校長のつぶやき
校長からの伝言板
1学期が終了してから約10日間が過ぎようとしていますが、生徒の皆さんは、楽しく充実した夏休みを過ごしていますか。
今日の北國新聞にも載っていましたが、昨日7月28日(木)、金沢学院大学附属高等学校の創立70周年記念式典があり、私も金沢北陵高校を代表して出席させていただきました。
その中で、金沢学院大学附属高等学校の卒業生である大相撲力士の炎鵬関とロンドンオリンピック柔道金メダリストの松本薫氏の対談形式による記念講演が1時間程度あったのですが、2人とも本当に上手にお話をされて、心に響く言葉がたくさんあり、最後まで楽しくお話を聞くことができました。
特に、炎鵬関の「考え方一つで自分のコンプレックスが強みに変わる」、松本薫氏の「今の自分が未来の自分を作る。だから、今を精一杯悔いの残らないように頑張る」という言葉が強く印象に残りました。
皆さんにも是非、これらの言葉を贈りたいと思います。
ところで、校長室前の掲示板がちょっと殺風景であったので、本日から、「校長からの伝言板」ということで、生徒の皆さんへの何らかのメッセージを発信することにしました。
また、中学校以来、約40年ぶりに筆を持って、書道にもチャレンジしてみました。
生徒に伝えるだけでなく、自分も逃げずに何事にもチャレンジしていきたいと思っています。
現場でしか伝わらないもの
昨日10日(日)に小松市の弁慶スタジアムにおいて夏の高校野球石川大会があり、本校は金沢桜丘高校と対戦し、6対16の5回コールドゲームで敗れました。
球場で試合を見ていない人の中には、「なんや、10点差もつけられて、コールドで負けたんか」と思う人もいるかもしれませんが、実際に球場で試合を見て応援をした生徒や教職員、保護者やOBの方など金沢北陵高校に関係する人たちにとっては、勝ち負けに関係なく、暑くて熱い時間を選手と一緒になって戦い過ごした証となる大切なスコアであると思っています。
4回の裏、2アウト満塁の場面で、桜丘高校の強打者が放った大きなセンターの頭上を越えていくような打球をセンターの山田君が必死に追いかけて飛びつき、スーパーキャッチした超ファインプレー。
このプレーに刺激されたのか、5回表の猛攻。みんなが気持ちを前面に出し、それが相手の動揺を誘い、ピッチャーが四死球を連発。塁が埋まったところで、4番の香林君が変わったピッチャーの剛速球を見事にはじき返す気迫のタイムリーヒット。
そのほかにも選手一人一人が自分のやるべきことに集中し、現場にいた人にしかわからない感動の瞬間が、ゲームの至る所にちりばめられていました。
きっと野球部のみんなは、将来、同窓会で、この試合について談笑し、おいしいお酒を飲むのでしょうね。
その時は、決して自分たちだけで戦ったわけじゃない、あの時、メガホンを鳴らし大きな声でネット際で応援していた女子生徒たち、心の中で熱く応援していた男子生徒たち、声をからして叫び続けた保護者やOB、教職員がいたことも忘れないで下さいね。
かけがえのない命
昨日で北陸の梅雨が明けました。
6月中に梅雨が明けるのは初めてで、統計がある1951年(昭和26年)以降最も早いそうです。また、梅雨の期間もわずか2週間で、これは史上二番目に短いそうです。
ということは、今日からもう夏、早速、熱中症の危険が高まるとして、今年初めて県内に「熱中症警戒アラート」が出されました。
昨日は熊本県で修学旅行中の高3女子生徒が熱中症で意識を失い緊急搬送されたというニュースが流れていました。幸いにも一命はとりとめたようです。よかったですね。
また、ここ最近は子供から大人まで関係なく、この石川県でも海や川で流されて命を失ったという事故が多く報告されています。残された家族のことを思うと胸が張り裂けそうです。
本校では、その上、一昨日に熊が出没し、もし襲われれば命も落としかねないような状況となっています。
身の回りには、皆さんが思っている以上に危険がいっぱいです。
どうか、自分の命を守る行動をしっかりととって下さい。
自分だけは、他の人と違って大丈夫、という安易な気持ちが事故を引き起こし、取り返しのつかないことになってしまうことが多いのです。
この世にたった一つのかけがえのない命、大切にして下さい。
これまで集会でも何度か話しましたが、校長である私より先にあの世に行くことは絶対に許しませんからね。
追伸:期末テストも残り2日間、最後の最後まであきらめず、粘り強く頑張りましょう。FIGHT!!
