校長室便り
子どもたちの自信を深め、可能性を広げるために
10月も残り一週間。2021年度の教育課程も残り5ヶ月(6年生にとっては実質4ヶ月)となりました。学校では日々の学習活動に加え、次の学年への進級・進学を意識した“準備”の取組が増えていきます。例えば金管鼓隊は11月2日の発表会が終わると、それまでチームを引っ張ってきた6年生が引退し、5年生をリーダーとする新しいチームに編成し直されます。12月に5年生が行う県評価問題や全学年が行う市学力調査は、現学年での学習が一人ひとりの子どもに身についているかを確認するとともに、十分 身に着いたと言えない学習内容については、3学期を利用して学習し直し、次の学年での学習に備えます。5・6年生が取り組む委員会活動では、6年生の委員長を5年生の副委員長がサポートするという形態を取りながら、実は6年生の卒業後に5年生が委員会運営をスムーズにすすめられるような仕組みをとっています。
閑話休題。2002年にノーベル経済学賞を受賞したアメリカの心理学者であるダニエルカーネマン博士が提唱した『ピーク・エンドの法則』を紹介します。
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【ピーク・エンドの法則】 最も感情が動いた時(=ピーク)と一連の出来事が終わった時(=エンド)の記憶で、ある経験についての全体的な印象が左右されるという法則。 ピークやエンド時での経験が充実したものであると、活動全体は良いイメージとして記憶に残り、次の活動でも自信となって取り組める。 |
これを学校生活にあてはめて考えて見ましょう。
子どもたちには年度末(=エンド)に向かう4~5ヶ月の間に、マラソン大会や金管鼓隊発表会、学力調査、6年生を送る会、卒業証書授与式といった自分や他者のために全力を挙げて取り組まなくてはならない“学び”(=ピークを経験する学習)が予定されています。これらの“学び”から子どもたちが経験する苦労や頑張り、達成感は、それぞれの子どもたちが次のステップに挑むために欠かせない大きな自信となります。また、子どもたちには、本人も周囲の大人にもまだ認識されていない能力が秘められています。発達段階であり、当然、完成にはほど遠い、しかし、ワクワクするような可能性を隠し持っています。その可能性を広げる扉を開くためにも、これから予定されている“学び”にベストを尽くし、自信を深めてもらわなくてはなりません。そして、学校便り発行の度に触れていますが、子どもたちが自信を引き出すような充実感を得るためには周囲の大人の温かな評価の持つ役割は大きいと考えます。保護者や地域の皆様におかれましては、今しばらくは窮屈な思いをさせてしまいますが、是非とも学校に足をお運び頂き、子どもたちの姿を見て頂きたいと考えます。本校の境域活動に、ご理解とご協力をよろしくお願いします。
学校長 山 岸 茂 樹
運動会、子どもたちはまた一つ成長することができました!!
11日(土)、“絶好の晴天”に恵まれ『鳳至小学校 秋の大運動会』を開催することができました。7月中から、運動会を目指し計画を練り上げたきた子どもたちを見てきた私とすれば、ある程度の子どもたちの活躍は予想できていました。しかし、運動会当日の子どもたちの奮闘ぶりは、私の期待をはるかに超えたものでした。緊張しながらもハツラツさを見せてくれた「入場行進」、動作のつなぎを意識して取り組めた「準備体操」、全員が走りきることが出来た「徒競走」、例年以上に盛り上がりと力強さを見せてくれた「応援合戦」、赤白に分かれた低・中・高各学年がプライドをぶつけたそれぞれの「団体競技」、かわいさの上をゆく“かっこよさ”を追求した低学年の「君の心にクリティカルヒット」、小学生の演技とは思えないレベルにまで完成された中学年の「鳳至ソーラン」、オリンピック・パラリンピック東京大会の熱い思いを引き継いだかのような感動を味わうことが出来た高学年の「CANDO~感動~」、最後まで勝負にこだわってバトンをつないだ「選抜紅白対抗リレー」、そして、まさかまさかの赤・白同点に湧いた閉会式。どの場面も子どもたちの頑張ろうとする姿、団やクラスの仲間と力を合わせ最高の演技にしようとする姿がありました。この運動会の取組を通して、それぞれの子どもが自分や学年の役割を意識し、素直に努力を重ねることで、自分自身はもちろんのこと、クラスも鳳至小学校全体も大きく成長させることができたと感じています。成績発表で得点係の金岡先生が伝えた「みんなが優勝です」の言葉は、まさに、子どもたち全員の頑張りを讃えるにふさわしい言葉だったと思います。そして、運動会を成功させるには自分たちが下級生を引っ張るしかないという強い覚悟で準備や練習をすすめてきた6年生、その6年生のサポートに徹した5年生、両学年のチームワークの良さに導かれた「みんなの優勝」だったと思います。
