日誌

校長室便り

続・子ども達の未来のために:「聴く力」の養成

ゴールデンウィーク明けの5月6日、子ども達には、久しぶりに友だちと顔を合わせることができた喜びの笑顔がありました。連休に入る前には、制限解除がもたらすコロナウイルス感染症の拡大も心配されていましたが、今のところ、日常の活動を止めることなく学習をすすめることができています。連休明けの学校の様子を見てみると、1年生はアサガオの栽培(生活科)、2年生は水彩絵の具の使用開始(図工科)、3年生は町探検(社会科)、4年生はセブンボールリレー(体育科)、5年生は初めての裁縫セット(家庭科)、6年生はツバメ調査(総合的な学習)と、それぞれの学年が新しい学習に取り組んでいました。また、交通安全教室や輪島市民祭りに向けた5・6年生による金管鼓隊の練習など、過去3年間は、時期変更や規模の縮小を余儀なくされた行事や活動にも取り組めています。これも、保護者や地域の皆様が、手洗いや消毒、マスクの着用など感染予防対策を徹底して頂いているお陰と、心より感謝いたしております。

 閑話休題。学校でも社会でも、子どもたちは様々な“学び”を積み重ねていきます。では、子どもたちが“学び”をすすめる中で何を大切にしていかなくてはならないのか。学校は、文部科学省が定める『学習指導要領(=各学校が、子どもの発達段階に応じて指導する内容を定めたもの)』という計画書をもとに学習をすすめます。この『学習指導要領』を見ると、子どもたち一人一人に「考える力」を身につけさせることを重要視していることがわかります。実際、鳳至小学校でも、「考えること」に焦点をあてた教育活動に取り組んでいます。そして、子どもたち一人一人に「考える力」を身につけてもらうためには、前号での学校便りでも書いたように「読解力」を育てていくことが重要と考えていますが、そのためにも、まず、子ども一人一人に「注意深く、最後までしっかり聴く」という態度を育てて行く必要があると教職員全体で共通理解を図っています。そして、仲間や大人の話をしっかり聴き、理解した上で自分の考えと比較してみる、自分の考えと相手の考えの優れている点を見つけ出せる、いくつかの考えをまとめてよりよい意見を作り出す…。そんな力につなげていきたいと考えます。そこで、まず、ご家庭でも「子どもの目を見てじっくり話しをする」ことを心掛けていただけないでしょうか。そのことから、子ども達に「聴く」態度を育てていきたいと考えます。また、「聴く」から「訊く(きく)=感じたことを尋ねながら聴く」ことができるようになれば、子ども達はさらに思考を深めることができるようになります。学校と家庭・地域が同じ目標で子どもたちを育てていくことは子どもたちに、より大きな効果をもたらします。子ども達の将来のため、ご家庭でもご協力をお願いします。

               学校長  山 岸  茂 樹

 

0

子ども達の未来のため、『読解力』の向上をすすめます!

元気いっぱいの1年生22名を迎えたから約3週間が過ぎました。学校の中には、新しい学年を頑張ろうとする子どもたちのやる気がみなぎっています。そして、この子どもたちの新鮮なやる気を大切にして教育活動をすすめていこうと、私たち教職員も緊張の毎日です

さて、4月18日には県基礎学力調査(4年生:国語・算数、6年生:社会)が、19日には6年生を対象とする全国学力学習状況調査(国語・算数・理科)が行われました。この2つのテストは

【県基礎学力調査】

 児童生徒の基礎的・基本的な知識・技能や活用力の定着状況、及び学習・生活状況について把握・分析し、学校における児童生徒への教科指導の改善を図る。併せて、教員の指導状況等を把握し、指導改善に役立てる。

【全国学力・学習状況調査】

 義務教育の機会均等とその水準の維持向上の観点から、全国的な児童生徒の学力や学習状況を把握・分析し、教育施策の成果と課題を検証し、その改善を図るとともに、学校における児童生徒への教育指導の充実や学習状況の改善等に役立てる。さらに、そのような取組を通じて、教育に関する継続的な検証サイクルを確立する。

ために実施されています。つまり、子どもが今まで学んできたことについて、①何が身についていて、何が不十分なのか?②その理由は何か?③今後、教師は何に気をつけ、どんな手立てで子ども達を指導していくか?を各学校が確認し、日常的な教師の指導に反映させるためのテストということになります。自校採点の結果を見ると、問題全体の正答率は上がっています。しかし、どの教科も初めて見る文章を限られた時間内に正確に読み取ることができず、「決められた時間内に問題を解くことが苦手」「指定された文字数で説明したり自分の考えを順序立てて文章や式で表したりする問題の正答率が下がる」という傾向も見られました。実はこのような「文章の意味が読み取れない」=「読解力(どっかいりょく)の不足」に関わる事例は、教育現場のみならず様々な生活場面で問題視されているところです。以前にも紹介しましたが『読解力』について、文部科学省から出されている読解力向上プログラムには次のように定義されています。

