくなって

中に入ると気分が悪くなるほどになりました

職員室がその中にありましたが

キャスター付きの椅子に座ると

コロコロ転がっていくようになりました

職員室を一号棟の会議室に移動しました

 

発災後4日目には

避難所として開設しましたが

二号棟は立ち入り禁止としました

 

体育館はというと

第一体育館は床がハーフパイプ状に窪み

第二体育館一階は床が山脈のように盛り上がり

どちらも体育では使えません

唯一使える第二体育館二階と廊下など

できるところで工夫をして

体育や部活動を行ってきました

 

春になると簡易検査が入りました

二号棟の傾きが3度少々

これはピサの斜塔とほぼ同じです

一号棟にも1度の傾きが確認されました

法律上公共施設は1度傾くと

半壊扱いになるので

それまで入居していらっしゃった

被災者の方々を体育館へと

移っていただきました

 

秋には精密検査が入り

一号棟の基礎の部分に損傷

が認められました

そこで学習していた

一・二年生の教室を

安全な三号棟に移しました

パソコン室を普通教室に作り替えたり

ひとつの教室を間仕切りで区切って

習熟度別授業のための小部屋を

作ったりしました

 

グラウンドの3分の1ほどを利用して

仮設校舎の建築が始まりました

工期およそ半年ほどで

二階建ての校舎が完成しました

 

 

 

 

 

 

先週の土日を利用して

金庫などの重量物のほか

大きな家具の移動を

業者の方にしていただいて

本日は生徒の使う机椅子などを

全員で搬入しました

 

 

 

 

 

 

 

仮設校舎への移動が終わり次第

本校舎のジャッキアップ作業に入ります

建て替えはしません

 

完成まで

一・二年生が仮設校舎を利用し

三年生は三号棟の一階を使います

 

 

 

 

 

 

校長室もガランとしました

何年後かに帰ってきます

その時は別の校長先生でしょうが

その日までさようなら

 

 

 

 

 

 

こちらは仮設校舎の校長室

どこにこんなに荷物があったんだと

まるでミミズの缶詰めを開けた状態

どこから片付けてよいのやら

 

 

 

 

 

 

 

怪我しないように慎重に慎重に

 

 

 

 

 

 

新しい事務室です

 

こちらは新しい職員室

 

 

 

 

 

 

フリーアドレス化しました

近未来型の机椅子は

『内田洋行』様より

ご寄贈いただいたものです

ほんとうにありがとうございました 

「量子力学」百周年

地震から 707 日目

 

今週末は3件の講演会をさせていただきました

 

移動の新幹線で前の座席に座っていた方が

乗り換えた特急では隣の座席になりました

なんという偶然でしょう

この引き寄せに縁を感じ話しかけてみました

国際風水氣学協会の本鑑定士の方でした

普段から風水を科学と捉えている私は

興味津々でいろんなことを尋ねてみました

 

「目に見えるものだけが全てではない」

サン・テグジュペリの

『星の王子さま』にも登場するこの言葉

目には見えない酸素や二酸化炭素

そして電磁波が厳然として存在するように

風水は量子力学である

という言葉に妙に納得するのでした

 

アインシュタインは

「月は私たちが見ている時だけ存在するのか?」

と懐疑的だったこの量子力学

 

量子力学と私の出会いは

40年前に遡ります

大学時代の『理論化学』という講義の

シュレディンガー方程式の教科書は

これまでの私の常識を覆しました

難しい本を読むと3ページほどで

眠りに落ちてしまう特異体質の私を

わずか5行ほどで眠らせるものでした

 

1895年

ドイツのレントゲンは

空気を抜いて真空にしたガラス管に

電圧をかけて放電させる実験中に

管を厚い紙で覆っているにもかかわらず

近くに置いてあった物が光っているのを見て

「物を突き抜ける不思議な光が出ている」

と考え

この不思議な光をX線と名づけました

 

この発見の翌年 1896年

フランスのベクレルは

保存しておいた写真乾板が

光を受けていないのに

感光していることを見つけました

一緒に保存していた岩塩から

X線に似た何らかの光が出ていると

考えました

 

1903年

マリー・キュリーは

夫のピエール・キュリーが発明した装置を使って

ベクレルの岩塩から光を出しているのは

そこに含まれるウラン原子であることを発見し

その光を出す性質を「放射能」と名づけました

 

時は第二次産業革命

製鉄業がさかんとなったドイツでは

溶鉱炉の中の溶けた鉄の色で

温度を判断していました

赤黒いときは千数百度

真っ赤の時は二千度以上、

それ以上では白っぽくなる

といった具合です

物体の温度と放射される光の波長の関係を

プランクは公式で示しました

そしてこのことを説明するためには

『量子』という考えが必要であるとしました

光のエネルギーは連続的に変わるのではなく

飛び飛びの値を取るということです

 

そのことを突き詰めたのが

シュレディンガー方程式です

ここからいよいよ私が秒で寝る領域です

 