閲覧御礼
北陵高校の校長となって早3ヶ月が過ぎようとしています。
その間、まだ駆け出しの校長である私を、教頭先生や事務長をはじめとした教職員の皆さん、生徒会長をはじめ元気に挨拶をしてくれる生徒のみんな、PTAをはじめとする保護者の皆様や同窓会、地域の皆様、そして同じ立場である他校の校長先生方や県の教育委員会の皆様など多くの方々が支えて下さいました。どうもありがとうございます。
この3ヶ月間、様々な行事がありましたが、本校の先生方は、それら一つ一つにコメントや写真をつけて、このホームページに記録として残してくれています。今年度に入って、すでに120件以上もの投稿をしてくれました。素晴らしいですね。
日頃から先生方が、生徒のみんなの様子をしっかり見て、生徒たちの夢の実現に向けて愛情を注いでいる証拠であると思っています。
嬉しいことに、ここ最近では、カウンターが毎日5000件以上増えています。
これからも金沢北陵高校は、生徒の頑張っている様子や学校生活を楽しんでいる様子をどんどん発信していきますので、今後とも閲覧の程、どうぞよろしくお願いいたします。
不撓不屈
金沢北陵高校が、5月22日(日)に卯辰山相撲場で行われる第106回高等学校相撲金沢大会に、平成11年度以来、23年ぶりに出場することになりました。
すごいことですね。
ある先生から相撲大会出場についての提案があったのですが、まさかそんな簡単に選手は集まらないだろうと高をくくっていた私を、良い意味で物の見事に裏切ってくれました。
先生の実行力もマル!それに対して恐れることなく出場を決めた選手諸君もマルです!
本日12日に抽選が行われ、明日の朝刊には対戦相手が掲載されていることと思います。
大会に出るということは、自分の戦っている姿を人に見られるということです。
よく、「大会は参加することに意義あり」とか、「大会は楽しめばいい」とか言う人がいますが、それはオリンピックのように大会に出場するまでに厳しい予選を勝ち抜き、そのための努力を積み重ねてきた人に対してかける言葉だと私は思っています。
大会に参加する以上は、しっかりと心と体の準備をして自分と向き合い、自分の可能性を信じて相手に挑み、勝っても負けても、大会後には自分の中で何かが変わったと思えるような、また、応援している人にも頑張りが伝わるような戦いをしてほしいと願っています。
そんな選手諸君を、私は心から応援します。
本校創立以来、校風となっている「不撓不屈」(どんな困難にも負けず、諦めないで立ち向かうこと)の精神で、頑張れ、北陵健児! FIGHT!!
追伸 そうは言っても、あまりにも大きい相手には決して無理をして戦いを挑み、けがをしてはいけませんよ。。。
記憶に残る遠足?
