校長室より
お帰りなさい そして・・・
少しずつ生活の環境が整い、学校に戻ってくる子どもたちが増えてきました。一瞬にして大切なものを失い、故郷を離れ初めての学校に通ってきた子どもたちです。「よくがんばったね」そんな気持ちを込めて「お帰りなさい」と声をかけると、照れくさそうですが、うれしそうな表情を見せてくれます。その姿から「またがんばろう」という勇気をもらえる瞬間です。
反対に、新たに生活の拠点を輪島から別の場所に求める方もいらっしゃいます。この決断に至るまでのご家族の苦悩は計り知れません。子どもたちも複雑な思いでしょう。
離れ離れになっても、私たちは1月1日の地震を経験し、輪島高校や輪島中学校で新しく学びを創り上げてきたチームです。ともに挑戦してきた絆があります。いつでも顔を見せに帰ってきてください。待っています。「共に元気でいましょう そしてまた今度会いましょう」
自分と仲間の「笑顔」を大切に
1月1日の地震から7月1日で6か月が経ちました。一日一日が長かった気がしますが、振り返るともう六ヶ月かと思うほどあっという間でした。子どもたちは一瞬にして起きた環境の変化に本当に不安だったことでしょう。1月下旬からオンラインで交流を始めた時には少しずつ表情から硬さが取れていき、2月の輪島高校での学習では仲間と何気ない話をする中で笑顔が増えていきました。「子どもは子どもの中で育つ」を実感しました。
4月から始まった中学校での学習も3か月が経ちました。当初アウェーだった場所もだんだんとホームになってきて、子どもたちの笑顔もますます増えています。その反面、子ども同士のトラブルも増えてきていますが、自分や仲間の「笑顔」を大切さを学ぶ機会だと捉えて働きかけていきます。保護者や地域の方々のご理解とご協力をお願いします。
プール掃除
6月10日に河井小学校プールの掃除しました。例年は最上級生の6年生だけで実施しますが、今年度は時間の制約があるので、ボランティアの方々にも手伝っていただきました。プール掃除が終わり、水を入れ始めた時です。ボランティアの方々から拍手が起きました。県外の方々が、輪島の子どもたちのことを思う気持ちに胸が熱くなりました。
1月1日の地震後、自然に対しての人の無力さを知りました。でも人の心を勇気づけることができるのも人だと実感しました。今回のボランティアの方々の拍手は、6月3日の地震で気持ちが暗くなっていた自分自身の心を勇気づけてくれました。ぜひこの気持ちを職員、子どもたちにも伝えていきます。そして今後も日々「挑戦」していきます。
ノーチャイム
輪島中学校での学習はノーチャイムです。その理由は中学校は50分授業、小学校は45分授業でそろえることができないからです。チャイムがならなくても、時計を見たり、みんなが教室に戻る様子を見たりして、教室に戻っています。なかには「もう時間やよ」と友だちに声をかける児童もいます。その姿を見て本当に感心させられます。ノーチャイムで動く力は、この環境に応じて児童自らが身に付けました。今の学校生活により、意図していなくとも身に付いている力は他にもきっとあると思います。そんな成長を児童と共に実感しながら学校生活を送りたいと考えています。
全員アウェーの中での挑戦!
輪島中学校での学びがスタートして一ヶ月半が立とうとしています。輪島中学校の校長先生をはじめ、職員の皆様には朝の時間にも登校指導していただくなど大変お世話になっております。
そんな中ですが、今までの学校がホームだとすると、今年度は、児童はもちろんのこと職員も全員がアウェーの状態です。アウェーの中で今できる最善を尽くそうと挑戦中です。
4月からの短い時間ですが、石川県内外からたくさんの方々が授業の様子を見ていかれました。皆さん口をそろえて子どもたちも先生もこんなに落ち着いて学習していることが素晴らしいと褒めていただいています。勇気づけようとするリップサービスの面もあろうかと思います。しかし全力で挑戦中の私たちにとって何よりの言葉です。その言葉を職員と共有しながら、今後もベストをつくしていきます。