日誌

2022年3月の記事一覧

この1年を振り返る

3月18日(金)、春の花の咲き出しを促す催花雨(さいかう)の中、第51回の卒業証書授与式が行われました。コロナウイルスの影響もあり、一昨年度・昨年度とご来賓や保護者の参加が制限された卒業式でしたが、今年度は4年ぶりに制限のないフルバージョンの卒業式ができました。今年度は鳳至小学校単独で行う行事は全て予定通り行うことができた一年であり、式中、卒業生・在校生それぞれが、この一年を振り返る場面では、「当たり前と思えることが当たり前にできることの喜び」を強く感じさせられました。

 

【主体的で対話的な深い学び】

 「人生100年時代」を意識し、自主学習力を高める」ために「文章を正確に読み取ったり相手の話をしっかり聴いたりしながら、自分の考えを再構築出来るようになる」ことを目指しました。そのため、読解力の向上につながる授業づくりを意識し、特に、教師から子ども達に投げかける“問い”を工夫することやクラス全員の子どもが授業に巻き込まれていく(=学習課題の解決のため、一人一人の子どもが学習活動に主体的に取り組む)よう教師がファシリテートすることを考えました。学期がすすむごとに、自分の考えをより具体的に表現できる子や、初めは答えられなかったが活動や友だちの考えを聴くうちに答を導き出すことができる子が増えてきました。また、自主的に学習に向かう子どもも増えています。

【活動の見える化(発信力)】 

   自分で気がついていない良さや秘めた能力を意識できることで、より意欲的に活動する子どもを更に増やして行くため、引き続き、学級便りの発行やHPの更新を中心に、活動の「見える化」を意識しました。また、コロナ禍であっても、できるだけ多くの方々に子どもたちの頑張る姿を見ていただけるよう、日常の感染対策を徹底しながら、行事の実施を目指しました。何度も練習し磨き抜いた技を披露する活動の中で、発表を成功させることが出来た経験や、他学年や保護者・地域の皆様から称賛された経験は、子ども一人一人の達成感や充実感を高めるとともに、学ぼうとする態度や、もっと上手くなりたいという前向きな気持につながっていきました。

【自己肯定感から「さらなる意欲へ」】

 昨年同様、「キャリアパスポート」として、学校行事や体験活動の度に、子ども自身が自分や仲間、活動全体を振り返る活動や、子どもの頑張ったこと、成長が見られたことについて、保護者の皆様に感想や意見、評価を書いていただく取組をすすめました。このことは、子ども同士の認め合いや自分も頑張ろうという意欲につながり、活動の質を向上させることになりました。苦労したり失敗したりすることもありましたが、「仲間との協力・協働」や「誰かのために」を、再度、意識することで、粘り強さが見られるようになり、結果的には、期待以上の成果をあげてくれました。「やればできた」という成功体験は自信となり、“更なる意欲”にも発展しています。特に、この一年間の6年生の頑張る姿は、下級生の「今度は自分達が頑張る」という覚悟につながっています。

【社会人基礎力】

  今の子ども達が、今後、著しく変わることが確実視される社会の中で、自己の幸せをつかみ、社会に貢献できる人材となるためには、社会変化に対応できるよう『常に学び続け、仲間と協力し、身につけた知識を生かすことができる力』が必要となります。また、立ちはだかる壁を乗り越える、『しなやかなたくましさ(七転び八起きの力)』も必要となるでしょう。その基盤となる力は、この素晴らしい鳳至という地で養われた感性や様々な人々との出会いから培われます。学校や地域が連携できる恵まれた環境で子どもを育て、いずれ、明るい未来を照らす人となってくれるよう、今後もこの教育活動にさらに磨きをかけていきたいと思います。そして、来年の卒業式でも、子どもたちの清々しい笑顔を見たいと思います。今年度もたくさんの方々に、ご支援とご協力を頂いた事に深く感謝申し上げます。ありがとうございました。

令和4年度も子ども達が活躍する姿にご期待下さい。 

 学校長  山 岸  茂 樹

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6年生のみなさん ご卒業おめでとうございます(卒業式式辞)

 深い鉄紺色に染まっていた海も次第に明るさを取り戻し、柔らかな風が吹く度に、桜のつぼみも色づく季節となりました。春の花々が咲き出すことを促す催花雨の降る今日大安吉日に、小学校六年間の教育課程を修了された、三十八名の皆さん、ご卒業、おめでとうございます。

また、本日、第五十一回の卒業証書授与式を挙行するにあたり、輪島市総務部参事 出坂 正明 様、輪島市教育委員 左古 隆 様 、PTA会長 山田 忠和 様にご臨席を賜りましたこと、並びに、多数の皆様に温かいメーセージを頂戴しましたことに心よりお礼申し上げます。