昨日26日(火)に雨天のため中止となった遠足を、本日27日(水)になんとか実施することができました。
小雨の中でのスタートであり、途中で止むと思われていた雨がなかなか降り止まず、生徒の皆さんにとっては、もしかしたら、ちょっと残念な遠足であったかもしれません。
でも、大人になったときに、不思議と、晴れの日の遠足よりも、雨の日の遠足の方が記憶に残っているものなんですよ。
何事も順調にいっているときよりも、少しの困難が与えられたときの方が記憶に残るように、人間の頭は作られているのかもしれませんね。
今日の遠足のために先生方は下見を行い、少しでも多く、生徒のみんなが楽しい時間を過ごせるようにと準備をしてきました。
みんなには、晴天の中、気持ちよく遠足に行ってもらいたかったのですが、今回は、なんとか中止にならずに実施できたことに感謝して、大人になってから友達と、「あのときは、雨の中、歩きながら○○について話したよね。懐かしいなあ。」なんて話ができることを願っています。
今日は本当にお疲れ様でした。
ゆっくりお風呂に入って疲れをとって、明日また元気な姿を見せてください。
保護者の皆様、いろいろとご協力、どうもありがとうございました。
北陵の一員として
昨日(24日(日))、一昨日(23日(土))の2日間にわたって、様々な部活動の大会の様子を見させていただきました。
これまでは、自分の母校や、息子が通っていた学校の試合を見に行っていたのですが、今は、北陵の試合が気になって、他の学校の試合を見る余裕などありません。
新聞で北陵の2文字を見つけると、すぐにコピーをして手元のファイルに残しています。
すっかり北陵の一員となってしまいました。
これからも北陵の校長として、また一番の北陵ファンとして、頑張っている北陵の生徒たちを応援していきたいと思っています。
挨拶の力
令和4年4月8日(金)の始業式に、2年生、3年生の生徒たちに向けて、「挨拶って本当に大事ですね」という話をしました。
8年ぶりに学校現場に戻ってきた私にとって、生徒から「こんにちは。新しい校長先生ですか。これからよろしくお願いします」と笑顔で声をかけられたときのあの喜びは、本当に大きいものだったからです。
先日、地域のある方からも、「北陵高校の生徒はきちんと挨拶ができて気持ちいいね」と言われ、嬉しい気持ちになりました。
挨拶は知らず知らずのうちに周りの人を幸せな気持ちにする魔法の力を持っているのかもしれませんね。
これからもずっと笑顔で挨拶のできる北陵高校生であり続けてほしいと願っています。
素敵な贈り物
令和4年4月1日(金)、校長として金沢北陵高校に赴任し、不安いっぱいの初日に、校長室に1箱の荷物が届きました。
早速開いてみたところ、中には、「髙倉校長!!就任おめでとうございます!!」と大きく書かれた文字の下に、素敵な言葉と私の似顔絵が添えられた額、そして、ネーム入りの高級ボールペンと、1通の手紙が入っていました。
約20年前に担任をしたクラスの生徒たちからの素敵なサプライズの贈り物であり、しばらくは額を眺めながら、涙があふれて止まりませんでした。
私は幸せ者です。
これまで出会った多くの生徒たちから、いろいろな形で元気と勇気をもらっています。
これからは、金沢北陵高校の校長として、目の前の生徒たちがワクワクしながら充実した学校生活を送り、「この学校に来て本当によかった」と心から思えるような学校を作るため、職員と協力して頑張っていきたいと思っています。
つらいときも、苦しいときも、校長室の私の机の後ろから、この素敵な額が、「校長先生頑張れ!!」と見守ってくれていますから。。。
明光風靡なスポットに
倒木の危険性があることから、本校を覆っていた40数本の杉を全て伐採しました。
この丘から見る景色が見違えるようになりました。上が伐採後、下が伐採前です。
これからの桜、あじさいの季節が楽しみです。OBの方も、天気の良い日に是非足をお運び下さい。
雪が教えてくれるもの
北陵高校は丘の上にあるから、雪が積もったら大変でしょう。
