工業系列(機械・電気) 日誌
旋盤の修理【工業系列】
旋盤の起動時にチャックの爪と刃物が接触する事故で、怪我はありませんでしたが機械に大きな損傷がありました。
修理見積もりが50万円でした。業者さんが2日間でケリをつけるには疑わしい部品全ての交換になるので仕方がありません。しかし50万円では中古の旋盤が買えてしまうくらいなので、仕事の合間に1ヶ月ほどかけて直してみることにしました。
ものづくりマイスターの井崎先生にサポートをいただいています。
1番損傷の大きい部分は下の動画のとおりでした。
しかし、その軸の上に別の軸があります。
この軸も損傷を受けているので軸とギヤが分離できない状態です。
つまり、ギヤがこのケースに干渉して軸が抜けない状態です。
中央のギヤと軸が動画の故障の部品です。奥まっていますね。
握り拳3個分くらいのハンマーで2時間ほど叩いて、クサビの工具を自作してこじって軸とギヤを分離させました。
しかし次が大変。まがっている軸に差してあるギヤをどのように分離するかが問題でした。
余っている板材をマシニングセンターで穴をあけ、ギヤに刺さっている軸を抜く治具を自作しました。
自作治具のボルトを回すと、車のジャッキのように数トンの力がかかり、無理やり軸を抜いて行きます。
目標の軸二本が外せました。合間を見つけて3週間かかっています。
確実に損傷しているシャフト2本。2本で約4万円。これだけ済めば46万円のコストダウン。
外した部品です。
ギヤ側の穴にも少し損傷がありますが、やすりがけで直して組み立てる予定です。
作業進捗的には、まだまだ半分もできていない状態です。
冬休み中が勝負かな?
【最後に】
就職先の企業で、機械が故障するたびに業者に直しに来てもらっていては、外払いが嵩み、利益が出なくなります。
故障させないための保全の技術、軽微な故障なら自分たちで対処できる技術が大切です。
基本的な機械要素の構成である旋盤くらい、自分たちで直しましょう。
平滑回路【工業系列】
前回、波形整形回路で交流信号を
↓
半波整流 全波整流
にしました。
この信号だとまだ直流信号にはなっていません。
極性(プラス・マイナス)の時間による変化がまだ存在している
からです。
そこで、負荷に対して並列に「コンデンサ」を接続します。
コンデンサは電気を蓄えることができるパーツですので、上の
写真の波形でいう「山の頂上」から電圧が一気に下がることなく、
ゆっくりと放電して補ってくれます。これを「平滑」といいます。
半波整流だとこんな波形になりました。
コンデンサを大きく→
コンデンサの静電容量を大きくするほど直線に近くなって
いきますが・・・まだ直線には遠いですね(リプルがあります)。
そこで、全波整流にコンデンサを接続すると、
コンデンサを大きく→
※白い波形は入力波形(元の信号)です!整流波形ではありません!すみません!
おおっ、右側の写真ではかなり直流っぽいですね!
きちんと波形を観測することができました!
手仕上げ作業【工業系列】
現代では便利な加工機械がいくつもありますが、最終的な仕上げや
微細な調整などは、やはり「人間の感覚(五感)」を頼りとします。
今回の実習は手仕上げ作業です。まずはヤスリで「面取り」に
チャレンジしました。きれいに角処理ができるかな?
ヤスリで材料の角を削り、 カエリがないように、削った
油砥石などできれいに 跡が残っていないように、
仕上げます 確認を重ねながら作業します
「えっ、どうやってやるん?」 「いいものを作ろう!」という
「こうやってやりんがいや」 意思が大事です!
教え合いが嬉しいですね!