閑話休題。運動会開催に関わる私自身の心の内をもう少し述べさせてください。先述した通り、子どもたちは7月中から運動会の成功をイメージして準備を進めてきました。先生方も子どもたちが完全燃焼できるよう一生懸命、知恵を出し続けてくれました。その頃の自分には、運動会が実施できないのではないかという不安はとても小さなものでした。しかし、8月の前半からコロナウイルスの感染が広がり、8月末に輪島市にも感染が伝えられた時には、開催も難しいのではという不安が大きくなり、運動会の実施は“運”次第だなと考えるようになっていました。しかし、運動会当日、保護者や地域の皆様を迎える最終準備を進める中で、こうして運動会が出来るのも子どもたちの努力だけでなく、やはり、保護者や地域の皆様の努力の積み重ねがあってのことという思いが強まりました。日常的な皆様の努力の積み重ねが、“必然”として運動会の開催を実現してくれたのだと思います。保護者や地域の皆様といった大人の努力があるからこそ、子どもの学びを止めずに済んだと考えます。
“実りの秋”という言葉もありますが、学校では10月以降も宿泊体験学習(6年)や学年集会、マラソン大会、金管鼓隊発表会など、子どもの学習の成果を発表する行事がいくつも予定されています。子どもたちの学びを止めないためにも、これまで通り、保護者や地域の皆様のご理解とご協力をよろしくお願いします。
学校長 山 岸 茂 樹
日本人の中に生きる『名こそ惜しけれ』 、 『三方良し』の道徳観
夏休みが終わりました。この夏休み期間中の7月23日~8月8日にはオリンピックが開催され、8月24日からはパラリンピックが始まりました(パラリンピックの閉会式は9月5日です)。オリンピック・パラリンピックの開催については、地球規模のコロナ禍であり、いまだに開催の是非が国内外で議論されてはいます。しかし、競技にひたむきに取り組む選手の姿には心を打たれます。毎日のようにテレビに向い、声援を送っていた人も多いことでしょう。また、今大会では、サポートボランティアにも注目が集まりました。ジャマイカ代表で110mハードルの金メダリストであるハンスル・パーチメント選手を助けたストイコビッチ河島ティヤナさんが一番の例ですが、それ以外でも大会を支えるボランティアの働きぶりの素晴らしさが数多く報道されています。
蘊蓄(うんちく)を傾ければ、オリンピック運営におけるボランティアの参加は1948年のロンドン大会(イギリス)からです。当時は軍人やボーイスカウトが動員されていたようです。そして、「オリンピックボランティア」が定義され、広く一般民衆から募集されるようになったのが1992年のバルセロナ大会(スペイン)からであり、以後、“ボランティアの活躍こそが大会を成功に導く”とまで言われるほど、オリンピック・パラリンピックにはボランティアが欠かせない存在となりました。
2020東京オリンピックが成功だったかと問われれば、コロナ禍の中での開催ということで、その返答は、立場や考え方によって、違ってくるでしょう。しかし、選手にとってはかけがえのない大会であり、結果はともあれ国の代表として競技することが出来たという誇りは一生モノです。そして、自分たちを歓迎し、「おもてなし」の精神で大会を運営してくれた日本及び支えてくれたボランティアスタッフに感謝の気持ちをもってもらえたなら、選手たちにとって、このオリンピックは成功といえるのではないでしょうか。
(日本贔屓の見方も多分に含まれますが、)今回の2020東京オリンピックだけだはなく、2019年のラグビーワールドカップ日本大会、古くは2002年サッカーワールドカップ日韓大会…、その他、様々な国際的イベントが日本で行われてきましたが、その都度、日本の運営スタッフやボランティアは世界各国の人々から称賛されてきました。日本で開催されるなら安心だと思われてきました。それはなぜなのでしょうか?日本人という民族を研究する国内・海外の学者は、日本人が秘める特異な精神性について指摘します。そして、日本人の精神の中には、平安時代中期以降に現れた武士が農民やその他の身分の者から信頼を得るために築いていった“精神的美学”が現代にも残っていると言います。中でも、鎌倉時代の板東武者から起こり、武士の世界で引き継がれ現在に至る『名こそ惜しけれ』の精神や、明治から昭和期に活躍した歴史学者であり法学者でもある廣池千九郎(ひろいけちくろう)の『三方良し(さんぼうよし)』の考え方が日本人の持つ道徳性に根強く残っていることに言及します。
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『名こそ惜しけれ(なこそおしけれ)』 「名」は自分自身の存在や生き様を意味する 鎌倉武士(板東武者)を象徴する言葉 人、ご先祖様、自分に対して「恥ずかしいことをするな」という意味。江戸時代までは武士の美学であったが、明治に入り武士階級が消滅すると、国民全体に武士社会の精神が広まる。 ・勤勉で礼儀を重んじる ・公のために自分を律する ・恥ずかしい仕事は出来ない → 職人気質 ・お天道様が見ている(悪いことは出来ない) |
