校長室より「おこらいえ」

生きるということ

50日目

 

これまでさまざまな偶然が積み重なって

今日まで生きています

 

1月1日

末娘が2日からバイトがあるからと

夕方実家をあとにして

金沢へ送っていくことにしました

あのとき家にとどまったままだったら・・・

 

発災後、即、裏山へ駆け上がりました

寒さと暗さで不安になる中

たまたま近くに避難所が開設されて

そこに潜り込むことができたけれど・・・

 

大津波警報が解除され

真夜中車で帰ろうとしたとき

末娘が必死に止めそれに従いましたが

無理に帰ろうとしたら

きっと崖に落ちるか何かに衝突して・・・

 

なにより震災が

授業中に起こっていたとしたら・・・

考えるだけで恐ろしくなります

 

「生きる」って不思議です

だからこそ「生」って言う字には

これまで生きてきた人が

いろんな思いを込めて

さまざまな読み方が生まれたのでしょう

 

「生花を生甲斐にした生え抜きの生娘

 生絹を生業に生計立てた

 生立は生半可でなかった

 生憎、生前は生まれてこの方

 生涯通して生粋の生だった」

 

15回登場する「生」の字は

全て読み方が異なります

 

今日もさまざまな方から

支援の手を差し伸べていただいています

ライオンズクラブを介して

香川県立多度津高校の

海洋食品科食品科学コースのみなさんから

学校で商品開発された

チーズケーキ缶詰を送っていただきました

以前から非常食としてのご飯の缶詰を備蓄されるなど

防災意識の高い取組をされています

チーズケーキはほっとします

本当にありがとうございました

 

 

 

 

 

 

 

以前,多額のご寄付をくださいました

横浜の有限会社カイトさんが

今度は直接お越しになり

避難者と、学校に通う子どもたちに

お菓子の詰め合わせと焼き芋のプレゼントです

焼き芋は800食ほど一瞬でなくなったそうです

みんな大喜びでした

支援物資もたくさんいただきました

 

 

 

 

 

 

 

今日の「PRAY FOR JAPAN」

亡くなった母が言っていた言葉を思い出す

「人は奪い合えば足りないが分け合うと余る」

しめやかに

四十九日

 

痛かったでしょう

重たかったでしょう

熱かったでしょう

凍えたでしょう

怖かったでしょう

 

どうか安らかに

 

心からご冥福をお祈りします

 

あなたの分まで

力を合わせて

生きていきます

おだやかな休日が来ました

48日目

 

吹き荒れた春一番も止み

おだやかな春を思わせる長閑な土曜日

 

内閣府副大臣の古賀篤様はじめ

文部科学省の方々が視察に来られました

 

避難所も含め

現在小中高で共用している施設を

視察していただきました

 

ひび割れて傾いた教室棟

液状化を起こして使い物にならないグラウンド

ドアが開かず窓を割って出入りしたボイラー室

中に入ると気分が悪くなるくらい傾いた体育館

あちこちに落とし穴の空いた駐車場

野球のマウンドのように迫り上がった武道場

 

4月に入ったら

できるところから教育活動が再開できるよう

最大限の支援をお願いしました

 

石川県教育長はじめ県の方々も同席し

現在の輪島市の教育環境について

また今後求められる支援について説明しました

 

今後の昼食の提供をどうするか

生活拠点のない中でどう教員を確保するか

避難所提供と学校再開をどう両立させていくか

課題は山積みですが

文科省、教委、学校、連絡を密に取り合って

一刻も早い学校活動の復興に向けて

協力していくことを確認しました

 

困り事がありましたら

随時上げていきますので

なんでもおっしゃってください

直接中央省庁にあげていくことが大切です

 

東日本大震災の際に得られた教訓として

何かで目にしました

「災害現場には

 現地で指示のできる

 優秀なリーダーを派遣する

 そして全てを任せる

 必要と判断したことは全てやれ

 と指示する

 それが法に触れるようなことであれば

 法改正する

 それが一国の首相の責任」

だそうです

頼もしい教訓です

 

今日の「PRAY FOR JAPAN」

ぜんぜん眠っていないであろう旦那に

「大丈夫?無理しないで」とメールしたら

「自衛隊なめんなよ

 今無理しないでいつ無理するんだ?

