校長室より「おこらいえ」
夢とうつつのはざまで
105日目
平日は
瓦礫の中の学校での教育活動
週末は家族の避難先でのお風呂など
という生活が続いています
おそらくこの先ずっと続きます
水が使えたり
いろんなお店が遅くまで開いていたりと
夢のような週末を過ごし
日曜日の昼食の後
学校へ戻ります
夢とうつつのはざまを
行ったり来たり
のと里山海道
昔は能登海浜道路といっていましたが
それすらなかった私の若い頃は
車で金沢まで3時間半かかっていたし
夜遅くまでやってるコンビニなんて
もちろんなかったし
その頃に戻ったと思えば
正直どうってことないのですが
若い先生方
特に金沢加賀地区から赴任された方は
きっととても辛い日々を
送っているんだろうなと
金沢から輪島への道中
窓からの風景を眺めていると
だんだん現実に引き戻され
同時に「よし!やるぞ!」
と戦闘モードに入ってきます
輪島市街地に入るほんの手前に
手弱女桜(たおやめざくら)が
見事な花を咲かせています
平安時代にこの地に赴任した地頭の随士が
京都の伏見稲荷に赴いた際に
持ち帰った幼苗が根付いたものだそうです
まんが日本昔ばなしのようなこの風景
ご覧ください
桃源郷ってこんなところをいうのかな
まんが日本昔ばなしといえば
その主題歌
「お尻を出した子一等賞」の歌詞に
いろんな解釈がなされていますが
自分が一番好きなのは
「競争社会において
周囲の同調圧力に屈せず
恥をかくことを畏れずに
人前でお尻を露出するくらい
大胆で抜きん出た発想と
度胸と行動力を持つ者は
集団を牽引する存在になる!」
というものです
この桜は夜になると
ライトアップされますが
妖しいまでに艶めかしい姿となります
これまた昔
「桜の花がパッと咲いた美しさを
歌うのがAKB
その花が散る美しさを
歌うのが乃木坂
その花が綺麗なのは下に死体が
埋まっているからという美しさを
歌うのが欅坂」
と例えていたコピーライターさんが
いらっしゃいましたが
この桜にはまさに
欅坂が歌う美しさがあります
桜って風が吹くと
はかなく散りそうなイメージですが
実は咲き始めて1週間
次の世代を残す営みが終わるまでは
どんな強い風にも
決して散らないそうですね
そんな強さと
散る時は一斉に散っていく
そんな潔さが
多くの日本人に愛される所以です
この手弱女桜
違った角度から撮影すると
夢とうつつが一枚の写真に
「さまざまのこと思ひ出す桜かな」
思いはかなう
102日目
「この世は
思ったとおりになるのだそうで
『思ったとおりにならないよ』
と思っている人が
思ったとおりにならなかった場合
思ったとおりになっているので
やっぱりそれは
思ったとおりになっているのだそうで」
ワンピースの作者
尾田栄一郎先生が
コミックの後書きに
書いていらっしゃいます
「思いは叶う」
このことを「WAJI活」の中で
体験してもらいたいと考えています
「WAJI活」
WAJIMAの魅力を再発見
「総合的な探究の時間」の中で
これまで取り組んでいました
今年は
自分たちの思いを
直接まちづくりに活かせる
絶好の機会であると捉えています
僕らの街は僕らが創る
「街プロ」
今日は
「どんなまちにしたいか?
どんなまちなら帰って来たいと思うか?
