日誌

2020年12月の記事一覧

子ども達の未来のため、『読解力』の向上をすすめます!

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)問題で幕を開けた2020年もあと数日で終わろうとしています。コロナ問題はCOVID-19とあるように、2019年末からの流行ですから、はや、1年が経過したことになります。そんな中で、休校を挟みながらも、感染者を出すことなく学校の教育活動をすすめることが出来たのは児童一人一人の頑張りと、地域や各家庭での皆様のご努力のおかげです。また、子どもの自己肯定感を高めるためには、子ども達を見守る大人の声かけが必要と、行事があるごとに学校等に足をお運び頂きましたが、その際には、検温やマスクの着用はもちろんのこと、参観マナーにつきましても、ご理解とご協力を賜りましたことに、心よりお礼申し上げます。

さて、前号の学校便りでもお伝えしたように、2学期の終わりから3学期にかけて、学校は、子ども達に次の学年に向けた準備を強く意識させていますが、学習面では、新学年の学びがスムーズにすすめられるように現学年での学習を確実に自分の力として定着させる(身につける)取組をすすめています。学習事項の定着度を計る手段としてよく用いられるのがテストですが、このテストにおいて、問題が解けなかった子の半数以上が“問題文を読んでも、何を聞いているかわからない”ことを訴えてきます。実はこの訴えのような「文章の意味が読み取れない」=「読解力(どっかいりょく)の不足」に関わる事例は、教育現場のみならず様々な生活場面で問題視されているところです。もう少し『読解力』について考えてみましょう。字面でみれば「読んで(その意味を)理解する力」ということですが、文部科学省から出されている読解力向上プログラムには次のように定義されています。

【読解力】

   自らの目標を達成し、自らの知識と可能性を発達させ、効果的に

 社会に参加する ために、  書かれたテキストを理解し、利用し、

 熟考する能力

 この定義に当てはめて考えると、読解力が不足するということは、単純に目の前の問題が解けないということだけでなく、社会に参加することまでを難しくするということになります。そう言えば、昨今、AI(=人工知能)技術が飛躍的に向上していますが、「AIが、人間が行ってきた仕事を代行する(=「AIが人間から仕事を奪ってしまった」)事例がよく見られます。AIはそもそも、人間がつくりだしたものですから、人間の命令で動くと考えれば、一問一答のような「こうならばこう」といった単純な動作が強いということになります。一方、定義によると、読解力には「熟考する力」も含まれますが、この部分はどうでしょう。いろいろな条件や好みを考え併せながら、総合的に判断力することは、実は、AIにとっては苦手な仕事です。逆に人間ならではの技や勘、経験が活かされる分野になります。推理や想像(イメージ)しなくてはいけない部分はすぐれたAIといえど、人間を超えることは出来ないと言えます。

話を整理しましょう。読解力を高めると言うことは、単純に目の前の問題がわかるだけではなく、近い将来、AI(人工知能)が蔓延する世の中となっても、仕事を奪われず、社会に参加できるということになります。とすれば、子ども達が未来を生き抜く力を培う場である学校で、『読解力』を高める活動に取り組むことは必須のことです。現在、授業等で行っている「声に出して読む」、「線を引きながら読む」、「言葉の意味を問い返す」、「図・表・グラフの等の資料を関連づけて自分の考えを作る」、「朝読書」、「短作文」等の活動を注意深く継続しながら①文章や図・表・グラフの意味を正しく理解する力、②作者の意図を読み取ったり要約したりする力、③読みとったこと・考えたことを表現する力を伸ばしていきたいと考えます。また、読解力を高めることにより、今後、子ども達が中学校、高校、大学、就職…と、ステージアップすればするほど必要となる自主学習力(=自分で学ぼうとする力)も高めていくことができればと考えます。

2020年の本校の教育活動にご理解とご協力を賜り、誠にありがとうございました。来る2021年も、職員一同、全力で子ども達を支援していきます。

新しき年を迎えるにあたり、地域、保護者の皆様のご健康とご多幸をお祈り申し上げます。

            学校長 山 岸  茂 樹

 

 

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