技能検定3級数値制御旋盤作業の取得に向けて【工業系列】
今年は先生を含めて15人が受検します。
画像の通り10人が1度目の総合製作を完了。
製作に2時間半。
2回通しで製作するのに立ち会うため
2.5h/回・人 ✖️ 2回 ✖️ 15人 = 75 h
…10日ぶっ通しの勤務時間に相当。
年間ざっくりと200日勤務とすると、総合製作の立会だけで年間の5%のリソースを使用。
実際は今後2ヶ月半の期間で実施するので、2ヶ月半の間に集中して月間リソースの20%のリソースを使用。
これだけリソースを使いますが、数年この活動を続け、ここで得られたマインドを持って
卒業生が巣立って行ったらこの北金沢地域にどんなインパクトが得られるか、楽しみです。
別件になりますが、電気分野も並行してある試みを実施しています。
地域に貢献する学校として、どれだけ人材育成で貢献できるか楽しみです。
波形整形回路【工業系列】
一般的に電気機器は「直流(DC)」の電気エネルギーで動きます。
家庭用電源(いわゆるコンセント)には「交流(AC)」の電気エネルギーが
届いているので、これを直流にする必要があります。
(電球や電動機など、交流で動作するものもあります)
交流を直流に変換する方法として「波形整形」→「平滑」の手順があります。
今回の実習では「波形整形」の原理について確認しました。
低周波発信機とオシロスコープ、 さあ、波形が映るかな? まずは半波整流の回路です。
ブレッドボードで回路を作り ダイオードと抵抗を直列接続
ます。 するだけの単純な回路です。
この信号が・・・ → こうなる! 元の波形と重ねてみました。
波形の片側だけを取り出すので、
「半波」整流と呼ばれます
次は全波整流の回路です。 半波ではカットされていた 元の波形と重ねてみました。
ダイオードをブリッジ接続 下の部分が上に出てきた! 回路は複雑になりますが、
します。 エネルギーを無駄なく使え
ます。
大切な追記
「あれー!?オレの作った全波整流回路、なんでか半波の出力になりんけど!」
「えー、おれの作ったが、ちゃんと全波で出とるぜー?」
「回路間違えとるんちゃうんか!よう見てみいまん・・・むむむ、回路は
ちゃんと合うとるな・・・なんでや・・・」
(正常) (異常)
原因はダイオードが一本ショートしていたからでした。
ダイオードは電流の流れを一方通行にしてくれるパーツですが、
テスターで確認したところ、なんらかの原因で短絡(ショート)の
状態になっていました。
写真左が正常ですが、右は順方向・逆方向ともに抵抗は1Ωと
表示されました。
正常品と交換することで、ちゃんと全波整流の波形が出ました!
よかったよかった!
鉄くずの回収に来ていただきました【工業系列】
金属加工(切削・溶接)の実習で出た鉄くずなどがたまってきたので、
回収に来ていただきました。
鉄くずといえど、大切な資源です!リサイクルして生まれ変わります!
当日は大型トラックで来て 廃棄物ボックスやドラム缶に
いただきました。 いっぱいの鉄くずです!
たくさん練習した証です。
【動画あり】あたぁ!(ポリテクカレッジその後)【工業系列テーマ研究】
授業中ではなく、放課後の様子です。
本校3年目の教育委員会事業「専門高校等における産学連携人材育成事業」「画像処理による自動運転模型自動車の製作を通した人材育成」で実施しています。
22日に本校で実施するマイコンカー記録会のスタートゲートを先週木曜にポリテクカレッジ石川さんに製作指導を受けに行ったものがようやく形になってきました。
教育委員会事務局の指導主事の先生からは「まず、確かな知識をつけさせて、生徒自身が自分の言葉で技術的なコミュニケーション(考えを伝えること)ができるように今年は指導してくださいと助言をいただいています。
上記のことについて、今年は設計に関することでということでしたが、まだよくわかっていないプログラム分野でも気づいたことを伝えて前に進めようとするところが記録できましたので掲載しておきます。
放課後なので音楽かけたりしている点はご容赦ください。
専門高校等における産学連携人材育成事業の一環でポリテクカレッジ石川様に行きました【工業系列テーマ研究】
今は新人戦の期間中で、外に行けるチャンスなので、ポリテクカレッジ石川(正式名称:石川職業能力開発短期大学校)様へ自動運転模型自動車のスタートゲート兼タイム計測器の製作指導を受けに行ってきました。
今回製作するスタートゲートは来週22日に本校で記録会を実施運営するために必要で、2台製作します。
製作マニュアルの目次にしたがって事前に役割分担をしたうえで訪問しました。
工業系の大規模なテーマ研究は集団でのプロジェクト制をとるものもあります。仕事の世界では大規模なものになればなるほど、ライバルが不在になって行きウマミが増すので、プロジェクト制に慣れていく利点があります。今回はたくさんの人材を投入して1・2日でケリをつける短期決戦型なので、この方式を採用しました。仕事の世界では短納期対応もライバルが減るのでウマミが増します。仕事の世界ではチームワークやコミュニケーションを大切にするのもうなずけます。