読解力 

: 自らの目標を達成し、自らの知識と可能性を発達させ、効果的に社会に参加するために、書かれたテキストを理解し、利用し、熟考する能力

この定義に当てはめて考えると、読解力が不足するということは、単純に目の前の問題が解けないということ

だけでなく、社会に参加することまでを難しくするということになります。とすれば、子ども達が未来を生き抜く力を培う場である学校で、『読解力』を高める活動に取り組むことは必須のことです。そこで本校では、授業等で行っている「声に出して読む」、「線を引きながら読む」、「言葉の意味を問い返す」、「図・表・グラフの等の資料を関連づけて自分の考えを作る」、「朝読書」、「短作文」等の活動を注意深く継続しながら①文章や図・表・グラフの意味を正しく理解する力、②作者の意図を読み取ったり要約したりする力、③読みとったこと・考えたことを表現する力を伸ばしていきたいと考えます。そして、ここで、一つお願いがあります。

 『読解力』をつけるためには、「読むことを面倒くさいと思わない」ことも大切な条件です。読むことを嫌がらない。読むことは当たり前。さらに、読むことが習慣化しているとなれば最高です。鳳至小学校では、毎月、10日・20日・30日を“読書の日”並びに“ノーゲームディ”に設定しています。また、夏休みや冬休みなどの長期休業期間も読書を推奨しています。これについてご家庭でもご協力を仰ぎたいと思います。さしあたって、学校が設定している“読書の日”に子どもたちに読書を促すことをお願いします。読解力がつくことで自主学習力も自然と高まります。自主学習力が高いということは、職業についても、自分で工夫できる人材として大事にされます。ご理解とご協力をよろしくお願いします。 

 学校長 山 岸 茂 樹

0

2022年度 鳳至小学校がめざす子どもの姿

教育界に於いて2021年度はGIGAスクール構想の取組が全国的に進められた年でした。この取組は、子ども一人一人が情報端末(=chromebook)を持ち、効率的かつ実用的に学習することで、よりその子に適した学びとなることや学びの深まりを目指したものです。しかし、その先には、現代社会が抱える人手不足や食糧不足、温室効果ガス(CO2)の排出、高齢化、地域間格差等の諸問題を乗り越え、いきいきと快適に暮らすことが出来る社会(=Society5.0)の主体となる人材の育成があります。そんな中、子ども達には、次の5つの力を伸ばしていくことが求められると考えます。

○一生学び続ける力(課題を見つけ、その解決に向けてやりがいを持って探求していく力)

○社会人基礎力(建設的に取り組む力、考え抜く力、チームで働く力)

○自己存在感並びに他者を支えて行こうとする心・態度・実践力

○コミュニケーション能力

○自己管理能力

この5つの力は義務教育の9年間をかけて基盤を作り、その後の生活でさらに発展させていくべき力です。鳳至小学校としては、子どもの発達段階を考え、上記の5つの力を付ける土台を築くため、今年度も、「主体性」や「協働性」、「達成感」、「自己肯定感」をキーワードに教育活動をすすめていきます。

そこで、2022年度は、本校教育目標、「創造性豊かで頼もしい人づくり」 の下、以下のように重点事項を設定致しました。

【令和4年度 重点事項】

①学ぶ楽しさを理解するとともに、友達と学び合う子どもたちに

②お互いのよさを認め、協力し合える子どもたちに

③大きな声であいさつし、自分を表現できる子どもたちに

④自分自身を見つめ、よりよい自分へと挑戦する子どもたちに

この重点事項に基づいた教育活動につきましては、学校・学年だよりの発行はもちろんのこと、コロナ禍ではあっても感染予防に十分配慮しながら、授業参観や行事等、機会を捉えて学校に足を運んでいただき、お子様の姿でご確認下さい。また、子ども達の社会性を育てるためには、保護者の皆様・地域の皆様にお力添えが、より一層、必要になるとも考えております。重ねてご理解とご協力のほど、よろしくお願いします。

学校長 山 岸  茂 樹

 