ともかく

トランジスタ

発光ダイオード

太陽電池

MRI

量子コンピュータ

我々の現在の豊かな生活は

量子力学の上に成り立っています

 

量子力学の世界では

「実験の測定値は測定した瞬間に決まる」

とされています

このことは『シュレディンガーの猫』

と例えられて説明されています

 

電子は『スピン』という磁力を持っています

『スピン』には上向きと下向き

ふたつの状態があります

ある電子の『スピン』がどちらなのかは

測定した瞬間に決まり

測定する直前はどちらでもない

いわばグレーな状態です

オセロのコマを弾いて回転させて

倒れた瞬間に白か黒か決まる感じです

 

さらに奇妙な

『量子もつれ』とう現象もあります

この状態のふたつの粒子は

どんなに遠く隠れても

瞬間的に影響を伝え合うのです

 

『量子もつれ』の状態にある

ふたつのオセロのコマを

『スピン』を逆向きに設定して

北極と南極に移動させます

そして回転させた後

同時に測定すると

その瞬間

必ず一方が白なら他方は黒

となるのです

 

一見何の関係もない

ふたつの現象であっても

目に見えない不思議な力で

影響を及ぼしあうということです

 

これはユングの提唱する

シンクロニシティの原理とも重なります

これは「意味のある偶然の一致」

あるいは「非因果性同時多発性」

ともいわれます

精神分析家ユングと

量子力学研究家パウリは

この非因果的な相関に注目し

精神と物質を統一する理論を構想するなど

シンクロニシティの原理を

科学的に探求しました

私たちの直感を超えた世界のあり方を

理解しようとする試みといえます

 

さて量子力学と風水に話を戻して

徳川家康が江戸のまちを築く時に

天海僧正らの助言を得て風水を取り入れています

東の隅田川を「青龍」

西の中山道などの道を「白虎」

南の江戸湾を「朱雀」

北の上野や神田山を「玄武」とする

四神相応の配置を基本としています

今日の大都市東京の繁栄の基礎がそこにあります

北に山があるとなぜ都市が繁栄するのか?

一見無関係に見えるこのことが

量子力学的に何か因果関係があるのかもしれません

 

実は焼けた朝市

風水的には

北に海

南に山

西に川

東に道と

四神相応の真逆なんですよね

だからこそ復興させる際には

その気を整える建物配置を

考えてみたらどうかなと思う次第です

愛媛の朝

地震から 706 日目

 

気持ちのいい朝を迎えています

 

 

 

 

 

 

 

今日は高松で

講演会を行いました

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  

 

 


高松へ向かう前のひととき

丹原高校の合田校長先生に

地域巡見をしていただきました

地歴が専門である先生からは

地理と日本史の視点から

さまざまなことを

教えていただきました

 

まずは四国三十六不動霊場である

西山興隆寺

 

 

 

 

 

 

紅葉の美しい古刹です

 

 

 

 

 

 

『千と千尋の神隠し』に出てくるような

『みゆるぎ橋』を渡ると

 

 

 

 

 

 

国指定文化財の『三重塔』などがあります

 

愛媛県は東予・中予・南予に区分されますが

丹原高校のある東予地区には

独特の地形が見られます

 

 

 

 

 

 

まずは日本で有数の扇状地が連なります

扇状地では水が伏流水となって流れますので

川がなく

稲作には向きません

そこで果樹園として活用しています

 

下流に行くと伏流水は地表に現れ

川となって流れますが

多量に運んできた土砂を堆積させ

だんだん川底と堤防が高くなり

周囲より高いところを流れる

天井川となります

 

 

 

 

 

 

こちらは鉄道が

川の下のトンネルを潜るという

珍しい光景です

 

 

 


以前に「ゆず」のおふたりが

輪島高校に歌いに来てくださった時の模様が

NHKで放送されます

【番組名】東北ココから ゆずとつくる 未来へつなぐうた

【放送日時】12/12(金) 19:30~19:57 <東北地方のみ>

      ※NHK ONEで見逃し配信

【内容】来年東日本大震災から15年を迎えるにあたり、

    ゆずのおふたりが

    震災の経験を未来へつなぐ歌を制作するべく

    東北の被災地を訪れ

    地域の人たちと語り合う

    旅のドキュメント

ぜひご覧ください

 

初冬の伊予路へ

地震から 705 日目

 

今年の夏休みに

韓国に視察旅行に行きました

バスの中で偶然隣合わせになったのは

愛媛県立丹原高等学校の

合田 明典 校長先生でした

防災教育に力を入れるなど

たいへんパワフルな校長先生でした

合田先生のお招きを受けて

本日同校で講演会を行います

今日は『防災デー』ということで

その一環ということになります

 

秋の京都駅で乗り換えです

 

 

 

 

 

 

紅葉がちょうど見ごろを迎えているようです

 

 

 

 

 

 

 駅員さんお手製の案内板

『街プロ』でも

やってみるといいですね

 

京都では

中国人観光客が減って

日本人観光客が増えているとか

ホテル代なんかもグッと下がってお得に

 