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『三方よし(さんぼうよし)』 廣池千九郎の道徳経済一体思想の中心的考え 「自分よし」「相手よし」「第三者よし」 自分・相手・第三者の三方にとっての利益を考えて行動することが大切という意味。 後に近江商人の経営理念にも引用されるようになる。 廣池千九郎(ひろいけちくろう) 1866年 現在の大分県中津市で出生 小学校教員から歴史学者、法学者、宗教家としても活動 |
先述した、ティヤナさんもパーチメント選手の状況に立って何をしてほしいかを考え、サポートスタッフとしての役割に徹したことが、金メダルという、パーチメント選手にとってもジャマイカという国にとっても最高の結果をもたらしたことになります。これからの社会を生きる子どもたちには、2020東京大会を支えたボランティアスタッフの方々のように、「自分自身がよく考えた上での行動」を誠実に追求することができる資質を備える必要があります。鳳至小学校としては、2学期も、子ども自身が「考える」ということを重視して教育活動を組み立てていきます。そして、ここで肝要なことが、子ども達に「考える」ことが楽しいと思わせること、粘り強く考えること、考えることで困難を克服出来たという経験や積ませることです。そして、その学習や活動のようすを保護者や地域の皆さんに評価してもらうことで、子どもたちは自信を深めたり、反省してより良い学びに改善したりすることができます。
コロナの影響で学校に足を運ぶことをためらわれている方も多いことと思いますが、マスクを着用することと消毒することをお守りいただき、子どもたちの活動の様子をご覧になっていただければと思います。ご理解とご協力をよろしくお願いします。
学校長 山 岸 茂 樹
夏休みを使って、『時間を管理する』練習を!!
7月14日、北陸地方にも梅雨明けが宣言されました。いよいよ本格的な夏の到来です。そして、2年ぶりに子どもたちが楽しみにしている40日あまりの長い夏休みに入ります。昨年は休校期間があったため、10日間しか休みがなく、夏休み帳も図工や習字の宿題もありませんでした。今年は休みが長い分、夏休み帳もあれば、読書感想文、バリ勉ノート、図工や習字といった応募作品の宿題もあります。また、学校としてはたくさん本を読むことも奨励します。 しかし、子どもにとってみれば、せっかくの休みなのだし、プールや海に行ったり、友だちと遊んだりしたい、自分のやりたいことに時間を使いたいというのが偽らざる気持ちです。
そこで問題になってくるのが、“時間の使い方(時間を管理する力)”です。学校の日常ならば8:30から16:00までの間に読書(朝読書)の時間や5~6コマの授業、休み時間、給食、掃除の時間が設定されます。そして、先生という名の大人の主導の下、子どもの好き嫌いにかかわらず、やるべき勉強や活動を行います。しかし、休みの日は、子どもが行動内容を決める割合が増えます。そうすると、自分の好きなことを優先させたい、面倒くさいと思うことは後回しにしたいという思いが先に立つのが人情です。やらなくてはならないと意識している勉強も、後回しの対象になります。実際、夏休みも残り数日というころになって慌てて宿題をするのは、まさに、休みの間に自分のやりたいことを優先させ、面倒くさいことを後回しにした結果です。
この夏休み、子どもたち自身が主体となって活動する時間が増えます。しかし、その時間を、その時さえ楽しければよいこと、やりたいことばかりに費やしてしまえば、自分をバランス良く鍛えることはできません。そこで、子どもたちには、長期の休み中に、自分自身で『時間を管理する』練習に取り組んでほしいと思います。1日の中で、「好きなこと・やりたいことに使う時間」と「やらなくてはならないことに使う時間」をやりくりする力、40日間を見通し、「やらなくてはならないことを無理なく終わらせる」ために計画的に実行にうつす力、「やらなくてはならないこと」をやりきろうとする態度が身につくようチャレンジしてほしいと願います。
“時間を管理する”ことは、意識したからすぐに出来るというものではありません。小学生、特に低学年の子どもたちには、大変、難しいことだと思います。しかし、心がけたり実際にやってみたりして得た成功体験・失敗経験とも、必ず、子どもたちの将来にプラスに作用していきます。子どもたちがくじけそうな時はご家庭で声を掛けていただければ幸いです。ご理解とご協力をよろしくお願いします。
【追記】
6月の段階では未確定であった、金管鼓隊発表会は11月2日に河井小と合同で行うことになりました。時間や場所等、詳細については、2学期に入ってお知らせいたします。
学校長 山 岸 茂 樹
「読める子」・「読むことを嫌がらない子」を育てるため、ご協力をお願いします!!