0

この1年を振り返る

3月18日(金)、春の花の咲き出しを促す催花雨(さいかう)の中、第51回の卒業証書授与式が行われました。コロナウイルスの影響もあり、一昨年度・昨年度とご来賓や保護者の参加が制限された卒業式でしたが、今年度は4年ぶりに制限のないフルバージョンの卒業式ができました。今年度は鳳至小学校単独で行う行事は全て予定通り行うことができた一年であり、式中、卒業生・在校生それぞれが、この一年を振り返る場面では、「当たり前と思えることが当たり前にできることの喜び」を強く感じさせられました。

 

【主体的で対話的な深い学び】

 「人生100年時代」を意識し、自主学習力を高める」ために「文章を正確に読み取ったり相手の話をしっかり聴いたりしながら、自分の考えを再構築出来るようになる」ことを目指しました。そのため、読解力の向上につながる授業づくりを意識し、特に、教師から子ども達に投げかける“問い”を工夫することやクラス全員の子どもが授業に巻き込まれていく(=学習課題の解決のため、一人一人の子どもが学習活動に主体的に取り組む)よう教師がファシリテートすることを考えました。学期がすすむごとに、自分の考えをより具体的に表現できる子や、初めは答えられなかったが活動や友だちの考えを聴くうちに答を導き出すことができる子が増えてきました。また、自主的に学習に向かう子どもも増えています。

【活動の見える化(発信力)】 

   自分で気がついていない良さや秘めた能力を意識できることで、より意欲的に活動する子どもを更に増やして行くため、引き続き、学級便りの発行やHPの更新を中心に、活動の「見える化」を意識しました。また、コロナ禍であっても、できるだけ多くの方々に子どもたちの頑張る姿を見ていただけるよう、日常の感染対策を徹底しながら、行事の実施を目指しました。何度も練習し磨き抜いた技を披露する活動の中で、発表を成功させることが出来た経験や、他学年や保護者・地域の皆様から称賛された経験は、子ども一人一人の達成感や充実感を高めるとともに、学ぼうとする態度や、もっと上手くなりたいという前向きな気持につながっていきました。

【自己肯定感から「さらなる意欲へ」】

 昨年同様、「キャリアパスポート」として、学校行事や体験活動の度に、子ども自身が自分や仲間、活動全体を振り返る活動や、子どもの頑張ったこと、成長が見られたことについて、保護者の皆様に感想や意見、評価を書いていただく取組をすすめました。このことは、子ども同士の認め合いや自分も頑張ろうという意欲につながり、活動の質を向上させることになりました。苦労したり失敗したりすることもありましたが、「仲間との協力・協働」や「誰かのために」を、再度、意識することで、粘り強さが見られるようになり、結果的には、期待以上の成果をあげてくれました。「やればできた」という成功体験は自信となり、“更なる意欲”にも発展しています。特に、この一年間の6年生の頑張る姿は、下級生の「今度は自分達が頑張る」という覚悟につながっています。

【社会人基礎力】

  今の子ども達が、今後、著しく変わることが確実視される社会の中で、自己の幸せをつかみ、社会に貢献できる人材となるためには、社会変化に対応できるよう『常に学び続け、仲間と協力し、身につけた知識を生かすことができる力』が必要となります。また、立ちはだかる壁を乗り越える、『しなやかなたくましさ(七転び八起きの力)』も必要となるでしょう。その基盤となる力は、この素晴らしい鳳至という地で養われた感性や様々な人々との出会いから培われます。学校や地域が連携できる恵まれた環境で子どもを育て、いずれ、明るい未来を照らす人となってくれるよう、今後もこの教育活動にさらに磨きをかけていきたいと思います。そして、来年の卒業式でも、子どもたちの清々しい笑顔を見たいと思います。今年度もたくさんの方々に、ご支援とご協力を頂いた事に深く感謝申し上げます。ありがとうございました。

令和4年度も子ども達が活躍する姿にご期待下さい。 

 学校長  山 岸  茂 樹

0

6年生のみなさん ご卒業おめでとうございます(卒業式式辞)

 深い鉄紺色に染まっていた海も次第に明るさを取り戻し、柔らかな風が吹く度に、桜のつぼみも色づく季節となりました。春の花々が咲き出すことを促す催花雨の降る今日大安吉日に、小学校六年間の教育課程を修了された、三十八名の皆さん、ご卒業、おめでとうございます。

また、本日、第五十一回の卒業証書授与式を挙行するにあたり、輪島市総務部参事 出坂 正明 様、輪島市教育委員 左古 隆 様 、PTA会長 山田 忠和 様にご臨席を賜りましたこと、並びに、多数の皆様に温かいメーセージを頂戴しましたことに心よりお礼申し上げます。

