日誌

校長室便り

“金管鼓隊”の取組を通して、子どもたちが学んだこと

5月29日(日)に文化会館で行われた能登麦屋節全国大会を皮切り、8日間にわたる『輪島市民まつり2022』が開催され、鳳至小学校としても、3年ぶりに、5・6年生63名による金管鼓隊が、マリンタウンを会場とする「倭の島交流大パレード」と「マーチングドリル演奏」に参加しました。また、マリンタウンでの演目に参加する前には、鳳至小学校→上町通り→住吉神社→いろは橋→輪島漁協前のコースを、そして、演目の後には、新橋まちなか通り→杉平菓子店前→上町通り→鳳至小学校のコースをパレードさせて頂きました。

 この金管鼓隊は、昨年の12月に新チームとして結成され、まず、“校歌”と“ファンファーレ”、そしてその2つをつなぐ“間奏”の練習に取り組むことからスタートしました。そして、2月には「6年生を送る会」で初めて発表演奏を経験しました。今年度に入ってからは、4月に「1年生を迎える会」で発表しました。そして、ゴールデンウィーク明けから、新曲“やってみよう”の練習が加わり、5月後半になると、市民まつり本番を意識した、全曲を通した練習や運動場でのドリル練習、道路を使ったパレード練習に取り組むようになりました。私は、新チーム結成当初は校長室に聞こえてくる演奏の音で進捗状況を計っていましたが、2月頃からは、時には練習現場に足を運こび、時には校長室の窓越しから、その時々の仕上がり具合を窺っていました。そして、発表やドリル・行進練習を重ねる度に、子どもたちが、演奏が上達してきたという手応えを感じている様子と同時に、自分達の演奏を聞いて下さる保護者や地域の皆様の思いの深さを感じる様子を目にするようになりました。初めは、「コロナ禍で窮屈な思いをしている、輪島市の皆さんを笑顔にしたい」という思いからのスタートであったことは間違いありません。私は、これだけでも誇るべき子どもたちだと自慢できます。しかし、子どもたちそれぞれが、拍手してくださる方々のようすや涙を流してよろこんでくださる地域の方々に気がつく中で、自分たちで長い時間練習して(子どもたちの5月以降の練習時間だけでも、延べ1575分=26時間25分)作り上げた演奏や真剣に頑張る姿が、人とのつながりを広め、人の心を動かし、明日への元気につなげる活動となったいく…ことを直接的にも間接的にも感じているようでした。漠然としていた価値観が実感を帯びたイメージとなり、自分たちの新たな可能性に気づきはじめているように思います。

 現在すすめられている教育改革の中では、地域との関わりを直接体験することで、優しさや思いやり、人間性を高めることが重視されています。また、そこで学んだことを活用し、自身がリーダーシップを発揮し、人を育てる原動力となることも期待されます。金管鼓隊での経験を通して、子どもたちは、改めて、この“鳳至地区のあたたかさ”、“地域の良さ”に触れています。そして、今、感じ・理解している地域の良さが、子どもたち自身の地域創生や新たなライフワークの在り方を築いていくことにもつながっていくのだと思います。

 終わりになりますが、金管鼓隊の活動を通して、学校が保護者や地域の皆様のご協力とご支援に支えられていることを再認識しています。パレード練習では“鳳至っ子見守り隊“の皆様に街頭での交通整理をしていただきました。漁協の皆さんには、演奏場所の確保や駐車場・トイレの手配をしていただきました。地域の皆様にもパレードコースでの駐車にご配慮いただくとともに、練習の度に応援していただきました。輪島市民まつり実行委員会の皆様や輪島市企画進行課の皆様、輪島警察署の皆様にも大変お世話になりました。学校の活動は保護者、地域の皆様のご理解とご協力があってこそと、心より感謝申し上げます。本当に、ありがとうございました。