県の非常事態宣言が解除され、6月19日(土)にはマリンタウン陸上競技場で、輪島市ちびっ子オリンピック陸上競技大会が行われました。鳳至小学校からは41名の児童(内、ジュニアアスリートクラブに所属する選手は12名)が参加しました。コロナ禍で練習できる日も少なく、また、当日は雨交じりで風も強く、競技会を行うことそのものが厳しい状態でしたが、子どもたちが懸命に走る姿に、清々しさと勇気をもらうことが出来ました。一方、輪島市民祭り、輪島市小学校陸上競技大会、輪島子ども議会、小学校水泳記録会、三夜踊りと次々に子どもたちが楽しみにしている行事の中止が決まりました。2学期以降の行事については、変異株の流行の度合いや、ワクチン接種の進み具合など様々な動向を見守りながら、開催規模や内容を吟味した上で、できるだけ実施する方向で進めたいと考えています。尚、市民祭りの際に行う予定であった金管鼓隊のドリルやパレードは、11月の初めに開催することを目指して案を練っている最中です。
さて、5月26日には県基礎学力調査(4年生:国語・算数、6年生:社会・理科)が、27日には6年生を対象とする全国学力学習状況調査(国語・算数)が行われました。鳳至小学校としての結果を見ると、一昨年、昨年と比べ、問題全体の正答率は上がってきています(因みに、昨年は、コロナによる休校期間があったため、1学期の終わりがずれ込んだ8月初めに学校ごとに実施しました。)。しかし、「読む(読み取る)」分野を苦手とする児童が多いことも結果として表れています。昨今、よく用いられる言い方をすれば『読解力』が弱いということになります。特に今回のようなテストでは、授業で勉強したことに沿って問題が出される単元テストとは違い、「見る文章は初めて」、「問われている内容も自分で判断する」ということで、何をどのように答えれば良いか自信が持てないという児童が増えます。そして、この自信のなさは、「文章が示す内容」、「問題文が何を求めているか」のどちらかまたは両方の読み取りの不正確さを引き起こし、「決められた時間内に問題を解くことが出来ない」「文章問題に解答しない」といった結果に表れます。これに対し、本校では、国語科を中心に語彙力、想像力を含めた読解力の向上を目指し、言葉の意味を問い返しや話し合いを通じた子ども同士の関わり合い、図や表を読み取る活動、児童が考えたくなる“問い”(=課題・発問)を意識した授業づくり等に取り組んでいます。また、朝読書や家庭学習、リテラシータイム(学習を振り返る時間)等を活用して「文章に慣れること」「自分の思いを書く・話す」「友だちの言わんとしていることを正しく聴きとる」などの取組もすすめているところです。勉強というのは今日の頑張りが明日すぐに成果となって表れるというものではありません。しかし、地道に努力を積み重ねることで、半年先、一年後には必ず力となって自分を助けてくれます。教職員も一丸となって日々の授業や取組をすすめていきます。そして、ここで、一つお願いがあります。
『読解力』をつけるためには、「読むことを面倒くさいと思わない」ことが大切な条件です。読むことを嫌がらない。読むことは当たり前。さらに、読むことが習慣化しているとなれば最高です。鳳至小学校では、毎月、10日・20日・30日を“読書の日”並びに“ノーゲームディ”に設定しています。また、夏休みや冬休みなどの長期休業期間も読書を推奨しています。これについてご家庭でもご協力を仰ぎたいと思います。さしあたって、学校が設定している“読書の日”に子どもたちに読書を促すことをお願いします。読解力がつくことで自主学習力も自然と高まります。自主学習力が高いということは、職業についても、自分で工夫できる人材として大事にされます。子どもたちの将来を見すえても、まず、「読める子」・「読むことを嫌がらない子」を育てることが急務と考えます。ご理解とご協力をよろしくお願いします。
学校長 山 岸 茂 樹
| 日 | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 |
30   | 1   | 2   | 3   | 4   | 5   | 6   |
7   | 8   | 9   | 10   | 11   | 12   | 13   |
14   | 15   | 16   | 17   | 18   | 19   | 20   |
21   | 22   | 23   | 24   | 25   | 26   | 27   |
28   | 29   | 30   | 31   | 1   | 2   | 3   |
☆輪島市6校合同小学校
学校だより第9号を掲載しました。
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