  さて、卒業生の皆さん。私は皆さんの4年生・5年生・6年生と三年間の様子を見てきたわけですが、率直に、「よくぞ、ここまで、頼もしく成長してくれた」と感心しています。個人の都合や感情によって起こるトラブルが先に立ち、落ち着いて学ぶことが難しかった集団が、中学年のリーダー、そして高学年と、役割や責任の重みが増すにつれ、自分だけに都合がよい「マイルール」は影を潜め、懸命に上級生としての責任を果たそうと努力する集団に変わっていきました。特に、最上級生となった6年生での活躍は目を見張るばかりでした。入学式の準備、委員会の運営、鳳至オリンピックでの下級生のお世話、運動会、マラソン大会、・・・。この一年のどの場面を切り取ってみても、皆さんの頑張る姿を思い出すことができます。

そして、みんなが頑張るからこそ、ドラマもうまれました。赤・白、二つの団に分かれて競技した運動会で、初め白団リードから徐々に赤団が追い上げ、終盤は一進一退、最後の成績発表で、まさかの両団同点。勝敗が決しないという結末は、鳳至小学校の歴史では初めてのことです。運動会を成功させよう、全員が楽しむことができる運動会にしよう、保護者や地域のみなさんに自分たちのハツラツとした姿を見てもらおう。6年生一人ひとりの想いが学校全体に勢いをつけ、全校が一体となって、準備し練習した結果の、赤白両団が優勝というドラマは、学校を鼓舞し続けた六年生全員の頑張りを讃えるご褒美だったと思います。

金管鼓隊は、昨年よりも長い距離を、隊列を崩すこともなく、最後まで、しっかりとした演奏でパレードすることができました。そして、その影には、各パートの6年生が5年生を熱心に教える姿や行進やドリルの正確な位置取りに粘り強く取り組む姿がありました。金管鼓隊の成功は、6年生のリーダーシップと責任感によるものです。また、鳳至の街並みを行進する金管鼓隊の姿で、たくさんの地域の方々を勇気づけることもできたと思います。

その他にも、校則の見直しや、いしかわっ子駅伝交流大会での入賞など、今まで学校の歴史に記されたことのなかった出来事を、いくつも成し遂げることができました。

  皆さんの成長を振り返ると、「誰かの為に頑張ることでより多くの成果をあげる」、「違いを認められるようになってきた」、「やると決めた時の結束力の強さとノリの良さ」、といった表現が浮かんできます。4年生のころの皆さんからは、「仲間のため、学校のため、6年生のため…」、誰かのために頑張らなければならない時に、練習以上の力を発揮する場面を、何度も見せてもらいました。5年生の後半からは、何事もみんなで取り組み、失敗もみんなでカバーしようとする『団体戦』の意識を高める中で、「仲間の良さ」や「自分とは違う価値観」を認める合うことができるようになりました。6年生になると、何が何でもみんなの成功を目指したい、信頼される学年になりたい、どうせやるのだから、今までの先輩方にも他の学校には負けたくないという想いを全員で共有し、一致団結して学校をリードする頼もしい学年へと進化しました。『6年生を送る会』で、1年生から5年生のどの学年の発表からも、6年生を慕う気持ちが溢れていたのは、6年生が学校を引っ張る姿に、憧れと感謝を抱いていたからこそです。皆さんが学校のために頑張ってきた想いや態度は、必ず、下級生に引き継がれていくものと確信しています。

 一方、卒業生のみなさんが成長する環境を整えてくれたのは、皆さんのご家族であり、地域の皆様、今までに出会った先生方であることも、皆さんは気がついています。だからこそ、皆さんと関わってくださったあらゆる方々に、感謝することを忘れないでください。そして、これからは、みなさん自身の力で、新しくできる友人や仲間が、ともに成長できる環境を作っていってください

  保護者の皆様、お子様のご卒業、おめでとうございます。凛凛しく健やかに成長されたお子様の姿に、感慨もひとしおのことと存じます。ただ、まだまだ、子どもたちには、皆様のお力添えが必要なことは言うまでもありません。子どもたちが良き社会人となるまで、今後も、見守っていただくことを重ねてお願い申し上げます。

 結びに、

 人は、『夢』を実現させようと努力を繰り返す中で、『自由』という言葉の本当の意味を知ることになります。そして、『夢』に向かって進もうとすればするほど、「感謝」・「挨拶」・「笑顔」の大切さを学びます。出来ない言い訳ばかりで「良くなること」は一つもありません。卒業生の皆さん、一人一人が、自分自身と社会を真摯に見つめ、解決のための一歩を踏み出せる大人へと成長されることを祈念しまして、式辞と致します。