ポリテクカレッジ石川の田中先生から基板カットについて指導を受けました。
マイコンの基板とドットマトリックス表示基板のパンダ付け。24ピンくらいのドットマトリックス部品のパンダ付けの方向を間違えて、あとで田中先生に外してもらっています。外すコツまで教えてもらい、助かりました。でも設備が本校にはない。揃えなくては。
ゲートの筐体製作。MDFという材料は柔らかき切断と穴あけはしやすいのに木ネジで割れやすい。
ビンにケーブルをパンダ付け。フレッドボードを使えば火傷をしない。なるほど。
昼食は食堂で
蜜を防ぐため、早めに取らせていただきました。
昼食後、ポリテクカレッジで行っているテーマ研究の説明を受けました昼休みも活動中でした。
本校の卒業生とも会えました。
昨年度の本事業の参加者です。
写真の先輩以外にもKu、Ki、Na、Ka、Ma先輩も来てくれました。Ni先輩は会えませんでしたが、今回訪問したメンバーのうち3人が同じ科の後輩になるのでまた再会することでしょう。
先輩方は寮生なので寮の食堂で3食食事とのこと。3食で1200円で、朝もしっかり作ってくれるので食べてたら昼夜逆転も治るとのこと。高校時代にあんなにゲームで昼夜逆転していた時期もあった某先輩も、最近は大好きなゲームもする体力がなくなった様子でした。優先順位がハッキリしたのでしょうね。
2年生はとても忙しそうでした。みんな精神的に成長していて進路も決まっていました。
予定より遅れて5時に終了。およそ70%できました。
田中先生に今日感じたことをひとり一言ずつ述べて、田中先生からお返しにアドバイスをいただきました。仲間と連携してやっていること、困っているときは声を出して行くこと、とても作業が上手くなったことについて講評をいただきました。
今回の本事業は、確かな知識を身につけたうえで自分の言葉で技術的なコミュニケーションをとることについて育成する目的でいたので、順調に成長できていて続けていこうということを確認しました。
田中先生をはじめ、ポリテクカレッジ石川(石川職業能力開発短期大学校)様、本日はありがとうございました。
切りくず【工業系列】
機械加工で材料を切削すると、そのぶんの材料が「切りくず」
(きりことも呼びます)となって出ます。
金属は資源回収に来ていただきます。
汎用旋盤やNC旋盤、 マシニングセンターは・・・
帯鋸盤から切りくずが これは樹脂材を削った
出ます 切りくずです
屋外のバケツに集めて、
業者さんに回収に来て
頂きます。
おまけの一枚
本校の「ある場所に」に、毎秋少しだけ山女(アケビ)が実ります。
「おおっ!今年もアケビやなっとるがいや」
「先生、アケビってなんですか?」
「そうか・・・山入ってアケビ食べるって、みんなもうせんがんか・・・」
というやり取りも秋の風物詩です(先生も毎年忘れてしまいます)。
ちなみに先日確認したら、もう中身が空っぽでした。目聡い動物が
見つけていくんでしょうね。
NC旋盤とマシニングセンタのコラボ【工業系列】
厚生労働省の「ものづくりマイスター」から、よく「工順まで考えられる生徒を育成して欲しい」と言われます。2年前に本校では若年者ものづくり大会全国大会のフライス盤部門に出場させていただいた中、工順を考える指導ができていました。最近は自動運転模型自動車(マイコンカー)の部品製作という、別の形で挑戦しています。こちらの方が作る点数が多いので。
横に穴と溝があるのが難所です。小さいので、加工中に材料が破壊されるのも難所となります。
今回はNC旋盤で穴と溝加工ののち、マシニングセンタで形状を削ることで、立体形状の小物の加工に挑戦しました。
まず丸棒をNC旋盤で加工。
普通、旋盤は材料が回り続けて固定された刃物で丸いものをけずれるのですが、このNC旋盤は材料を好きな角度で固定する機能と、回転する刃物を取り付けられて刃物を回転させながら縦横に動かせる機能がついているのでこんなことができます。0度だけでなく90度と-90度と180度の面を加工しました。
マシニングセンタで、直径20ミリの回転工具で加工
同じくマシニングセンタで直径5ミリの回転工具で加工
さらに同じくマシニングセンタで直径2ミリの回転工具で加工。
最初に固定しておいたねじが露になりました。
この部分をかわして加工してあります。
ネジを外すとできあがり。
プログラム作成に10時間、試し加工に3時間。
それさえできれば5分で大量生産できます。
売れるなら打出の小槌状態…でしょうか。
実習の授業では簡単なことしかできませんが、総合的な探究の時間では可能です。
ただ、粘り強さが要ります。
家での学習に例えると、平日5時間、休日は10時間勉強できる粘り強さがあればこんなこともできるようになります。
電気系の資格なら第一種と第二種の電気工事士、機械系なら2級旋盤の技能検定くらい、商業なら簿記の検定に合格するくらいの粘り強さでしょうか。
石川県金沢市吉原町ワ21番地