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2022年7月の記事一覧

「読書」と「時間を管理する力」

・今の小学生は100歳以上生きる可能性が高い

・AI(=人工知能)やICT(=情報通信技術)のめざましい進展は、

 世の中の仕組みを大きく変える

おおよそ、人は生きている間は何らか学び続けているわけですが、上記のように、人間の寿命が延び、その間の変化が激しくなるということは、今まで以上に学び続ける必要性が強まるということになります。では、これからの社会を生きる子どもたちにはどんな力が必要か。小学生は今のうちから、どんな力を身につけなくてはならないのか。

文部科学省は、学校で、子どもたちの『生きる力(生き抜く力)』を育むことを基本理念に学習指導要領(=学校で、先生は、いつ、どんなことを教えるかを定めた計画書)を定めています。『生きる力』とは、おおまかにいうと、知・徳・体のバランスのとれた力のことを表します。因みに、知・徳・体を解説すると以下のようになります。

 知 … 基礎的な知識・技能を習得し、それらを活用して、自ら考え、判断し、

     表現することにより、様々な問題に積極的に対応し、解決する力

 徳 … 自らを律しつつ、他人とともに協調し、他人を思いやる心や 感動する

     心などの豊かな人間性

 体 … たくましく生きるための健康や体力など

 

確かに、これらの力を、一人一人の子どもに身につけさせていかなくてはならないことは間違いありません。

しかし、ここで気をつけるべきことがあります。それは、『生きる力』を育むためには、「集中力」「持続力」「判断力」によって裏打ちされる、勤勉さや粘り強さ、我慢する態度が不可欠であるということです。

もっと言えば、小学生という発達段階における「勉強」の意義は、知識を身につけることと同等かそれ以上に、「集中力」「持続力」「判断力」を培うことにあると考えられます。なぜなら、小学生のころ得た知識は忘れてしまうこともありますが、集中力・持続力・判断力は、「粘り強さ」や「最後までやり遂げようとする態度」、「場面に応じて適切な行動を選ぶ力」など、その人の長所(良い面)として残っていくからです。昔から大人が子どもに「勉強しろ」と言い続けてきたのは、知識の獲得もさることながら、この「集中力」「持続力」「判断力」を身につけさせることで、勤勉さや粘り強さ、我慢する態度といった、人としての特性が磨かれるのを願ってのことと言えます。

 では、“学ぶ”ためにはどうするか。学ぼうとする時には、「読む」「覚える」「書く」「話す・聞く・伝える」といった行動が必要になります。学校の授業はこれらの行動を組み合わせて計画されています。ただ、「覚える」、「書く」、「話す」・「聞く」・「伝える」ことは、「読む」ことができないと始めることができません。そう考えると、「読む力」が学びに占めるウェートは大きく、且つ、学びの第一歩とも言えます。

一方、“学び”には時間も必要です。だから、1日の中に、“学び”に必要な時間を設定しなくてはなりません。自分自身で生活全般を見通し、ある時間帯に学ぶ時間を設定するとともに学びを実行する力=「時間を管理する力」を身につける必要もでてきます。

 これから、子ども達は40日余りの夏休みに入ります。お盆があったりお祭りがあったりと、何かと子ども達が楽しみにしている行事も多い長期の休みです。学校としては、楽しむべきことは大いに楽しみ、そして、“学ぶ”ことも忘れないで欲しいと考えています。特に、“学ぶ”ために必要な「読むこと」=読書に力を入れて欲しいと願います。また、「学ぶ」時間を生み出すために「時間を管理する力」が身につくよう訓練して欲しいと願います。

鳳至の子ども達には、元気さや人なつっこさ、行事を成功させようとする一生懸命さ、スポーツや習い事に打ち込もうとする強い気持ちなど良い姿が沢山あります。同時に、2行までの文章は読んでも、2行半になると、読むことを面倒くさがる姿、取りかかりが遅く、いたずらに時間を浪費してしまう等の場面も少なからず見られました。この現状を併せてみても、夏休みに子ども達が学びに向かうための姿勢づくりをすることは意義があります。学校でも、夏休みは「読書」に力を入れ、学びに必要な「時間を管理する力」を身につける訓練をすることを終業式や学級活動の中で話をしました。ご家庭でもご指導とご協力をよろしくお願いします。

         学校長  山 岸  茂 樹

 

 

 

 

 

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