      令和四年 三月十八日  輪島市立鳳至小学校

                 校長 山岸茂樹

 

0

仲間と力を合わせて目標達成に挑む  -『6年生を送る会』から -

学校の最大行事である令和3年度の卒業証書授与式が間近に迫っています(=3月18日挙行予定)。

しかし、大切な門出を祝う時期であるにもかかわらず、現在もコロナウイルス(COVID-19)問題は、全国各地でイベントの中止や縮小を余儀なくさせています。

 さて、2月18日(金)、本校では『6年生を送る会』が開催されました。どの学年の発表も見応えがあり、また、この1年の成長を感じることができたものでした。どの学年も『チームワーク』が育ってきていることを、一番、嬉しく思いました。器材の配置や準備にお互いが声をかけ合う場面、台詞を忘れてしまう子がいてもみんなでカバーする場面をいくつも見ることができました。声を合わせるため、踊りを合わせるため、種目や演奏を成功させるために、何度も何度も繰り返し練習してきたことがわかる発表ばかりでした。在校生(=1~5年生)の「6年生に感謝の気持ちを伝えよう」という想い、そして、卒業生(=6年生)の下級生の気持ちに応えたい、今の自分たちがあるのは、保護者や地域の皆さん、先生方など、今まで自分たちに関わってくれた全ての方々のお陰という熱い想いを感じとることができました。また、在校生の演技を見る6年生の目は温かく、6年生の演技を見る在校生の目はあこがれに満ちていました。感心する声あり、笑いあり、一緒になって手を打つ場面あり、お互いを尊重し合う雰囲気は、最高のチームワークを感じることができた時間でした。

 人は、仲間と協力し目標に挑む中で、達成感や充実感、感動、共感、他者のよい点に目を向けること、仲間のためにも頑張ろうとする態度等、様々なことを学び、経験します。そして、その学びや経験は、これからの自分に関わってくる新たな役割や責任に向かう意欲となり、障害を乗り越える解決の糸口を導きだしていきます。この1年間の子ども達の成長を頼もしく思うとともに、今まで以上に、仲間と力を合わせて目標達成に挑む経験を意図的に用意する中(協働する場面を準備する中)で、子ども達の可能性を引き出していきたいと考えます。保護者・地域の皆様におかれましても、ご理解とご協力をよろしくお願いします。

 追伸

今年度の6年生は、鳳至小学校単独で行う全ての行事が、予定通り実施できています。10月の宿泊体験学習では秋晴れの上に波も静かで、過去2年間、乗ることが出来なかった大型カヌーで、一番長いコースを体験できました。この「6年生を送る会」に関して言えば、輪島市でも感染者が増加している中で、予定通り実施できたことが奇跡的といえます。本当に“持っている”子ども達です。来る第51回卒業証書授与式も無事挙行できますように、保護者や地域の皆様におかれましても、引き続き、感染症予防対策の継続をお願いします。

 学校長   山 岸  茂 樹

 

0

“とことん学ぶ”ことを体験させる

1月11日(火)から、“締めくくりの3学期”がスタートしました。休み中に大きな事故にあうこともなく、183名全員の児童で無事に3学期を迎えられたことを嬉しく思います。しかし、オミクロン株の発生により、(1月19日現在)、日本全体でコロナウイルス感染者が4万人を超え、さらに拡大する傾向にあります。オミクロン株は、従来のウイルスに比べ、その症状に喉の痛みや鼻水を訴える割合が多くなっています。また、空気感染の傾向が強いこと、若者に感染者が多いことも言われています。学校としては、これまでの手洗い・消毒・マスクの着用はもちろんのこと、更には、換気から“通気”に意識を変えて対応していきます。また、今年は1月20日が「大寒(1年の中で最も寒さが厳しい時期)」ですが、その前後は、寒波が日本列島を覆い、気温も冷え込み雪の降る日が続きました。そんな中、子ども達の登下校を助けて頂いている見守り隊の方々や歩道の除雪をして頂いた地域の皆様に心より感謝申し上げます。

