日誌

2021年3月の記事一覧

この1年を振り返る

コロナウイルス感染症問題とつきあいながらの令和2年度でしたが、3月19日(金)には2年ぶりに、全学年が揃って、第50回の卒業証書授与式を行うことが出来ました。卒業生に餞(はなむけ)の言葉を伝えながら、改めて、「コロナ禍であっても、やれること、学べることはたくさんある」を実証してくれた卒業生を中心とする“鳳至っ子”の頼もしさを振り返ることができました。

【主体的で対話的な深い学び】

「相手の話をしっかり聴いて、自分の考えを再構築する」ことをゴール目標に、語彙力・想像力・読解力の向上を目指しました。そのため、分からない言葉をすぐに辞書で調べたり自分の言葉で説明し直したりする活動、モデル(見本)を参考に話し合ったり教師が多様な考えを引き出す問いかけをしたりすることで、解決の手立てを見つける活動、アドバイスをもとに自分の書いた文章を推敲する活動に取り組みました。その結果、学期がすすむごとに、自分の考えを適切に表現することが出来る子や相手意識をもって話したり聞いたりできる子、根拠となる文章や図を正しく読み取ることが出来る子が増えてきました。

【活動の見える化(発信力)】 

 年度当初のアンケートでは、自己肯定感が低いために自分に自信が持てない児童が多くみられました。そこで今年度も学級便りの発行やHPの更新を中心に、活動の「見える化」を意識しました。また、コロナ禍であっても、できるだけ多くの方々に子どもたちの頑張る姿を見ていただけるよう、日常の感染対策を徹底しながら、極力、行事を実施しました。何度も練習し磨き抜いた技を披露する活動の中で、発表を成功させることが出来た経験や、他学年や保護者・地域の皆様から称賛の言葉をいただいた経験は、子ども一人一人の達成感や充実感を高めるとともに、学ぼうとする態度や、もっと上手に表現したいという前向きな気持につながっていきました。

【自己肯定感から「さらなる意欲へ」】

上記の活動の見える化に加え、キャリアパスポートを活用して、学校行事や体験活動の度に、子ども自身が自分や仲間、活動全体を振り返る活動を設定することや、子どもの頑張ったこと、成長が見られたことについて、保護者の皆様に感想や意見、評価を書いていただく取組をすすめました。このことは、子ども同士が友だちの良いところを認め合うとともに、刺激を受け合い、さらに活動を向上させようとする意欲を高めることにつながりました。また、苦労したり失敗したりすることもありましたが、「仲間との協力・協働」や「誰かのために」を、再度、意識することで、粘り強さが見られるようになり、最終的には、期待以上の成果をあげてくれました。「やればできた」という成功体験は自信となり、もっとやってみたいという“更なる意欲”にも発展しています。特に、6年生からリーダーとしてのバトンを受け継いだ5年生からは、「今度は自分たちが、素晴らしい鳳至小を創っていくために頑張らねばならない」という使命感を感じることが出来ます。

【社会人基礎力】

今の子ども達が、今後、著しく変わることが確実視される社会の中で、自己の幸せをつかみ、社会に貢献できる人材となるためには、社会変化に対応できるよう『常に学び続け、仲間と協力し、身につけた知識を生かすことができる力』が必要となります。また、立ちはだかる壁を乗り越える、『しなやかなたくましさ(七転び八起きの力)』も必要となるでしょう。その基盤となる力は、この素晴らしい鳳至という地で養われた感性や様々な人々との出会いから培われます。学校や地域が連携できる恵まれた環境で子どもを育て、いずれ、明るい未来を照らす人となってくれるよう、今後もこの教育活動にさらに磨きをかけていきたいと思います。そして、来年の卒業式でも、子どもたちの清々しい笑顔を見たいと思います。今年度もたくさんの方々に、ご支援とご協力を頂いた事に深く感謝申し上げます。ありがとうございました。

令和3年度も子ども達が活躍する姿にご期待下さい。 

 

 学校長  山 岸  茂 樹

 

 

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卒業式祝辞

四月十六日から約一月半の臨時休校、わずか十日間の夏休み、そして、お盆が明けてすぐの二学期開始…。本当に今まで経験したことのないことばかりでした。そして、新しい生活様式のために」という言葉に、正直、何度も息苦しさを覚えました。それでも、ワクチンの接種開始ニュースは、私たちに希望を与えてくれます。また、何より、今年度は、鳳至小学校の児童全員で、今日の良き日を向かえることも出来ました。トンネルを抜けた先では、たくさんの光を纏うことができます。

