校長室より「おこらいえ」
ならぬものはならぬものです
43日目
いよいよ明日から新学期が始まります
学校への登校
文教会館への登校
オンラインでの参加
いずれの方法でも出席になります
登校する場合は制服でなくてもかまいません
先生方も洗濯がままならないのでスーツは着ません
できることから一歩ずつはじめていきましょう
ひとつ注意したいことは
制服以外は全て従来どおりの校則に従うこと
どうせしばらく登校しないのだからと
ピアスを開けた生徒や
髪を染めた生徒は
まさかいないと思います
「どうしてピアスはいけないのですか?」
震災以前から質問されることはあります
ならぬものはならぬものです
白虎隊で知られる会津藩の
什(じゅう)の掟を締めくくる言葉です
人が答えられないような質問をして
さも論破したように振る舞う人もいますが
校則のひとつひとつに「なぜだめか?」を
問い詰めていくと
むしろ明確な答えのあるものは
なにひとつありません
「なぜ人を殺してはいけないか」
という問いも同じです
答える必要のない問いであるし
答えてはいけない問いであるし
そもそも問いになっていないのです
大切なのは
学校はルールを厳密に守ることの大切さを
学ぶ場であるということ
ならぬものはならぬ
自分で自分の心に歯止めをかける方法を
学ぶ場であるということ
自分の教員生活を振り返ると
ならぬものはならぬもの
を教えきれなかったばっかりに
かわいそうな思いをさせた生徒が何人もいます
あのとききちんと導いてあげれたら
学校は
ルールを厳密に守ることを学ぶ場であると同時に
ルールは変えることができるということを
学ぶ場でもあります
昨年もケータイのルールを
自分たちで変えることができましたよね
納得のいかないルールがあったら
まず自分たちで変える努力をしてみろ
それすらできないものが
自分だけの都合でルールを破るな
「どうして髪を染めてはいけないのですか?」
この問いも同じ
でも
みなさんは今
世界中の方から
多くの支援をいただいていることを
忘れないで下さい
もし自分が支援をする立場だったとしたら
「髪を金髪にするお金があるんだったら
もう食費なんかも必要ないですよね」
と即刻支援を打ち切ります
どうか生徒のみなさん
避難民だから多少のルール破りは許してもらえる
もしそんな甘ったれた心を持っていたなら
新学期開始とともに捨て去りましょう
今週も週に一度のお楽しみ
金沢へ風呂と洗濯に行ってきました
七尾湾から望みます
右手には能登島越しに勇壮な立山連峰
左手には能登半島は飯田方面
この景色の向こうに
ひとの住めないような
地獄絵図があるなんて信じられません
今日の「PRAY FOR JAPAN」
避難所でおじいさんが
「これからどうなるんだろう」
と漏らしたとき
横にいた高校生ぐらいの男の子が
「大丈夫、大人になったら
僕らが絶対元に戻します」
って背中さすって言ってたらしい
大丈夫、未来あるよ
災害と政治
42日目
36日目のブログで
地震はなにかの天罰でおこったのではないことを
子どもに理解させることの大切さを書きました
この「災害は天罰である」という考えは
古くは漢の時代に遡る中国の思想で
「災異説」といいます
国に失政があったときに
意思を持った天が
自然災害や異常現象を起こして
君主に警告を与え
それでも改まらなかった場合には
国を滅ぼすと言った
儒教の教えです
昨日紹介した
「あさきゆめみし(源氏物語)」の作者
紫式部とゆかりのある
藤原道長は
この「災異説」を利用して
権力を得ようとしました
長和3年2月
三条天皇の住まいである内裏が燃えました
わるいことは重なるもので
3月にも失火し
宝物をことごとく消失しました
藤原道長は
これは三条天皇の不徳に対する
天の怒りであると
天皇に退位を迫ります
「天道、主上を責め奉る」
次の天皇は道長の娘彰子の子であり
即位をすれば自分が摂政として
権力を振るうことができる
そう考えたものと思われます
正しく「災異説」に従うと
災害は天の警告だから
君主は反省して
民のための政治を行うべきで
決して退位してすむものではないはずです
我が身に置き換えて
子どもたちのために何をすべきかな
猛省の毎日です
今日の「PRAY FOR JAPAN」
停電すると、それを直す人がいて
断水すると、それを直す人がいる
勝手に復旧してるわけじゃない
俺らが室内でマダカナーとか言っている間
寒い中、死ぬ気で頑張ってくれてる人がいる
ひさかたのしじまの中で
41日目