 さて、3学期が始まり、2年生は、今後、あらゆる場面で活用される『九九』の暗唱に一生懸命取り組んでいます。他の学年も同じように、次の学年・次のステージに向けた勉強に力を入れています。ところで、『勉強する意味』とは何でしょうか。子どもからは「頭が良くなりたいから」とか「いい点数をとりたいから」といった答えが返ってきそうです。しかし、子どもをサポートする私たち大人は、それだけではないと、子ども達に気づかせていかなくてはなりません。ICT(情報通信産業)やAI(人口知能)の発達が加速化する現代、「今の子ども達が大人になる頃には、予測できないほど激しく時代は変化しているだろう。そしてその変化の中で、現在、人間が行っている職業の半分以上は機械化されてしまう。」とよく言われます。そして、この言葉に対し、先の見えない不安を感じている方も多いかもしれません。しかし、先が見えないからこそ、時代の流れを見極め、自分のアイディアで新しい仕事を開発しようとする意思を備える人間、より良い人生を切り拓いていく醍醐味や楽しさを味わえる人間を育てなければならないと考えます。一方、地元に住んでも、「自分が目指しているような仕事、本人の良さをいかす仕事を見つけられないのでは」とか、「仕事がない」と感じている中高生も多いのではないでしょうか。では、どうして地元には自分をいかす仕事がないと考えてしまうのでしょう。その原因として、自分をいかす職業を、「今、在る職業」の中から見つけようとしているためとは考えられないでしょうか。しかし、前述した通り、今ある職業の半分以上が無くなると予想されているのです。とすれば、自分の可能性をいかすべく、新しい仕事を開拓しようとする意欲や展望を育てる必要(=将来を展望する力を育むキャリア教育の必要)があります。また、発達途上の子ども達にとっては、自分のアイディアを実現させるための工夫や粘り強さ等、知恵と態度の両面からの基盤づくりも欠かせません。失敗しても、また、学習して新たな方法を生み出すたくましさも必要です。つまり、より良い人生を切り拓くため、とことん“学ぶ体験”を重ね、学び続ける意欲を身につけることが必要ということです。そして、その経験こそが自身の生き方を築く原動力となります。是非、ご家庭でも展望が開けるよう、将来について、親子で話し合う機会を増やすことをお願いします。

 2022年の始まりにあたり、子どもたちが備える、“希望”や“勇気”を引き出し、これからの社会を生き抜くことができる鳳至っ子の育成に力を尽くしていくことをお約束し、年頭の挨拶とさせていただきます。今年度も、本校の教育活動にご理解とご協力をよろしくお願いします。

 学校長 山 岸  茂 樹

0

自分の得意を誰かのために役立てられる人、仲間を支えられる人に

2021年もあと数日で終わろうとしています。緊急事態宣言が延長されたり市内に感染者が見られたりした中で、鳳至小学校としての教育活動のほとんどを実施することが出来たのは児童一人一人の頑張りと、地域や各家庭での皆様のご努力のおかげです。一方、12月を迎えようとするころから発熱や喉の痛み、腹痛により欠席する児童の数が増えています。決めつけることは出来ませんが、その原因として、手洗い・消毒の緩みが考えられます。実際、昨年の同時期と比べ、消毒液の残量も増えています。これからの季節は、従来、インフルエンザの流行が心配されてきた時期です。因みに、インフルエンザには、エタノール消毒液の効果が高いと言われています。昨年末から今年初めのコロナに怯えたころは、手洗いも消毒も十分で、さらに、マスク着用も一般化されていたため、全国的にもインフルエンザの発症は極わずかであったことは記憶に新しいところです。一方、現在は、オミクロン株が発生したとはいえ、感染の広がりそのものは小康状態であり、危機感が薄れています。そのせいか、大人にも子どもにも、以前ほど手洗いや消毒に対する緊張感がありません。どちらかというと、寒いから(手洗いや消毒が)面倒くさいという感じです。学校でも、気を引き締め、子ども達に働きかけていきます。ご家庭でも手洗い・消毒・マスクの必要性についてご指導いただけたら幸いです。

     知者不惑     知者は惑わず

  仁者不憂  ⇒  仁者は憂えず

  勇者不懼     勇者は懼れず

さて、前号の学校便りでもお伝えしたように、2学期の終わりから3学期にかけて、学校は、子ども達に次の学年に向けた準備を強く意識させています。そんな中、12月15日には金管鼓隊の引き継ぎ式が行われました。6年生から楽器を引き継がれた5年生を中心とする新チームのパートリーダーがそれぞれ決意を述べる様子や、その様子を見守る各パートメンバー一人一人の表情を見ながら、私は新チームの成長に思いを馳せていました。そして、『論語』についてわかりやすく訳した「ひらたせつこ」さんの本の一部を思い出しました。それは次のような内容になります。

