校長室より「おこらいえ」
街には学びの種がいっぱい
13日目の朝
いよいよ共通テスト本番です
本来12年生も学校で
模擬試験を受ける予定でしたが
それは叶いません
共通テスト会場で憩いのひととき
2名軽い体調不良を訴えている他は
いたって元気です
支援の文房具も続々
鉛筆、消しゴム、鉛筆削りはもちろん
時計やコンタクト洗浄液まで
昔、能登で勤務されていた
先生方が届けてくださいました
どんな時でも学びを止めるな
このブログの大きなテーマのひとつです
こんな時だからこそ見える
学びの種がたくさんあります
自分も含め被害に遭った者から見ると
この非常事態に何を不謹慎な
と目に映るかもしれません
でも、次に同じようなことが起こった時のために
研究を残すということは重要です
まずは津波
今回の地震で5mの津波が観測されました
ところが到達した津波は1m
予想の外れ?
いえいえ
この差の4mの秘密は地面の隆起にあるのでは?
もしこの隆起がなければ
あるいは津波によって
さらに被害が広がっていたのかも
あくまで自分の仮説です
https://www.itmedia.co.jp/news/spv/2401/12/news121.html
次なる疑問?
街を歩くと道路に
マンホールが 飛び出ているのです
地面が隆起したにしても
なぜマンホールだけ?
地震になっても
飛び出ないマンホールが開発できれば
道路の復興が容易に進み
支援物資も迅速に運べるのに…
調べてみるとすでに先行研究がありました
https://www.gucenter.co.jp/_userdata/guvol5.pdf
疑問の目で
あらゆるものを
見つめてみることが
学びの種です
こんな時だからこそ
視点を広く
明日に備えて
いよいよ明日に迫った共通テスト
現地集合の生徒を除いた12名
朝早くから登校し
みんなで寄り添って直前の勉強会
その後出発式をしました
震災で文房具をなくした生徒らに
瓦礫の下から集めた
なけなしの文房具をプレゼント
歌いたがり校長は
今日も下手な歌で元気づけです
「負けないこと
投げ出さないこと
逃げ出さないこと
信じ抜くこと」
共通テスト前には
毎年決まって同じ話をしています
ソフトボールのナショナルチームの
メンタルトレーニングの話です
北京オリンピックに向かう前々日
宇津木妙子監督が
選手に伝えます
「明日は練習をオフにする
これまでお世話になった人に
挨拶に行きなさい
それが出発前の
最後のメンタルトレーニング」
エースの上野由岐子投手は
絶体絶命のピンチになったとき
このメントレのことを思い出し
自分はひとりじゃない
不思議な力が湧いてきたといいます
そして見事に金メダルを獲得するのです
このことは感謝の心の大切さを伝えています
あなたがお世話になった人は誰ですか?
家族?先生?あるいは?
ちなみに上野投手は
中学校の時にお世話になった
ソフトボールの顧問の先生の
お墓参りに行ったそうです
この話は昔「深イイ話」で聞いたもので
その後何度も話しているうちに勝手に脚色して
実話とは異なるものになっているかもしれません
みんなで試験会場の下見をしました
輪島高校の会場は金沢学院大学
ずっと前から利用させていただいています
快適な控室、わかりやすい会場図や時間割の掲示
丁寧な対応、本当にありがとうございます
夕食はホテルでご馳走です
避難食から急に豪勢な食事
お腹がびっくりしないといいけど
避難している家族に食べさせたいとの声も
今日はもうひとつイイ話
引率の矢知先生の車のバッテリーが
ホテルに着いた途端ダメになってしまいました
JAFに見てもらったら液がなくなっていて
ここまで走ってきたこと自体奇跡だそう
途中何度か停車したのに
その度にちゃんとかかっていたのです
生徒を送り届けるまではと
なんと責任感のあるバッテリー
責任感ある機械といえばこちらも
倒壊したビルの下敷きになっても
住民の安全を
見守り続けています
今日の感染症
コロナ19名
インフル2名
腸炎4名
いよいよ明日出発!