                    学校長 山岸茂樹

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続・子ども達の未来のために:「聴く力」の養成

ゴールデンウィーク明けの5月6日、子ども達には、久しぶりに友だちと顔を合わせることができた喜びの笑顔がありました。連休に入る前には、制限解除がもたらすコロナウイルス感染症の拡大も心配されていましたが、今のところ、日常の活動を止めることなく学習をすすめることができています。連休明けの学校の様子を見てみると、1年生はアサガオの栽培(生活科)、2年生は水彩絵の具の使用開始(図工科)、3年生は町探検(社会科)、4年生はセブンボールリレー(体育科)、5年生は初めての裁縫セット(家庭科)、6年生はツバメ調査(総合的な学習)と、それぞれの学年が新しい学習に取り組んでいました。また、交通安全教室や輪島市民祭りに向けた5・6年生による金管鼓隊の練習など、過去3年間は、時期変更や規模の縮小を余儀なくされた行事や活動にも取り組めています。これも、保護者や地域の皆様が、手洗いや消毒、マスクの着用など感染予防対策を徹底して頂いているお陰と、心より感謝いたしております。

 閑話休題。学校でも社会でも、子どもたちは様々な“学び”を積み重ねていきます。では、子どもたちが“学び”をすすめる中で何を大切にしていかなくてはならないのか。学校は、文部科学省が定める『学習指導要領(=各学校が、子どもの発達段階に応じて指導する内容を定めたもの)』という計画書をもとに学習をすすめます。この『学習指導要領』を見ると、子どもたち一人一人に「考える力」を身につけさせることを重要視していることがわかります。実際、鳳至小学校でも、「考えること」に焦点をあてた教育活動に取り組んでいます。そして、子どもたち一人一人に「考える力」を身につけてもらうためには、前号での学校便りでも書いたように「読解力」を育てていくことが重要と考えていますが、そのためにも、まず、子ども一人一人に「注意深く、最後までしっかり聴く」という態度を育てて行く必要があると教職員全体で共通理解を図っています。そして、仲間や大人の話をしっかり聴き、理解した上で自分の考えと比較してみる、自分の考えと相手の考えの優れている点を見つけ出せる、いくつかの考えをまとめてよりよい意見を作り出す…。そんな力につなげていきたいと考えます。そこで、まず、ご家庭でも「子どもの目を見てじっくり話しをする」ことを心掛けていただけないでしょうか。そのことから、子ども達に「聴く」態度を育てていきたいと考えます。また、「聴く」から「訊く(きく)=感じたことを尋ねながら聴く」ことができるようになれば、子ども達はさらに思考を深めることができるようになります。学校と家庭・地域が同じ目標で子どもたちを育てていくことは子どもたちに、より大きな効果をもたらします。子ども達の将来のため、ご家庭でもご協力をお願いします。

               学校長  山 岸  茂 樹

 

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子ども達の未来のため、『読解力』の向上をすすめます!

元気いっぱいの1年生22名を迎えたから約3週間が過ぎました。学校の中には、新しい学年を頑張ろうとする子どもたちのやる気がみなぎっています。そして、この子どもたちの新鮮なやる気を大切にして教育活動をすすめていこうと、私たち教職員も緊張の毎日です

さて、4月18日には県基礎学力調査(4年生:国語・算数、6年生:社会)が、19日には6年生を対象とする全国学力学習状況調査(国語・算数・理科)が行われました。この2つのテストは

【県基礎学力調査】

 児童生徒の基礎的・基本的な知識・技能や活用力の定着状況、及び学習・生活状況について把握・分析し、学校における児童生徒への教科指導の改善を図る。併せて、教員の指導状況等を把握し、指導改善に役立てる。

【全国学力・学習状況調査】

 義務教育の機会均等とその水準の維持向上の観点から、全国的な児童生徒の学力や学習状況を把握・分析し、教育施策の成果と課題を検証し、その改善を図るとともに、学校における児童生徒への教育指導の充実や学習状況の改善等に役立てる。さらに、そのような取組を通じて、教育に関する継続的な検証サイクルを確立する。

ために実施されています。つまり、子どもが今まで学んできたことについて、①何が身についていて、何が不十分なのか?②その理由は何か?③今後、教師は何に気をつけ、どんな手立てで子ども達を指導していくか?を各学校が確認し、日常的な教師の指導に反映させるためのテストということになります。自校採点の結果を見ると、問題全体の正答率は上がっています。しかし、どの教科も初めて見る文章を限られた時間内に正確に読み取ることができず、「決められた時間内に問題を解くことが苦手」「指定された文字数で説明したり自分の考えを順序立てて文章や式で表したりする問題の正答率が下がる」という傾向も見られました。実はこのような「文章の意味が読み取れない」=「読解力(どっかいりょく)の不足」に関わる事例は、教育現場のみならず様々な生活場面で問題視されているところです。以前にも紹介しましたが『読解力』について、文部科学省から出されている読解力向上プログラムには次のように定義されています。