注)頭のいい人は迷わないが、その一方で、人の気持ちがわからないことがある。心のしっかりしている人はくよくよしないが、危険に気づくのが遅れることがある。勇気ある人は恐れず闘うが、間違った方向にすすむことがある。「自分一人で全ての力を備えようとしなくて良い。人には得手・不得手があることを理解し、自分の得意分野を伸ばしながら、自分とは違う力を持つ人と協働することで、困難を乗り越えていくことはできる。」というのがひらたさんの訳だったと思います。

金管鼓隊は音楽の得意な子も不得意な子も取り組みます。金管鼓隊だけでなく、子どもによって、取り組みやすい学習や行事、苦手意識が働く学習や行事は違います。一方、学校は、子ども達が協力して共通の目標を達成するという経験を積ませたいと考えます。なぜなら、やり遂げた後で味わう達成感や充実感は、子ども一人一人の自信となって蓄積され、更に自分を成長させようとする意欲・次にすすむ力となるからです。社会に目を向けてみても、協働して共通の目標を達成しようとする活動は、いろいろな場面で見られます。そこでは、自分が得意とする役割を求められることもあれば、苦手とする役割を求められることもあるでしょう。自分が得意な分野であれば自分の強みをいかしながら、苦手に感じている人を支えればよい。自分が苦手な分野なら、得意な人に教えを請いながらやってみれば良い。とにかく、みんなが、相手を思いやって共通の目標に向かって力を合わせていく。そのためにも、子ども達には、自分の得意を磨きそれを誰かの為に役立てようとする態度、頑張る仲間を支えようとする態度を培っていってほしいと願います。

 2021年の本校の教育活動にご理解とご協力を賜り、誠にありがとうございました。来たる2022年も、職員一同、全力で子ども達をサポートしていきます。新しき年を迎えるにあたり、地域、保護者の皆様のご健康とご多幸をお祈り申し上げます。

                          学校長 山 岸  茂 樹

   注)引用部分は

       『超訳 論語 自分の「器」を磨く』

         監修:野村茂夫  文:ひらたせつこ リベラル文庫

 

 

 

 

 

0

保護者・地域の皆様のご厚情に感謝申し上げます

 10月27日にはマラソン大会、11月に入っての教育ウィーク期間(1日~7日)には金管鼓隊発表会(2日)、いしかわっ子駅伝交流大会(3日)、授業参観・学年懇談会・資源物回収(5日)、更にはタウンミーティング(7日)と10月の下旬から11月初旬にかけて、行事が続きました。マラソン大会では、どの子どもも自己ベストの更新を目指して粘り強く走りきることができました。金管鼓隊の発表ではマリンタウン陸上競技場での河井小学校との合同発表の後、海士町自治会館→いろは橋→住吉神社→上町通り→鳳至小学校のコースをパレードしましたが、たくさんの方々にマリンタウンまで足を運んでいただいたり、沿道に立って声を掛けていただいたりと本当に勇気をもらえました。お陰で、子ども達は力を出し切った最高の演奏をしてくれました。また、西部緑地公園陸上競技場で行われた駅伝交流大会では、競技場の大型スクリーンに力走する鳳至の子どもの姿が何度も映し出され、胸が熱くなりました。授業参観では、全ての子ども達が学習に使うことになったchromebook(クロ-ムブック=学習用ICT端末)を、保護者の皆様にも実際に操作してもらい、具体的にどんな場面で活用するのか、発達段階の子ども達にとって難しいことはどんなことか、保護者として気をつけなくてはいけないことは何かを感じて頂きました。

そして、これらの行事を通して、学校が保護者や地域の皆様のご協力とご支援に支えられていることを再認識できました。マラソン大会や金管鼓隊のパレードでは本番当日だけでなく練習期間も含めて“鳳至っ子見守り隊“の皆様に街頭での交通整理をしていただきました。漁協の皆さんには、演奏場所の確保や駐車場・トイレの手配をしていただきました。地域の皆様にもパレードコースでの駐車にご配慮いただくとともに、練習の度に声を掛けていただきました。また、資源物回収でも昨年を大幅に上回る収益を上げることができました。(この収益については、子ども達の教育活動や安全を守る手立てに利用させていただきます。)

学校の活動は保護者、地域の皆様のご理解とご協力があってこそと、心より感謝申し上げます。本当に、ありがとうございます。

 

子ども達を伸ばすために(人権教育の視点から)

話しは変わりますが、先日、門前東小学校の人権教育研究発表会に参加したおり、東大阪市で人権教育プログラムをすすめてきた、神野ちどり(元東大阪市立枚岡小学校校長)さんの講演を聴きました。その中で、現代の子ども達の実態として