避難民の方が避難所をあとにし
子どもたちが通い始めて初めての土曜日
誰もいない校舎は静まりかえっています
ゆったりと
「あさきゆめみし」
を読んでいます
昨年
「どうする家康」にはまり
今はもう帰ることのできない
我が家の居間で
大好きな有村架純さん演ずる
「瀬名」の自害に涙していたころのことが
なんだか嘘のようです
今年も「光る君へ」を
楽しみにしていたのですが
それはかなわず
そんなおり
支援いただいた物資の中に
「あさきゆめみし(源氏物語)」全7巻
が入っていました
じっくりと味わうように読んでいます
ありがとうございます
気になる番組がもうひとつ
門脇麦さん演じる
「料理は化学です」が口癖の
天才料理人のドラマ
「厨房のありす」です
こちらは1月21日(日)から
スタートしているそうです
化学の教員として興味津々なのが
尊敬するサイエンスライターの
佐藤健太郎先生が監修をされていること
いつも佐藤先生のブログや著書を
授業のネタにさせていただいているので
楽しみにしていたのですが
テレビがないため見れません
部屋の掲示物など細部に至り
こだわっているそうなので
化学に興味がおありのかたには
ぜひともおすすめです
今日の「PRAY FOR JAPAN」
韓国人の友達からさっき来たメール
「世界唯一の核被爆国。大戦にも負けた。
毎年台風が来る。
地震だって来る。津波も来る。
・・・小さい島国だけど、
それでも立ち上がってきたのが
日本なんじゃないの.頑張れ超頑張れ」
ちなみに僕はいま泣いてる。
ごめんなさい 嘘つきました
40日目
みなさん
大変です
38日目のブログで
とんでもない大嘘つきました
どうも目の調子が悪く
目医者さんに行ってみたら
感染性結膜炎と
アレルギー性結膜炎を併発していて
とんでもない状態になっていると…
訂正します
コンタクトレンズは用法を守って
正しく使いましょう
決して使い捨てレンズを
もったいないからといって
使い続けてはいけません
37日目のブログで
子どもの姿を見るだけで涙が…
というくだりも
単なる結膜炎だったんですね
あとブログを読んだ方から
メガネスーパーさんが
コンタクトの被災者支援やってるよ
との情報もいただきました
2月13日(火)から
県内全ての高校で
学校再開するという県教委からの通達を受けました
正式に3学期の始業式を行います
とはいえ、
対面とオンラインのハイブリッド授業や
小中学校の仮校舎が校内にあることなど
これまでと全くかわらないんですけどね
とはいえ一区切り
授業のコマ数も徐々に増やし
日常に一歩ずつ近づけていきます
13日(火)からは
学校にきた生徒に昼食も準備されます
先日
「PRAY FOR JAPAN]
という本をいただきました
これは東日本大震災のときに
世界中から寄せられた思いをまとめたもので
ひとつひとつのメッセージに込められた思いが
今読んでもひしひしと伝わってきて
とても勇気づけられます
この中から1日ひとつずつご紹介します
「大丈夫」の漢字には
人が3人集まってるから
安心を感じる言葉なんだって
小走りの思いやり
39日目
昔、阿久悠さんのエッセイで
「小走りの思いやり」みたいなのを
読んだ覚えがあります
うろ覚えですが
横断歩道の手前で車が止まってくれる
歩行者優先だから当然である
が、
止まってくれた車に軽く会釈する
そしてほんの2、3歩でいいから小走りして見せる
それが
自分も急いでいるのに止まってくれた
運転者への心遣いであり
それが
日本人の心だ
みたいな内容だったと記憶しています
1ヶ月の避難所運営の中で
たくさんの日本人の心を
見せていただきました
狭い通路で譲り合ったり
誰が始めるともなくトイレ掃除
ゴミの分別や収集など
おかげでみなさん快適に過ごすことができました
近隣の高校では
避難所でもないのにガラスを割って忍び込んだり
自動販売機を壊して中身を奪ったり
勝手に校長室に入り込んで備品を使ったりと
信じられない現状が見られたようですが
おかげさまで輪島高校では
そのようなことは一切見られませんでした
みなさんの日本人の心に感謝です
どうか次の避難所でも健やかにお過ごしください
1日でも早く元の暮らしに近づきますように
今日はまず金沢西高校で勉強している
3年生を訪ねました
受験校も絞り終え
あとは目標に向かって一直線
続いて文教会館で学習している12年生です
落ち着いて学習できる環境を
提供してくださっている関係者の方々に
感謝の気持ちでいっぱいです