 言葉に気をつけろ」と返事が

臨界状態を迎えて

47日目

 

全ての物質は原子でできています

原子のひとつぶひとつぶを見ると

中心にある原子核のまわりを電子が廻っています

原子核はプラスの電気を持つ陽子と

電気をもたない中性子からできています

 

原子核が壊れる

つまり核分裂がおこると

中性子が飛び出して

となりの原子核にぶつかって

新たな核分裂をひきおこします

そうするとまた別の中性子も飛び出して

さらに・・・

そうやってどんどん新しい中性子が飛び出して

核分裂を起こし続ける状態を

「臨界状態」といって

原子力発電が大きなパワーを生み出す源となっています

ただ「臨界状態」が制御不能な状態になってしまうと

「臨界事故」につながり甚大な被害をもたらします

そうならないように「制御棒」を使って

「臨界状態」をコントロールしています

 

朝、一本の電話がかかってきます

その案件を解決するために別の部屋に向かうと

そこで声をかけられ新たな案件が…

最初の案件が解決しないまま

新たな案件を抱え別の部屋に向かうと

廊下で出逢った人からさらに新たな案件が・・・

まさに「臨界状態」です

誰か「制御棒」を・・・

 

今日、福井県の 山内 悟 先生より

福井県教育委員会が薦める

~あなたの扉を開ける72冊~

の書籍を贈っていただきました

このような時だからこそ

心にしみる一冊が必ずあると思います

生徒に紹介したいと思います

 

 

 

 

 

 

 

小松のおばちゃんさんからは

可愛いグッズの贈り物

「可愛いものを見たいしさわりたい」

と生徒がテレビで言っているのを見て

贈ってくださいました

どんなものが喜ばれるかなと

きっと選んでくださったんだろうな

と想像するだけで・・・

 

 

 

 

 

 

松任谷由実さんのダンデライオンが

頭の中には流れています

「 ♪ ふるさとの両親がよこす手紙のような

 ぎこちないぬくもりほど泣きたくなる ♪ 」

事故の報告

46日目

  

先日、校舎内で危ない事故がありました

天井板がはずれ、コンクリート屑が落ちてきたのです

 

本校は

1・2年生の教室がある1号棟

3年生の教室がある3号棟

そしてそれを繋ぐ2号棟がコの字形に立っています

 

今回の地震で真ん中の2号棟が傾き

1号棟および3号棟とのつなぎ目が

はずれてしまっています

 

 

 

 

 

 

かなり傾いている様子がわかります

建物検査では

1号棟と3号棟は安全

2号棟は直ちに倒壊の危険はないものの注意

との調査結果をいただいています

 

それを受けて

それぞれ安全な1号棟で小学生

3号棟で中学生を受け入れ

授業を再開しています

 

今回の事故は

2号棟と3号棟のつなぎ目の1階でおこりました

 

この部分は大きくひび割れており

発災直後からコンクリート屑が落ちてきていたので

1階天井部分に下からベニア板で補修を施すと同時に

注意喚起を促していました

 

さらに、その上を通行すると屑が落ちるので

2階の連結部分は

踏まずにまたいで通るよう指示していました

 

 

 

 

 

 

 

今回外れたのは補修してあった部分の

横の天井板

おそらく余震で外れたものと思われます

 

 

 

 

 

 

その際ベニア板の上にたまっていた

コンクリート屑が

天井板がはずれてできた穴から

落ちてきたものです

 

この場所は中学生の動線上にあるのですが

けが人がなく本当によかったです

中学校保護者のみなさま

ご心配をおかけしました

 

ただちに動線の変更を行い

当分の間該当箇所を通行止めにすると同時に

業者に修繕を依頼しました

 

一見安全に見えても

実は危険な箇所は

おそらく他にもたくさんあると思われます

 