読解力 

: 自らの目標を達成し、自らの知識と可能性を発達させ、効果的に社会に参加するために、書かれたテキストを理解し、利用し、熟考する能力

この定義に当てはめて考えると、読解力が不足するということは、単純に目の前の問題が解けないということ

だけでなく、社会に参加することまでを難しくするということになります。とすれば、子ども達が未来を生き抜く力を培う場である学校で、『読解力』を高める活動に取り組むことは必須のことです。そこで本校では、授業等で行っている「声に出して読む」、「線を引きながら読む」、「言葉の意味を問い返す」、「図・表・グラフの等の資料を関連づけて自分の考えを作る」、「朝読書」、「短作文」等の活動を注意深く継続しながら①文章や図・表・グラフの意味を正しく理解する力、②作者の意図を読み取ったり要約したりする力、③読みとったこと・考えたことを表現する力を伸ばしていきたいと考えます。そして、ここで、一つお願いがあります。

 『読解力』をつけるためには、「読むことを面倒くさいと思わない」ことも大切な条件です。読むことを嫌がらない。読むことは当たり前。さらに、読むことが習慣化しているとなれば最高です。鳳至小学校では、毎月、10日・20日・30日を“読書の日”並びに“ノーゲームディ”に設定しています。また、夏休みや冬休みなどの長期休業期間も読書を推奨しています。これについてご家庭でもご協力を仰ぎたいと思います。さしあたって、学校が設定している“読書の日”に子どもたちに読書を促すことをお願いします。読解力がつくことで自主学習力も自然と高まります。自主学習力が高いということは、職業についても、自分で工夫できる人材として大事にされます。ご理解とご協力をよろしくお願いします。 

 学校長 山 岸 茂 樹

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2022年度 鳳至小学校がめざす子どもの姿

教育界に於いて2021年度はGIGAスクール構想の取組が全国的に進められた年でした。この取組は、子ども一人一人が情報端末(=chromebook)を持ち、効率的かつ実用的に学習することで、よりその子に適した学びとなることや学びの深まりを目指したものです。しかし、その先には、現代社会が抱える人手不足や食糧不足、温室効果ガス(CO2)の排出、高齢化、地域間格差等の諸問題を乗り越え、いきいきと快適に暮らすことが出来る社会(=Society5.0)の主体となる人材の育成があります。そんな中、子ども達には、次の5つの力を伸ばしていくことが求められると考えます。

○一生学び続ける力(課題を見つけ、その解決に向けてやりがいを持って探求していく力)

○社会人基礎力(建設的に取り組む力、考え抜く力、チームで働く力)

○自己存在感並びに他者を支えて行こうとする心・態度・実践力

○コミュニケーション能力

○自己管理能力

この5つの力は義務教育の9年間をかけて基盤を作り、その後の生活でさらに発展させていくべき力です。鳳至小学校としては、子どもの発達段階を考え、上記の5つの力を付ける土台を築くため、今年度も、「主体性」や「協働性」、「達成感」、「自己肯定感」をキーワードに教育活動をすすめていきます。

そこで、2022年度は、本校教育目標、「創造性豊かで頼もしい人づくり」 の下、以下のように重点事項を設定致しました。

【令和4年度 重点事項】

①学ぶ楽しさを理解するとともに、友達と学び合う子どもたちに

②お互いのよさを認め、協力し合える子どもたちに

③大きな声であいさつし、自分を表現できる子どもたちに

④自分自身を見つめ、よりよい自分へと挑戦する子どもたちに

この重点事項に基づいた教育活動につきましては、学校・学年だよりの発行はもちろんのこと、コロナ禍ではあっても感染予防に十分配慮しながら、授業参観や行事等、機会を捉えて学校に足を運んでいただき、お子様の姿でご確認下さい。また、子ども達の社会性を育てるためには、保護者の皆様・地域の皆様にお力添えが、より一層、必要になるとも考えております。重ねてご理解とご協力のほど、よろしくお願いします。