予約を取り直す方も

いらっしゃるようです

 

 


丹原高校の『防災デー』

最先端の避難訓練を見せていただきました

 

予告なしの避難訓練です

掃除中に発災の設定です

 

 

 

 

 

 

 生徒たちはすかさず

「落ちてこない倒れてこない」

場所を見つけて避難姿勢です

 

揺れが収まると

生徒たちは駆け足でグラウンドへ

途中通行不可能箇所を設定

みんな自分で避難路を見つけて

避難します

 

 

 

 

 

 

緊張感を持って取り組んでいます

 

生徒がふたり負傷した設定です

先生方が捜索に向かいます

 

 

 

 

 

 

ひとりは骨折で動けなかったようです

安全な場所までおんぶで運びました

 

もうひとりは心肺停止です

タンカで運んできました

 

 

 

 

 

 

ここは問題提起です

「訓練のための訓練」

になっていませんか?

心肺停止は一刻を争います

わざわざみんなのいるとこまで

連れてこないで

安全な場所で胸骨圧迫をすべきでは?

 

小学生も一緒に参加です

 

 

 

 

 

 

防災訓練は単独でなく

地域で行うべきものですね

勉強になりました

 

降下訓練も行いました

4階の高さから緩衝機を用いて

降下して避難する練習です

 

 

 

 

 

 

私も体験してみました

輪島高校でもぜひ取り入れましょう

 

煙避難訓練です

 

 

 

 

 

 

スモークマシンで煙を充満させた部屋を

潜って避難します

ハンカチの大切さを実感しました

 

SONPO さんのご協力による

『学防ッチャ(まなぼっちゃ)』

防災の知識を楽しみながら学べる

ボッチャです

 

 

 

 

 

 

 

防災リュックを作るワークショップ

 

 

 

 

 

 

防災バッグに必要なものを組み合わせる

パズルゲームです

 

私も講演会をさせていただきました

「南海トラフは必ずやってくる」

そう言われ続けて

暗い未来を刷り込まれるだけでは

高校生がかわいそうです

 

正しい防災知識を身につけて

地震の最初の15分間に命さえ守れば

つらいことの後には

人は大きく成長できるよ

予想もしなかった輝かしい未来が待ってるよ

そのことを

輪島高校生が頑張っている姿を紹介することで

伝えてきました

 

とっても素直で明るい生徒さんたちで

みんな真剣に話を聴いてくれました

 

藤原 禄都 さんと 桑村 桜羽 さんは

『江戸走り』を

 

 

 

 

 

 

渡部 もも花 さんと 佐々木 真央 さんは

『能登半島ポーズ』を考案して

 

 

 

 

 

 

それぞれ披露してくださいました

 

 

 

 

 

 

この中のどこかに

「能登半島ポーズ』の

ふたりがいます 

金沢大学特別講義

地震から 704 日

 

金沢大学特別講義

「石川県の学校安全」で

お話をさせていただきました

 

金沢大学では

学校安全の中核を担う教員を育成するため

地理的環境・過疎化・被災など

石川県の地域特性を踏まえた

学校安全の取り組みについて

理解を深めるために

本講義を開講しています

 

今日明日と集中講義期間となっていて

通常講義はお休みです

キャンパスはガランとしていましたが

そんな中この講義を選択した学生さんは

熱心に講義を聴きに来てくださいました

 

さすが休みの日に進んで受講されるだけあって

みなさん本当に熱心に耳を傾けて

こちらからの問いかけについては

積極的に答えてくださいました

意識高く頼もしい限りでした

 

午前中は

発災後珠洲市の中学校で

陣頭指揮をとってこられた

現奥能登教育事務所長の

山岸 昭彦 先生の講義があり

拝聴させていただきました

 

珠洲市は今回の地震以前から

群発地震に見舞われていたので

防災教育そして地震への備えを

計画的に実践されていました

我々の認識の甘さを痛感しました

 

講義を受けられた方の中に

大切なご家族を亡くした方も

いらっしゃいました

言葉を一つひとつ選んで話したつもりです

 

教員採用試験に合格された方も

いらっしゃいました

 

被災地に赴任となる可能性もありますよ

とお伝えしました

被災地での教師としての実務経験は

今後の長い教員人生にとって

かけがえのないものを学ぶ機会になりますよとも

お伝えしました

 

実際震災わずか3ヶ月後

傷だらけで

住むところもない本校に

大学出たてのふたりの先生が赴任しました

そのうちひとりは

こんなとこ住めないと

金沢から毎日通い続けました

そんな厳しい環境の中

ふたりは真剣に生徒に向き合いました

どんなにつらい環境に置かれようと

それでも前を向いて歩き出そうとしている

生徒たちに

自分にももっとできることがある!

ふたりはそう思うようになってきました

今年はふたりとも学級担任をしています 

 

明日は丸一日

「子どものための心理的応急処置」と題して

セーブ・ザ・チルドレンさんによる

実習が行われるそうです

がんばってください