どんなまちなら人が集まるか?」
みんなでアイデアを出し合いました
自分がやりたいこと
見つかった人は
「医療・福祉」
「農業・漁業」
「教育・こども」…
などカテゴリーごとに
グループづくりです
走り出せる生徒は走り出せ
まだそんな気になれない生徒は
ゆっくりでいいよ
それぞれのペースで
それぞれの未来を
思い描こう
失敗したってかまわない
「努力して成功すると自信になる
努力しないで結果が出ると驕りになる
努力しないで結果が出ないと後悔が残る
努力して結果が出なくても経験が残る」
これは山里亮太さんのお母さんの言葉です
安心、絆、チャレンジ
101日目
「自分は〇〇がトラウマなんですよ」
この言い方は間違っているそうです
なぜなら原因がわかっているのは
トラウマとは言わないから
今日は
トラウマからの回復と
トラウマからの成長について学び
実践しました
あの日から3ヶ月が過ぎ
自分から見ると
生徒たちはとても元気で強くて
教員の方が元気づけられているような
でも元気な行動に隠された心の傷や
元気な生徒が目立つだけで
静かに耐えているだけの生徒もいる
そんな小さいことを見落としてはならない
富永 良喜先生をお招きし
大災害と子どもの心のケアにどう向き合うべきか
いっしょに学びました
先生は阪神淡路大震災での心のケアを皮切りに
神戸児童連続殺傷事件では
「心のキャッチボール」を実践され
東日本大震災の時にも
多くの方が心の傷から立ち直るための
支えをなさってこられた方です
私自身
最近になり急に
地震や火事の夢で起こされるようになり
これはフラッシュバックで
心が壊れる前触れなのか
それとも立ち直るまでの
正常なステップのひとつなのか
とても気にはなっていたので
興味深く聞かせていただきました
まず今の状況に向き合います
「眠れないときどんな工夫をしているか?」
グループで話し合い 全体の前で発表しました
ちなみに「ゲームをする」というのだけは
逆効果で全くお薦めできないそうです
そのあと ストレスへの向き合い方について学びました
ストレスに対応するには
安心→絆→チャレンジ
の段階があるそうです
(1)安心
災害直後に感じていた恐怖や
大切なものを失った喪失感
時間の経過とともに薄らいでいます
特に発災後数日間のことは
思い出そうとしても
思い出せないくらいです
どうやって生き延びたのか?
何を食べていたのか?
それすら記憶はあいまいです
「忘れる力」ってありがたいと実感
(2)絆
こうして
トラウマ反応や喪失反応が
軽減されてくると
代わりに
不自由な生活が長引くことによる
生活ストレス反応が大きくなってきます
そのことに向き合うためには
安心して語れる場をつくり
被災体験に直接触れないテーマの表現を行うことが
重要になってきます
今この段階に来ています
(3)チャレンジ
避けようとしていることに
少しずつ向き合うことで
思い出として肯定的に整理される
「どうしたらトラウマから立ち直るか?」
この問いに対して「好きなことをしまくる」
と答えた生徒がいました
このような段階を経て
震災のショックから立ち直ることができます
11日(木)7限目には
僕らの街は僕らが創る「街プロ」を始めています
奇しくも震災のトラウマからの脱却を図るための
プログラムになっているということを
今日のお話を聞いて確信できました
先日の「のと未来トーク」では
学校を中心とした地域住民が語り合える場
の重要性が指摘されました
「街プロ」をまさにそんな場にしたい
保護者のみなさま
地域のみなさま
ぜひ学校にお越しください
一緒に討論に入っても結構ですし
生徒たちの活動を見守るといった参加でも結構です
カタリバさんが
全日本チームが直接着ていたという
グラウンドコートを
サッカー部に贈ってくださいました
できることからできる場所で
100日目
新年度が始まって2日目
生徒会の執行部の生徒たちが
朝早くから玄関に立ち
挨拶運動を始めました
さすが学校を変えたいと
進んで立候補してくれたメンバーです
大きな声で爽やかに声掛けをしていました
午前は実力テストを行いました
避難所の中めげずに勉強してきた
成果を試します
新しいオンラインシステムを導入して
金沢近郊への避難者の登校する
内灘高校ともつなぎます
その頃 内灘高校では
久しぶりに学校に通う生徒たちが
一生懸命です
午後には
先輩が新入生を迎える対面式が行われ
新入生代表として田上遥(たがみはる)さんが
ご挨拶をしました
放課後は部活道
仮設住宅建設中の陸上競技場の代わりに
陸上部は廊下をひたすら走ります
卓球場が避難所になっているので
卓球台を視聴覚室に運び入れて
同じく練習場が避難所になっている和太鼓部も
まとまった場所が必要なのでこちらは音楽室で
代わりに吹奏楽部が教室へ移動
場所を譲り合って使っています
避難所のナースステーションとなっていた
和室に箏曲部が戻って来れました
傾きが少なく唯一かろうじて使用できる
第二体育館は
バレー、バスケ、サッカーなど
いろんな部でローテション組んでます
今日はバドミントン部と野球部
できる場所を探して
できることを探して
けなげに取り組んでいます
自分たちは決して
かわいそうな子なんかじゃない!