1月13日(土)から
いよいよ大学入試共通テストが始まります
毎年輪島高校では
大型バスで全員一緒に向かうことになっています
会場のある金沢市まで100km以上
車で2時間以上かかるからです
明日の朝出発しホテルに3泊します
ところが明日の朝学校まで来れない生徒が…
道路が分断されて車が通れない生徒です
今日、教員がその生徒を
迂回路を通って学校まで連れてきました
彼は今晩は学校に泊まります
教員も何人か泊まりこんで
寄り添ってくれてます
みんなで食事の一コマです
今日も自衛隊の炊き出しがありました
なんだか少しずつ贅沢になってきます
本当にありがたいです
「Humanity First」の方々も
初日からずっと車中泊で
炊き出しをしてくださっています
この方々はイスラム教信者による支援団体です
阪神淡路大震災や東日本大震災の際も
ずっと炊き出しをされていたそうで
「この顔だからどこでも最初は
日本人は怖がって寄って来ないんですよ」
と初日に笑って話してくださいました
自分もやはりイスラム過激派を想像し
ヒゲを見るだけで身構えてしまうのですが
とんでもない偏見であったと
自分を恥じています
日本人以上に日本を愛してくれて
被災者一人ひとりに優しく声をかけ
自分を犠牲にすることを厭わず
尽くしてくださっています
先生方も一生懸命です
使える部屋に突貫工事で作り上げた
臨時職員室で
生徒への連絡に大わらわ
自分たちも被災しているのに
頼もしい先生方です
陸路が使えないため
輪島市では
金沢まで二次避難をする
船を出す予定でしたが
荒天のため延期となったそうです
花開け!復活の胡蝶蘭!
11日目の朝です
震災後、初めて夜中に目が覚めずに
朝を迎えました
みなさんまだおやすみです
時間ができたので
横倒しになったままだった
胡蝶蘭の植え替えをしました
本校は昨年10月に
創立100周年式典を催し
その際にいただいたものです
傷だらけの葉っぱに砂埃が…
丁寧に拭いてあげると
確かな息吹が感じられます
こんな状況の中でも
しっかりと根を張ろうとしています
マラソンランナーの高橋尚子さんは
「花が咲かない冬の日は
下へ下へと根を伸ばせ」
とおっしゃっています
よく見ると小さな芽吹きが見られます
「新しい芽吹きは幹からではなく
必ず枝の先端から始まるんだよ
だから世界から見ると辺境の地日本
そのさいはての能登半島に住む君たちは
世界の新しい芽吹きになるんだよ
半島の最先端から
目指せ世界の最先端」
コロナ禍の時に
生徒に語りかけた言葉を思い出しました
この胡蝶蘭再び花を咲かせる日が来るのか
101年目の復活のシンボルとして
大切に育てようと思います
今日の感染状況
コロナ20
インフル1
腸炎3
今日もいろんな人にありがとう
10日目が終わろうとしています
さっきから不気味な余震が続いています
今日も、受験生が学校にやって来て
大坪教頭先生の英語リスニング対策講座を
受けました
少しでも力をつけるよう
教員全員でバックアップしていきます
本校だけではなく
石川県の多くの教員のみなさんが
学校の垣根を越えて応援してくださっています
噂では金沢地区の若い先生方が
能登の受験生のために文房具やおやつを
準備してくださっているのだとか
中心となっているのは
金沢泉丘高校の山越康裕先生と塩田高基先生
おふたりとも飯田高校が初任校で
この現状に心を痛めているのだそうです
お昼には自衛隊の方による
温かいご飯と味噌汁の配給です
震災後初めての温かい白米です
これから被災後の報告書やらなんやらで
きっと必要になるんだろうなと
写真の整理を始めました
10日間でかなりの数になりました
すると
被災前にSNSで見つけて思わずスクショした
心に残る言葉があったので紹介します
「流されて辿り着いた先で
めちゃくちゃ頑張ればいいのよ
それが
自分の居場所じゃないかもしれない
と思ったとしても
与えられたことを必死にやるのよ
そうすると知らない扉が開くの
そこに新しい出会いがあって
どんどん違うステージに行く
その繰り返しよ」
自分が尊敬する
マツコ・デラックスさんの言葉です
なんだか今を暗示しているようです
今、いろんなところへ流されて
知らない場所に辿り着いた生徒がおおぜいいます
他地区に移り住んで転校を希望する生徒もいます
反面、道路が寸断されて未だ身動きさえできない生徒もいます
高校受験先を再考し始めた中三生も
それぞれの生徒がそれぞれの場所で
自分の学びたいことを
思う存分学べるようなシステム作りが
今与えられた使命です
受験生の学びはもちろん
1、2年生の今後の学びの保障についても
現在、教育委員会と連携をとりながら
急ピッチで進めています
明日の朝は氷点下になるそうです
どうか暖かくしておやすみください