 ・自尊感情が高まりにくい

 ・相手の気持ちを大切にすることを(わかってはいるが)行動に出せない

の、2つの問題点があることが挙げられました。実は、この2つの問題点は、鳳至小学校の子ども達を見ていても感じることです。では、これを解決するにはどうすれば良いのか、どの場面でどのように育てていけばいいのか?講師の神野さんからは、日常的に教師や周りの大人が気をつけること、教師の指導例について示していただきました。以下に気をつける点について、その要点を示します。

【子ども自身】

・(発達段階では)周りからしてもらうこと(かかわり)がたくさんあると

 自尊感情が育つ

  = 認めてもらう、良い評価をしてもらう、居場所が準備される  …

・達成感がある ( 自分で決めた目標をやりきる )と自尊感情が高まり、

 さらに頑張ろうとする

【子どもの周りの大人】

 ・人権感覚( = 相手の気持ちを想像して大切にすること )を高める

 ・「自分がここまでやっているのに、(子どもが)言うことを聞かないのは

  おかしい」というスタンスや態度をとらない

【子ども・大人とも】

 ・先入観や形式にとらわれず、事象の本質を考える

 ・コミュニケーションでは、まず、『聴くこと』を優先する

今後、ますます複雑化する社会を逞しく生き抜いていくため、子ども達には自信を持って生活できる力、相手の良さを認め協力し合う態度と行動力を身につけてもらいたいと考えます。学校としては、子どもたちが主体的に活動できるよう学習計画をすすめるとともに、先述した要点を職員一人一人が日常的に意識し、子ども達が自尊感情を高めたり人権感覚を磨いたりすることを図っていかなくてはなりません。保護者や地域の皆様におかれましても、重ねて、ご理解とご協力をよろしくお願いします。

                      学校長 山 岸  茂 樹

 

0

子どもたちの自信を深め、可能性を広げるために

10月も残り一週間。2021年度の教育課程も残り5ヶ月(6年生にとっては実質4ヶ月)となりました。学校では日々の学習活動に加え、次の学年への進級・進学を意識した“準備”の取組が増えていきます。例えば金管鼓隊は11月2日の発表会が終わると、それまでチームを引っ張ってきた6年生が引退し、5年生をリーダーとする新しいチームに編成し直されます。12月に5年生が行う県評価問題や全学年が行う市学力調査は、現学年での学習が一人ひとりの子どもに身についているかを確認するとともに、十分 身に着いたと言えない学習内容については、3学期を利用して学習し直し、次の学年での学習に備えます。5・6年生が取り組む委員会活動では、6年生の委員長を5年生の副委員長がサポートするという形態を取りながら、実は6年生の卒業後に5年生が委員会運営をスムーズにすすめられるような仕組みをとっています。

閑話休題。2002年にノーベル経済学賞を受賞したアメリカの心理学者であるダニエルカーネマン博士が提唱した『ピーク・エンドの法則』を紹介します。

【ピーク・エンドの法則】

最も感情が動いた時(=ピーク)一連の出来事が終わった時(=エンド)の記憶で、ある経験についての全体的な印象が左右されるという法則。

ピークやエンド時での経験が充実したものであると、活動全体は良いイメージとして記憶に残り、次の活動でも自信となって取り組める。

これを学校生活にあてはめて考えて見ましょう。

 

子どもたちには年度末(=エンド)に向かう4~5ヶ月の間に、マラソン大会や金管鼓隊発表会、学力調査、6年生を送る会、卒業証書授与式といった自分や他者のために全力を挙げて取り組まなくてはならない“学び”(=ピークを経験する学習)が予定されています。これらの“学び”から子どもたちが経験する苦労や頑張り、達成感は、それぞれの子どもたちが次のステップに挑むために欠かせない大きな自信となります。また、子どもたちには、本人も周囲の大人にもまだ認識されていない能力が秘められています。発達段階であり、当然、完成にはほど遠い、しかし、ワクワクするような可能性を隠し持っています。その可能性を広げる扉を開くためにも、これから予定されている“学び”にベストを尽くし、自信を深めてもらわなくてはなりません。そして、学校便り発行の度に触れていますが、子どもたちが自信を引き出すような充実感を得るためには周囲の大人の温かな評価の持つ役割は大きいと考えます。保護者や地域の皆様におかれましては、今しばらくは窮屈な思いをさせてしまいますが、是非とも学校に足をお運び頂き、子どもたちの姿を見て頂きたいと考えます。本校の境域活動に、ご理解とご協力をよろしくお願いします。    

      学校長 山 岸  茂 樹

 

 

 

 

0