そんな声が聞こえてくるような
体育館入り口には
避難民の方が新入生に
寄せ書きしてくださった
横断幕が
心のこもった贈り物ありがとうございます
シンガポールのゴメス真理子先生から
励ましのお便りをいただきました
以前シンガポールから高校生を連れて
輪島の街に来てくださった時
朝市などを案内したのですが…
当時の高校生たち
街がこんな姿になってるなんて
想像すらできないでしょうね
僕らの街は僕らが創る!プロジェクト
「街プロ」
(響き的には
町野町の方が始めた「町プロ」と
被っちゃいました)
今週木曜日にスタートします
先日の「のと未来トーク」のとき
高校生と地域の大人が
いっしょに語り合う場が必要だという
強い意見がありました
毎週木曜日の7限目
そんな時間にしたいと考えています
地域の未来について
高校生と語り合いたいという方
高校生が何を感じ
何を求めているのか知りたいという方
そんな難しいこと考えてないけど
ふらっと覗いてみたい方
ゆる〜い感じでまずはスタートします
ぜひお越しください
性別、年齢一切不問です
どんどんお越しください
未来からの留学生たちへ
今日は99日目
ご存じでしたか?
今年は昭和99年です
昨年創立100周年を迎えた輪島高校に
101年の歴史の中で最も少ない
76人の入学生を本日迎えました
輪島高校を選んでくれた
入学生のみなさん
輪島高校を信頼して送り出してくださった
保護者のみなさま
おめでとうございます
そしてありがとうございます
学校の様子をご覧ください
ほんとうにズタズタです
でもこれでも先生方先輩方が
みんなを迎えるために
一生懸命片付けをして
今日の日を
準備してくださいました
さてみなさんは
日本で一番過酷な環境で
高校入試に備え準備をしてきました
去る1月17日
白山市の施設へ集団避難避難する
みなさんを乗せたバスを見送る
お母さん方の涙を
テレビで拝見しました
生まれて初めてこんなに長い時間
親子バラバラに過ごす
お互いにさぞ不安なことだったと思います
でもそんな中でしっかりと
前を見つめ
努力を重ねて
たくましくなって今日の日を迎えました
輪島高校では
そんなみんなのことを
未来の世界からやってきた留学生
と考えています
今 たまたまタイムスリップして
この悲惨な世界に
辿り着いてしまいました
でも帰って行くべき
輝かしい未来の世界があります
未来の世界はどんな世界でしたか?
いつの日かその未来の世界へと帰っていくのです
その時が来るまで
今できることを
精一杯やっていきましょう
未来を生きるために必要なことを
輪島高校で3年間しっかりと学んでください
最近夢を見るようになりました
地震の夢
火事の夢
そしてもう帰ることのできないはずの
元の家に帰って行く夢
そんな夢で夜中に何度も
目が覚めるようになりました
これまで夢を見ることもできないくらい
毎日疲れ果てていたのに
少し前に進んだ証しだと思います
止まっていた時間が動き始めた
なんだかそんな気がします
これから暖かくなってきます
復興もこれから一気に進んでいくでしょう
「自分の未来は自分で決めよう」
今日の入学式にあたり
式場を花で飾ってくださったのは
卒業式にも来てくださった
フラワースクールミュゲの
水上詩子さん
今回はいっぱいの青い胡蝶蘭を
あしらってくださいました
青い胡蝶蘭の花言葉は
希少、尊敬、愛情
誰にも経験できない希少な悲しみの中でも
尊敬と愛情をとの思いを込めてくださいました
それから本校卒業生で
平昌オリンピックのスケルトン競技に出場された小口貴子さんが
入学生全員にバームクーヘンを贈ってくださいました
また式後には
ガルガンチュア音楽祭のアンサンブルメンバーによる
演奏のプレゼントをいただきました
ヴァイオリン、チェロ、ピアノの3重奏です
リトアニア語の「ありがとう」を教えてもらいました
「アチュー!」