よく言われますが、むしろ、雪が活気を一層与えてくれます。
元気に登校する生徒たち、自ら進んで雪すかしをしてくれる生徒たち。
皆さんの頼もしさを実感する季節です。もちろん、換気もよろしく。
自己評価できる行動を
昨日の終業式では「自己評価」について次のような話をしました。
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人間は社会的動物。その私たちが、社会生活を行う上で気にすることは評価。就職試験や進学受験、学校のテスト、そして友人関係。全部、相手が自分をどう評価してくれるかということ。多くの皆さんが抱える悩みやトラブルも、相手から不本意な評価を受けることから発生している。
周りからの評価からは避けられない。しかし、ある程度は薄めることができる。
それは、自分で自分を評価する比重を高めること。周りの人と比較するのではなく、昔の自分と比較する。他の人と比較して、自分がこんなに劣っていると思って、しょげる人がいる。逆に、周りがやれないことを自分ができて、天狗になって、偉そうに振る舞う人もいる。どちらもあまり良いとは思えない。「他者評価」に頼り切っている。
むしろ、過去の自分と比べて、どれだけできるようになったか、あるいは、以前よりも劣ってきたか、を考えて欲しい。これを「自己評価」という。人は「他者評価」と「自己評価」のバランスで生きている。自分の生き方をそう簡単に人に預けるな。
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さて、冬休みに入り、自分で自分を評価する場面は作れましたか。未だの人は、親御さんに言われる前に、自ら進んで家の周りの雪をすかしてみてどうか。本校の先生が作った12月の川柳は、煉獄さんからのメッセージになっていました。煉獄さんのように強く自己評価できる精神を心の中で燃やしていきたいものです。
文芸の香り
現在、校内には文化芸術の香りのする掲示物が色々と見られます。
下はお薦め本紹介、右は書道の授業で
制作した仮名文字の生徒作品。
厳しい冬を前に清々しい気持ちになります。
伝えるスキル
「そんなことじゃダメだ。もっと頑張れ」「社会に出たら役に立たないぞ」「大人になってからだと間に合わないぞ」。学校で、先生が生徒にしばし発する言葉。私もよく使っていた。
しかし、何かモヤモヤ感が残ってしまう。こうした言葉で相手を変えられるのだろうか?
周りの先生からは「校長、熱意があれば伝わりますよ」とも言われた。でも、私は伝えるスキルにもこだわってみるべきだと思う。「何をどう伝えれば、行動を変えてもらえるか」。北陵高校の後半はテーマ研究発表やライフプラン発表など、生徒自身がプレゼンをする機会が格段に増える。相手にうまく伝えるスキルを、この時期、先生や生徒、皆で共有しておきたい。
そこで見つけたのが『実践 行動変容のためのヘルスコミュニケーション』(奥原剛著 大修館書店)。保健医療従事者が患者さんや市民の方々に対して健康・保健指導を行う際に用いる本であるが、学校現場でもかなり役立つ。具体的には、人の行動を変容させる10原則があるという。
「お・く・す・り・し・め・じ・し・ち・う」(お薬、シメジのシチュウ)
(お)驚きを与える (く)クイズを使う (す)数字を使う (り)ストーリーを使う (し)視覚に訴える (メ)メリ・デメで感情に訴える (じ)情報を絞る (し)シミュレーションしてもらう (ちゅ)中学生にも分かるようにする (う)受け手の視点で考える
これから伝えようとする中身に、この10個の内どれくらいの要素が入っているか、吟味していこう。生身の人間と触れている現場感覚としては、「伝えた」という実績で満足するのでなく、相手の行動が少しでも変わったかどうかで評価したい。
ということで、本校の、秋の景観の素晴らしさを(し)を使って、私も表してみる。
人と違った切り口
昨年の試行を経て、今年度から本格的に始めた本校独自の朝学習「好奇心の種蒔」。
原則、月・金の朝10分を使って、本校先生方が作ったオリジナル問題に生徒が取り組み、25回目が過ぎました。