  さて、卒業生の皆さん。私は皆さんの4年生・5年生・6年生と三年間の様子を見てきたわけですが、率直に、「よくぞ、ここまで、頼もしく成長してくれた」と感心しています。個人の都合や感情によって起こるトラブルが先に立ち、落ち着いて学ぶことが難しかった集団が、中学年のリーダー、そして高学年と、役割や責任の重みが増すにつれ、自分だけに都合がよい「マイルール」は影を潜め、懸命に上級生としての責任を果たそうと努力する集団に変わっていきました。特に、最上級生となった6年生での活躍は目を見張るばかりでした。入学式の準備、委員会の運営、鳳至オリンピックでの下級生のお世話、運動会、マラソン大会、・・・。この一年のどの場面を切り取ってみても、皆さんの頑張る姿を思い出すことができます。

そして、みんなが頑張るからこそ、ドラマもうまれました。赤・白、二つの団に分かれて競技した運動会で、初め白団リードから徐々に赤団が追い上げ、終盤は一進一退、最後の成績発表で、まさかの両団同点。勝敗が決しないという結末は、鳳至小学校の歴史では初めてのことです。運動会を成功させよう、全員が楽しむことができる運動会にしよう、保護者や地域のみなさんに自分たちのハツラツとした姿を見てもらおう。6年生一人ひとりの想いが学校全体に勢いをつけ、全校が一体となって、準備し練習した結果の、赤白両団が優勝というドラマは、学校を鼓舞し続けた六年生全員の頑張りを讃えるご褒美だったと思います。

金管鼓隊は、昨年よりも長い距離を、隊列を崩すこともなく、最後まで、しっかりとした演奏でパレードすることができました。そして、その影には、各パートの6年生が5年生を熱心に教える姿や行進やドリルの正確な位置取りに粘り強く取り組む姿がありました。金管鼓隊の成功は、6年生のリーダーシップと責任感によるものです。また、鳳至の街並みを行進する金管鼓隊の姿で、たくさんの地域の方々を勇気づけることもできたと思います。

その他にも、校則の見直しや、いしかわっ子駅伝交流大会での入賞など、今まで学校の歴史に記されたことのなかった出来事を、いくつも成し遂げることができました。

  皆さんの成長を振り返ると、「誰かの為に頑張ることでより多くの成果をあげる」、「違いを認められるようになってきた」、「やると決めた時の結束力の強さとノリの良さ」、といった表現が浮かんできます。4年生のころの皆さんからは、「仲間のため、学校のため、6年生のため…」、誰かのために頑張らなければならない時に、練習以上の力を発揮する場面を、何度も見せてもらいました。5年生の後半からは、何事もみんなで取り組み、失敗もみんなでカバーしようとする『団体戦』の意識を高める中で、「仲間の良さ」や「自分とは違う価値観」を認める合うことができるようになりました。6年生になると、何が何でもみんなの成功を目指したい、信頼される学年になりたい、どうせやるのだから、今までの先輩方にも他の学校には負けたくないという想いを全員で共有し、一致団結して学校をリードする頼もしい学年へと進化しました。『6年生を送る会』で、1年生から5年生のどの学年の発表からも、6年生を慕う気持ちが溢れていたのは、6年生が学校を引っ張る姿に、憧れと感謝を抱いていたからこそです。皆さんが学校のために頑張ってきた想いや態度は、必ず、下級生に引き継がれていくものと確信しています。

 一方、卒業生のみなさんが成長する環境を整えてくれたのは、皆さんのご家族であり、地域の皆様、今までに出会った先生方であることも、皆さんは気がついています。だからこそ、皆さんと関わってくださったあらゆる方々に、感謝することを忘れないでください。そして、これからは、みなさん自身の力で、新しくできる友人や仲間が、ともに成長できる環境を作っていってください

  保護者の皆様、お子様のご卒業、おめでとうございます。凛凛しく健やかに成長されたお子様の姿に、感慨もひとしおのことと存じます。ただ、まだまだ、子どもたちには、皆様のお力添えが必要なことは言うまでもありません。子どもたちが良き社会人となるまで、今後も、見守っていただくことを重ねてお願い申し上げます。

 結びに、

 人は、『夢』を実現させようと努力を繰り返す中で、『自由』という言葉の本当の意味を知ることになります。そして、『夢』に向かって進もうとすればするほど、「感謝」・「挨拶」・「笑顔」の大切さを学びます。出来ない言い訳ばかりで「良くなること」は一つもありません。卒業生の皆さん、一人一人が、自分自身と社会を真摯に見つめ、解決のための一歩を踏み出せる大人へと成長されることを祈念しまして、式辞と致します。

      令和四年 三月十八日  輪島市立鳳至小学校

                 校長 山岸茂樹

 

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