危険のないよう,、教育委員会とともに

施設の観察・点検を一層丁寧に行ってまいります

 

以上のことについて

先日ある新聞社による報道がありました

読者からの苦情等の電話が殺到し

学校運営に支障をきたすということがありました

 

さまざまなご意見がおありかと思いますが

緊急以外のご意見はどうかメールでお願いします

お返事は本ブログにてお答えします

ひとつひとつのご意見に対して

お返事できないこともあります

どうかご容赦願います

 

さまざまな方面からの

愛情のあるご意見であることは

充分理解しております

スムーズな復興に向けての歩みのため

ご理解とご協力をお願いします

中三生とその保護者のみなさまへ(輪高生もご覧ください)

大事な高校受検を控えた大切な時期に

このような状況になり

不安な毎日をお過ごしのことと思います

また、先の見通せぬ中

高校選びに関してもどうしていいか

わからない状況なのではとお察しいたします

 

その一助になればとの思いで

高校選びのポイントに関するチャートを作りました

これは本校独自に、現時点で考えられる選択肢をまとめたもので

県教委から正式に発表されたものではないことをお含みいただいた上で

あくまでも参考ということでご覧いただければと思います

 

15日より願書受付が始まりますが

この後、志願変更の期間も設けてあります

今一度進路について再考し

適切な進路選択をされますようお願いいたします

 

本校在校生について

一家転住等による今後の転学を考える際の参考にもなるかと思います

 

 

 

思いやりの心で学習を

45日目

 

金沢近辺に2時避難している

1、2年生向けの学習施設である

文教会館に行ってきました

 

オンライン授業の休み時間が各校で異なり

落ち着いて学習できないという

訴えがあったので様子を見てきました

 

先日、生徒指導の冨水先生から

それぞれお互いの学習環境を思いやり

休み時間であっても

節度のある過ごし方をするようにと

注意を喚起しましたので

今日はしっかりと

お互いを思いやって授業を受けていました

 

 

 

 

 

 

 

今日の「PRAY FOR JAPAN」

物が散乱しているスーパーで

落ちているものを律儀に拾い

そして列に黙って並んで

お金を払って買い物をする

運転再開した電車で混んでいるのに

妊婦に席を譲るお年寄り

この光景を見て外国人は絶句したようだ

今日からお昼ももらえるよ

44日目

 

今日から高校は3学期です

 

学校へは1、2年生60名ほどが登校しました

オンラインとのハイブリッドで

始業式を簡単に行いました

久しぶりにこんなに集まったのを見て

大きな元気をもらいました

 

 

 

 

 

 

今日から小中学校高校それぞれに

お弁当も配られました

 

先生方が配膳を担当です

 

 

 

 

 

 

 

みんなそろっていただきます

 

 

 

 

 

 

たくさんのカメラが見守る中

1年生は「こわいよー」

ごめんね

今日だけ日本中のみんなに

元気な姿見せてあげて

 

あと今日は

メガネのJINSさんが

避難者の方へメガネのプレゼントを

してくださいました

 

 

 

 

 

 

測定から出来上がりまで

わずか10分足らず

今日1日で70本も作ったそうです

みんな大喜びでした

本当にありがとうございます

 

今日の「PRAY FOR JAPAN」

駅員さんに

「昨日一生懸命電車を走らせてくれてありがとう」って

言ってる小さい子達を見た

駅員さん泣いてた 

ならぬものはならぬものです

43日目

 

いよいよ明日から新学期が始まります

学校への登校

文教会館への登校

オンラインでの参加

いずれの方法でも出席になります

 

登校する場合は制服でなくてもかまいません

先生方も洗濯がままならないのでスーツは着ません

できることから一歩ずつはじめていきましょう

 

ひとつ注意したいことは

制服以外は全て従来どおりの校則に従うこと

 

どうせしばらく登校しないのだからと

ピアスを開けた生徒や

髪を染めた生徒は

まさかいないと思います

 

「どうしてピアスはいけないのですか?」

震災以前から質問されることはあります

 