先日の『好種』問題はこんな感じでした。
“Aさんは犬を飼うことにしました。そのことを友達のBさんに伝えたところ、Bさんは「ペットを飼うのは人間の身勝手だ」といいました。Bさんの発言について、あなたはどう思いますか。160~200字で書きなさい。(『藤原流200字トレーニング(藤原和博 光村図書)』より抜粋)
生徒の答案を見ると、ペットを飼うことはむしろ良いことだという意見が多数。一方、殺処分の現状を知る生徒からBさんの言うとおり人間は身勝手だとの意見もあり、大きく2分されました。
生徒たちの答案の中で、はっと目を引くものを見つけたので紹介します。
「Bさんの発言はAさんを全否定している気がする。この発言は、Aさんがまるで何も考えずに飼うことを決めたかのように決めつけた心ない言葉だと思う。(~以下略)」
これは冴えた意見です。確かに、この問題は「Bさんの発言について、どう思うか」を聞いています。ペット飼うことの是非を越え、言い方・伝え方に焦点を当てた切り口で、読み手の印象に残ります。そう言えば、「そもそも『身勝手』って何だろう?自由と身勝手とどう違うのだろう?」と自問していた答案もありました。残念ながら途中で尻切れになっていましたが、私はこれは面白い着眼点だと思います。
これからの受験シーズン。小論文でも意見文でも、問いを正確に把握すること。そして、あなた独自の視点をアピールすること。この2つの力を付けていきましょう。
独自の視点ということで、本校の川柳の先生の最新作です。
努力と夢
努力すれば、夢はかなうのか。
一握りの勝者の裏側には、大多数の敗者がいる。彼らの夢が叶わなかったのは、努力が足りなかったからか?
東京オリンピックの陸上男子400メートルリレー決勝。メダルを期待されていた日本チームは、得意のバトンパスでミスが出て、途中棄権に終わった。このレースで金メダルを目指すには、走者4人のスピードを落とさずバトンをつなぐギリギリのラインを攻めるしかない。そこに果敢に挑んでの結果を「努力が足りなかったから」と言えるだろうか。
アスリートの世界は、努力をすれば結果が必ず付いてくるほど甘い世界ではない。持って生まれた才能もいるし、何よりも運がいる。どんなに必死で頑張っても、夢や目標が達成できない経験は、人生で何度も何度も味わう。特に、スポーツはその現実を突きつけてくる。それ故、人それぞれの能力や環境の違いを見つめ直し、自分の限界や可能性を考えるきっかけになる。「努力」することの意味でもある。
「夢(希望)」は、苦しくて仕方ないとき、あなたの心を癒やしてくれる。マッチ売りの少女は、雪の降りしきる道路で、マッチを一本するごとに夢を見ていた。暖かいクリスマスパーティ、優しいおばあさんの幻像などを夢の中で見て、微笑みながら最期を迎える。夢(希望)は、どうしようもない苦しみに耐えるための必要アイテムだ。
しかし、夢ばかり追っていると、私たちは、夢と現実の落差を感じるようになる。この落差が、逆に、あなたの心を苦しめる。解決するためには、どうすれば夢に少しでも近づけるのか、そのルートを探ること。そして、一歩ずつ絶え間なく近づき続けること。この2つの行動しかない。「どうせ自分は~ 」と思ってすぐに諦める人、うまくいかないことを周りのせいにする人は、夢も持てないし、努力もできない。
夢(希望)に向けてのルート探しの中で、当初とは違う夢を再設定しなければならないこともあるだろう。でも、再設定した新たな夢(希望)に向かって、一歩ずつ進む努力をし続けていけば、いつかは花が咲く。
北陵高校は、キャリア教育を軸に据えている学校だ。特に1年生は、自分が進む方向に向かってのルート探しの旅が始まっている。本校での教育活動をうまく利用して、皆さんの夢(希望)に向けてルート設定を行って欲しい。
先の見えない戦場
先日の朝日新聞に、金沢市保健所を密着取材したリポートが掲載されていた。