学校長 山 岸  茂 樹

 

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この1年を振り返る

3月18日(金)、春の花の咲き出しを促す催花雨(さいかう)の中、第51回の卒業証書授与式が行われました。コロナウイルスの影響もあり、一昨年度・昨年度とご来賓や保護者の参加が制限された卒業式でしたが、今年度は4年ぶりに制限のないフルバージョンの卒業式ができました。今年度は鳳至小学校単独で行う行事は全て予定通り行うことができた一年であり、式中、卒業生・在校生それぞれが、この一年を振り返る場面では、「当たり前と思えることが当たり前にできることの喜び」を強く感じさせられました。

 

【主体的で対話的な深い学び】

 「人生100年時代」を意識し、自主学習力を高める」ために「文章を正確に読み取ったり相手の話をしっかり聴いたりしながら、自分の考えを再構築出来るようになる」ことを目指しました。そのため、読解力の向上につながる授業づくりを意識し、特に、教師から子ども達に投げかける“問い”を工夫することやクラス全員の子どもが授業に巻き込まれていく(=学習課題の解決のため、一人一人の子どもが学習活動に主体的に取り組む)よう教師がファシリテートすることを考えました。学期がすすむごとに、自分の考えをより具体的に表現できる子や、初めは答えられなかったが活動や友だちの考えを聴くうちに答を導き出すことができる子が増えてきました。また、自主的に学習に向かう子どもも増えています。

【活動の見える化(発信力)】 

   自分で気がついていない良さや秘めた能力を意識できることで、より意欲的に活動する子どもを更に増やして行くため、引き続き、学級便りの発行やHPの更新を中心に、活動の「見える化」を意識しました。また、コロナ禍であっても、できるだけ多くの方々に子どもたちの頑張る姿を見ていただけるよう、日常の感染対策を徹底しながら、行事の実施を目指しました。何度も練習し磨き抜いた技を披露する活動の中で、発表を成功させることが出来た経験や、他学年や保護者・地域の皆様から称賛された経験は、子ども一人一人の達成感や充実感を高めるとともに、学ぼうとする態度や、もっと上手くなりたいという前向きな気持につながっていきました。

【自己肯定感から「さらなる意欲へ」】

 昨年同様、「キャリアパスポート」として、学校行事や体験活動の度に、子ども自身が自分や仲間、活動全体を振り返る活動や、子どもの頑張ったこと、成長が見られたことについて、保護者の皆様に感想や意見、評価を書いていただく取組をすすめました。このことは、子ども同士の認め合いや自分も頑張ろうという意欲につながり、活動の質を向上させることになりました。苦労したり失敗したりすることもありましたが、「仲間との協力・協働」や「誰かのために」を、再度、意識することで、粘り強さが見られるようになり、結果的には、期待以上の成果をあげてくれました。「やればできた」という成功体験は自信となり、“更なる意欲”にも発展しています。特に、この一年間の6年生の頑張る姿は、下級生の「今度は自分達が頑張る」という覚悟につながっています。

【社会人基礎力】

  今の子ども達が、今後、著しく変わることが確実視される社会の中で、自己の幸せをつかみ、社会に貢献できる人材となるためには、社会変化に対応できるよう『常に学び続け、仲間と協力し、身につけた知識を生かすことができる力』が必要となります。また、立ちはだかる壁を乗り越える、『しなやかなたくましさ(七転び八起きの力)』も必要となるでしょう。その基盤となる力は、この素晴らしい鳳至という地で養われた感性や様々な人々との出会いから培われます。学校や地域が連携できる恵まれた環境で子どもを育て、いずれ、明るい未来を照らす人となってくれるよう、今後もこの教育活動にさらに磨きをかけていきたいと思います。そして、来年の卒業式でも、子どもたちの清々しい笑顔を見たいと思います。今年度もたくさんの方々に、ご支援とご協力を頂いた事に深く感謝申し上げます。ありがとうございました。

令和4年度も子ども達が活躍する姿にご期待下さい。 

 学校長  山 岸  茂 樹

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