ならぬものはならぬものです

白虎隊で知られる会津藩の

什(じゅう)の掟を締めくくる言葉です

 

人が答えられないような質問をして

さも論破したように振る舞う人もいますが

校則のひとつひとつに「なぜだめか?」を

問い詰めていくと

むしろ明確な答えのあるものは

なにひとつありません

 

「なぜ人を殺してはいけないか」

という問いも同じです

答える必要のない問いであるし

答えてはいけない問いであるし

そもそも問いになっていないのです

 

大切なのは

学校はルールを厳密に守ることの大切さを

学ぶ場であるということ

 

ならぬものはならぬ

自分で自分の心に歯止めをかける方法を

学ぶ場であるということ

 

自分の教員生活を振り返ると

ならぬものはならぬもの

を教えきれなかったばっかりに

かわいそうな思いをさせた生徒が何人もいます

あのとききちんと導いてあげれたら

 

学校は

ルールを厳密に守ることを学ぶ場であると同時に

ルールは変えることができるということを

学ぶ場でもあります

 

昨年もケータイのルールを

自分たちで変えることができましたよね

 

納得のいかないルールがあったら

まず自分たちで変える努力をしてみろ

それすらできないものが

自分だけの都合でルールを破るな

 

「どうして髪を染めてはいけないのですか?」

この問いも同じ

でも

みなさんは今

世界中の方から

多くの支援をいただいていることを

忘れないで下さい

もし自分が支援をする立場だったとしたら

「髪を金髪にするお金があるんだったら

 もう食費なんかも必要ないですよね」

と即刻支援を打ち切ります

 

どうか生徒のみなさん

避難民だから多少のルール破りは許してもらえる

もしそんな甘ったれた心を持っていたなら

新学期開始とともに捨て去りましょう

 

今週も週に一度のお楽しみ

金沢へ風呂と洗濯に行ってきました

 

 

 

 

 

七尾湾から望みます

右手には能登島越しに勇壮な立山連峰

左手には能登半島は飯田方面

この景色の向こうに

ひとの住めないような

地獄絵図があるなんて信じられません

 

今日の「PRAY FOR JAPAN」

避難所でおじいさんが

「これからどうなるんだろう」

と漏らしたとき

横にいた高校生ぐらいの男の子が

「大丈夫、大人になったら

 僕らが絶対元に戻します」

って背中さすって言ってたらしい

大丈夫、未来あるよ

災害と政治

42日目

 

36日目のブログで

地震はなにかの天罰でおこったのではないことを

子どもに理解させることの大切さを書きました

 

この「災害は天罰である」という考えは

古くは漢の時代に遡る中国の思想で

「災異説」といいます

 

国に失政があったときに

意思を持った天が

自然災害や異常現象を起こして

君主に警告を与え

それでも改まらなかった場合には

国を滅ぼすと言った

儒教の教えです

 

昨日紹介した

「あさきゆめみし(源氏物語)」の作者

紫式部とゆかりのある

藤原道長は

この「災異説」を利用して

権力を得ようとしました

 

長和3年2月

三条天皇の住まいである内裏が燃えました

わるいことは重なるもので

3月にも失火し

宝物をことごとく消失しました

 

藤原道長は

これは三条天皇の不徳に対する

天の怒りであると

天皇に退位を迫ります

「天道、主上を責め奉る」

 

次の天皇は道長の娘彰子の子であり

即位をすれば自分が摂政として

権力を振るうことができる

そう考えたものと思われます

 

正しく「災異説」に従うと

災害は天の警告だから

君主は反省して

民のための政治を行うべきで

決して退位してすむものではないはずです

 

我が身に置き換えて

子どもたちのために何をすべきかな

猛省の毎日です

 

今日の「PRAY FOR JAPAN」

停電すると、それを直す人がいて

断水すると、それを直す人がいる

勝手に復旧してるわけじゃない

俺らが室内でマダカナーとか言っている間

寒い中、死ぬ気で頑張ってくれてる人がいる