現在の保健所の1日は、「職場には電話するな!」と迫る人、「何時になったら入院できるんだ!」とすごむ人、発症日までの行動を正直に話さない人、「保健所は見殺しにする気か!」と怒鳴る人、鳴り止まない電話の対応に明け暮れている。帰宅は連日深夜。睡眠は4.5時間。めまいや吐き気が続き、休養する人も出ている。毎金曜の昼には「カレー」がふるまわれる。曜日感覚を忘れないようにするためだ。
職員の「何時になったら終わるのか、先の見えない戦場です」という言葉に胸が詰まる。
2学期に入り、生徒諸君には「感染拡大防止で、今、あなたが出来ることを丁寧に」と言い続けているが、しんどい時には、限界で業務に当たっている保健所の方々を思いやってみよう。
私たちには翼がある
本日の始業式で、生徒の皆さんに次のような話をしました。
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8月24日、東京パラリンピック開会式でのパフォーマンスが印象に残っている。
国立競技場を空港の滑走路に見立てて、そこから飛び立とうとしている小さな飛行機。13歳の車椅子の少女がその飛行機を演じている。でも、翼が片方しかない。でも、一生懸命飛び立とうとしている。そこに、個性的な様々な乗り物が集まって、その仲間達からの励ましで、片翼の飛行機は空に飛びたつ、というストーリー。
そのタイトルは 「We Have Wings(私たちには翼がある)」。大会公式ツイッターによると、人間は誰もが、自分の「翼」を持ち、勇気を出して、その「翼」を広げることで、自分の夢に到達できることを、テーマにしたようだ。
実際、日常生活に困難を抱えている方々はいらっしゃる。目に見える障害でなくでも、私たちにも「心の翼」が少々もぎ取られてしまったような苦しみを抱えている人たちはいる。そうした人達に対して、「何とかしてあげたい」という、周りの励ましや行動が、飛び立つための「翼」になるんだ、ということだろう。
今回のパラリンピック開会式には義足モデルとして活動している海音(アマネ)さんも登場していた。彼女は、5歳からキッズモデルとして活躍し、小学4年の時に、ダンススクールの仲間とアイドルグループを結成。ところが、2年後、血管が炎症を起こす難病にかかり、右足が壊死したため、小学6年の7月に足を切断。その後、薬の影響で体重が30キロ以上増えて、「自分は変わってしまった」と感じ、学校に行けなくなり、街を歩くときも、ガン見されることに怯えて、義足をつけていることをばれないようにしていたらしい。
彼女を変えてくれたのは、前回リオ大会の閉会式。そこには、世界的にも有名な義足モデルの方が登場して、きらびやかで堂々と義足で歩く姿に「義足は武器にもなる」と気づかされた。その後、モデルの活動を本格的に始め、その後はアパレルブランドからコマーシャルの声もかかるようになった。
海音さんは「私も義足を出して、同じような境遇の子に勇気をあげたい」と考えた。つまり、彼女は「勇気」という「翼」を送ってくれたのだ。
私たちも、周りの人にどんなサポートができるだろうか、どんな「翼」を送ってあげられるだろうか、少し考えてみないか。周りからのサポートや励ましを必要としている人は必ずいるし、皆さんなら応えてあげられるはず。
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2学期も、生徒の皆さんが充実した日々を送れるよう心から願っています。
あなたを助ける人は必ずいる
先日、オンラインSTをしました。
次の文章は、その際、生徒の皆さんにどうしても伝えたくて送った内容です。
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8月13日の読売新聞に、関ジャニ∞の横山裕さんの話が掲載されていました。
彼が3歳の時に両親が離婚し、5歳の時に新しい父が出来たが、全くなじめなかったこと。小5の頃から、その後生まれた6つ下と8つ下の2人の弟たちや両親と計7人で一緒に貧しい生活をしていたこと。その後、母と義父が離婚し、「僕がしっかりしないと弟たちの将来がむちゃくちゃになる」と考え、2人を支えようと決めたこと。29歳の時、母が急逝し、2人の弟と大阪で共同生活をはじめ、実質、彼が生活費や学費の面倒をみていたこと・・・。などが書かれていました。その横山さんがこう語っています。