六年間の教育課程を修了された、四十一名の皆さん、ご卒業、おめでとうございます。

また、本日、第五十回の卒業証書授与式を挙行するにあたり、輪島市教育委員 左古 隆 様にご臨席を賜りましたこと、並びに、PTA会長 山田 忠和 様をはじめ、多数の皆様に温かいメーセージをいただきましたことに心よりお礼申し上げます。

さて、卒業生の皆さん。皆さんが最上級生となった令和二年度は、冒頭でも述べた通り、まさに、「コロナウイルス感染症」との戦いでした。皆さんが楽しみにしていたさまざまな行事や大会も大きく変更されました。しかし、皆さんは、慌てず、ひたむきに準備をすすめ、本番では、最大限のパフォーマンスを見せてくれました。

例えば、運動会。コロナの問題に加えて、熱中症の危険もあるため、プログラムの内容だけでなく練習時間にも制限がかけられました。また、せっかく練習しても、感染者が出てしまえば、運動会そのものが中止になる恐れもありました。運営や応援指導、他学年のサポートを任されていた六年生は不安も大きかったことでしょう。しかし、当日は、内容の濃い充実した運動会となりました。どの学年もやりきったという満足感に溢れていました。そして、それを支えたのは、六年生全員の意識の高さとチームワークの良さでした。

次に、金管鼓隊。輪島市祭が中止となり、発表の場を失ったダメージは計りしれないものでした。しかし、市民の皆様の努力もあり、感染者が増えず、十月にはマリンタウン陸上競技場を会場に、河井小学校と合同で発表会を開くことができました。6年生の「なんとしても発表を成功させたい」という熱意が、5年生を突き動かし、“美爆音”を合い言葉に、一日ごとに演奏が仕上がっていく様は感動的でした。当日の発表も最高のものでした。たくさんの地域の方々から、演奏も振りつけもここ数年で、一番とのお褒め言葉をいただきました。

各委員会の活動では、6年生の「良き伝統を築きたい」という気概が随所に見られました。

「コロナのせいで何も出来ない」ではなく、「コロナ禍であっても、工夫すれば、やれること・学べることがたくさんある」ということを、皆さんは行事や委員会の取組で、証明してくれました。

ここで、改めて、皆さんの活躍を引き出してきたものは何なのかを考えてみると、“誠実さ”“思いやり”“向上心”といったキーワードに辿り着きます。皆さんからは「現状に満足するのではなく、自分たちの最高の表現をしよう。」「仲間と協力して、悔いのない取り組みにしよう。」「下級生に伝えなくてはならないことは、技術だけではなく、心構えまでしっかり伝えよう。」という思いや態度を感じることができました。私だけではありません。六年生を送る会で、送る側の下級生が目に涙を浮かべる姿や、六年生のためにと団結して頑張る姿は、6年生の思いや態度を、毎日のかかわりの中で感じとり、憧れと感謝をいだいていたからこその姿です。これらの卒業生の皆さんの思いや態度は、下級生に引き継がれていくものと確信しています。

また、これからの世の中は人工知能や情報産業が発展し、便利な生活となる一方で、新しい考え方や技術に対応する力を自分自身で身につけていかなくてはなりません。そのため、自分で目的意識を持って学びをすすめる「自主学習力」と、一人で解決できないなら仲間と力を合わせて解決を図る「協働できる力」を高めることが求められます。何だか、難しく聞こえますね。しかし、心配することはありません。皆さんに備わっている「誠実さ」「思いやり」「向上心」をフル活用して下さい。そうすれば、自ずと、「自主学習力」は高まります。「仲間と協働できる力」は強くなります。自信を持って、前に進んで下さい。

保護者の皆様、お子様のご卒業、おめでとうございます。凛凛しく健やかに成長されたお子様の姿に、感慨もひとしおのことと存じます。ただ、まだまだ、子どもたちには、皆様のお力添えが必要なことは言うまでもありません。特に中学生では、家庭の監督力や教育力の有る無しが、子どもの将来を左右することにつながる場合もあることを覚えておいて下さい。

結びに、『夢』を実現させようと努力を繰り返す中で、『自由』という言葉の本当の意味を知ることになります。そして、『夢』に向かって進もうとすればするほど、「感謝」・「挨拶」・「笑顔」の大切さを学びます。出来ない言い訳ばかりでは、解決も成長もありません。卒業生の皆さん、一人一人が、自分自身と社会を真摯に見つめ、解決のための一歩を踏み出せる大人へと成長されることを祈念しまして、式辞と致します。

令和三年 三月十九日  

輪島市立鳳至小学校 校長 山岸茂樹

 

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