ジャニーズ事務所に入ってから、後輩も含めて年齢の近い仲間がどんどんデビューしていきました。自分はいつデビューできるのかという焦りや苦しさがありました。
勉強や進路のことで追い詰められていたら、一度リセットして違うことに切り替えてみるといい。何もやる気が起こらないなら、そういう時期だと思って休んでいい。
僕は中卒なのですが、33歳の時、番組の企画で高等学校卒業認定試験に挑戦。僕なりに猛勉強して合格しました。周囲の応援をプレッシャーに感じたけれど、失敗しても僕一人のせいではないという気持ちもどこかであった。重圧は一人で追わない方がいい。
最後に、若いって、本当にステキなことです。まだ見ていない世界は山ほどあって、何が自分にはまるかはわからない。これから何にだってなれる。自分で選択肢を狭めないでほしい。
親子関係に悩んでいる人は信頼できる誰かに一度、相談してみるといい。悩みを言い出せない気持ちも分かるし、相談しても前に進まなかったらつらい。けれど、一人で抱え込んでいても解決しない。一歩、勇気を出して踏み出してみてください。あなたは一人じゃないのだから。
人間、若い時は、必ず何かしらの重圧がかかってきます。そのプレッシャーが人間を強くさせてくれます。でも「もうムリ、限界だ!」と思う時もある。その時は、誰かにヘルプを求めて下さい。あなたを助ける人は必ずいるから。若い頃、苦労を重ねた関ジャニ∞の横山さんが、自分の経験から「あなた一人じゃない!」と強く言っている、本当にその通りだと思います。
北陵高校の先生方も、あなた達を全力でサポートします。何かあったら遠慮無く相談してほしい。また、顔の知れた先生に相談するのは厳しいというなら、国や県などが開いているSOS相談窓口に、是非声をかけてください。あなたを助ける人は必ずいるから。
勝敗を越えたところ
東京オリンピック開会式が2日後となった。今回はどんな感動を味わえるだろうか。
前回のリオ大会で、自分が一番印象に残っているシーンはバドミントン(女子)ダブルスだ。壮絶な逆転劇で日本選手史上初の金メダルを手にした「タカマツ」ペア。手に汗握る決勝戦自体の感動もさることながら、表彰を終えた「タカマツ」ペアの松友美佐紀さんの言葉にシビれた。試合後、涙を流してインタビューに答える彼女のコメントの一部を紹介する。
「試合をしていく上で、五輪で最後と決めている選手もたくさんいて、それが辛くて、いろいろな選手がいて、いまの自分がいる、もう戦えないと思うと辛かったです。」
「苦しい練習が報われ、世界の頂点に立てて嬉しいです!」みたいな答えをするのかなと思いきや、優勝した松友さんは、相手ともう戦えない寂しさと感謝の念が、私の涙だと言い切った。試合後に、勝敗を越えて、対戦相手に思いを馳せる場面を、私は今まで見たことがなく、本当に驚いた。世界のライバルが自分を成長させてくれたという実感、それが、勝利の喜びよりも、もう試合ができないことへの寂しさを強調させたのだろう。
この夏は、「日本金メダル遂に○個!」とか「日本勝った!負けた!」で全国的に盛り上がると思うが、試合の勝ち負け以外の、様々なドラマや感動も併せて丁寧に見ていって、自分の価値観や見方を広げてほしい。
北陵生諸君も、部活動の大会に出たり、就職選考や大学受験を受けたりと、勝負に挑む機会がやってくる。その時、「勝った!負けた!」とか「受かった!落ちた!」とかのレベルを超越する体験を一度でもいいから持てるといいなと思っている。そうした超越ゾーンに入るということは、そこに至るまでの死に物狂いの努力をし続けていることが前提にあるからだ。
「自分はここまで努力できた。こんなに頑張れた自分を誇りに思うし、自分はメンタルも強い。あとの結果はもう気にならない。試合(受験)を楽しもう。」
大きな勝負を前にして、このようなことを本心から思えるようになってほしい。